Little Black Dress、天を突く歌唱と妖艶なカリスマ性 全方位の魅力を放った“メッチャいい”一夜

岡山県出身のシンガーソングライター 遼によるソロプロジェクト Little Black Dressが10月4日、東京・代官山ORD.にてワンマンライブ『Little Black Dress「AVANTGARDE」メッチャいいじゃんライヴ』を開催した。
今年7月にキングレコードよりメジャー1stアルバム『AVANTGARDE』をリリースしたLittle Black Dress。1曲目は同作のタイトルにもなっている「アヴァンギャルド」からスタートした。イントロで情熱的な雰囲気を醸し出したかと思えば、間奏でピアノが美しく高鳴り、そのなかをLittle Black Dress 遼による妖艶なボーカルが舞い踊る。Little Black Dressの多面的な魅力が表れたこの曲で、会場はいきなり大盛り上がりとなった。そこから「Lonely Shot」と「PLAY GIRL」と立て続けに繰り出し、アクセル全開で序盤を進めていった。

今回のライブはバンドのグルーヴが以前にも増して際立っている。キーボードはDEVIN木下、ギターはMoeと岡聡志、ベースは萩原みのり、ドラムは番田渚奈子が担当し、力強いサウンドを披露。それぞれ要所でテクニカルなソロを奏でたかと思えば、全員が一体となってステージを支配する場面もある。そのメリハリの効いたパフォーマンスが観客を釘付けにさせていた。
次の「チクショー飛行」はサビでの〈チクショー〉というフレーズが特徴的。この言葉に合わせてオーディエンスとの掛け合いを見せ、会場に一体感が増す。キャッチーなリリックに加えて、ハードロックなアレンジも相まって、血が騒ぐような感覚が印象的だった。


歌い終えると観客へ向けて「ありがとうございます」と感謝をひと言。「今日は存分にLittle Black Dressの世界観を楽しんでいってください」と伝えると、大きな拍手が湧き上がった。
続いて「ちょーかわいい」と「だるま落とし」を披露。Little Black Dressを語る上で無視できないのが遼のカリスマ性だろう。楽曲によってさまざまな表情を見せる遼は、観客を惹き込む不思議な力を持つ。歌唱力も見事だ。天を突くような抜けのいいボーカルは、会場を圧倒する迫力があり、声を放つたびにどんっと押されるようなパワーを感じる。MCタイムではギター担当の岡がフェラーリのエンジン音をギターで再現し、会場を盛り上げる一幕もあった。

その後は「十人十色」と「優しさが刺となる前に」、「猫じゃらし」を間髪入れずに歌唱。独特の哀愁のあるメロディがステージを包み込み、会場は静まりながら楽曲の世界観に浸っていた。バンド紹介を経て「名もなき花」と1986オメガトライブ「君は1000%」のカバーを披露すると、観客からは自然と手拍子が起きたり、リズミカルな合いの手が起きたりと、すでにボルテージは最高潮。
そして「恥じらってグッバイ」と「太陽にピース」でラストスパートへ。序盤のハードなサウンドとは打って変わって、この終盤では軽やかなタッチによるシティポップ系のムードで攻めていく。爽やかなギターのカッティングと跳ねるビートが心地よい。観客は腕を振ったり体を揺らしたりして、Little Black Dressの作り出す世界に入り込んでいるようだった。

アンコールでは、アルバム『AVANTGARDE』から「メッチャいいじゃん!」、さらに「マロニエの花」を歌唱。Little Black Dressの表現する“歌謡とロック”の融合が存分に感じられるステージングに、観客も大満足といった様子だ。最後はサプライズで「アヴァンギャルド」を再度披露し、もう一段階ギアチェンジ。鳴り止まない拍手のなかでライブは幕を閉じた。
メジャー1stアルバム『AVANTGARDE』をリリースし、いよいよ勢いの増しているLittle Black Dress。期待がより一層高まるなか、東京を熱気の渦で埋めた“メッチャいい”一夜だった。



























