GENERATIONS 数原龍友が大切にする「音楽はまだ自由」の感覚 ボーカルとして目指す“売れること”とは

GENERATIONSのメンバーが、各自プロデュースした楽曲を6カ月連続でリリースしていくプロジェクト『PRODUCE 6IX COLORS』。本企画の最後を飾る、数原龍友プロデュースによる「Summer Vacation」がリリースされた。“売れること”をテーマにしたこのプロジェクトを締めくくる楽曲になるが、意外にもプレッシャーを感じなかったという。ソロプロジェクトとしての棲み分け、そして9月から始まるアリーナツアー『GENERATIONS LIVE TOUR 2025 "6IX SENSE"』についても聞いた。(編集部)
「Summer Vacation」に込めた願い――「クスッと笑顔になってもらえれば」
――他のメンバーがプロデュースした楽曲も含め、『PRODUCE 6IX COLORS』の手ごたえはいかがですか?
数原龍友(以下、数原):皆ちゃんとかっこいいものを作って、しっかりプロデュースしてくれたなという印象ですね。それぞれのメンバーがGENERATIONSというグループに対して何を感じているのか、改めて知る良い機会にもなりました。そのレールが自分の楽曲「Summer Vacation」にも繋がりましたし、楽曲を制作してくれた作家の方に対するリスペクトの気持ちもすごく大きいものになりました。すべてにおいてプラスに物事が働いたプロジェクトだったと思います。
――第3弾を担当した白濱亜嵐さんは、インタビューで「自分の楽曲が一番チャラい」と言っていたんですが、今回の龍友さんの楽曲を聴いて「さらにチャラい曲が来たな」と思いました(笑)。
数原:大正解です。この楽曲を通して伝えたいことや、大きなメッセージや意味は特にないんですよ。ただ夏が楽しくなる。それだけは間違いなく言えます。楽曲やジャケット写真、リリックビデオも含め、笑顔になるきっかけを作れればいいなと。だから、この曲をバラードだと思う人がいてもいいし、「龍友くんはなんて紳士な人なんだ!」と思う人がいてもいいし、「めちゃくちゃチャラい曲が来たな!」って思う人がいてもいい。クスッと笑顔になってもらえれば。それが唯一の願いですね。
歌詞は意味がないのが良い? 独自の制作スタイル

――龍友さんは、6カ月連続リリースとなる本プロジェクトの最後を務めるわけですが、その点も最初から見据えて制作していったんですか?
数原:いや、最初の3カ月くらいは何も手を付けていなくて、他のメンバーの出方をうかがっていました。人に発注するもよし、自分でやるもよしだったので、どうしようかなと。全員のデモが出揃った段階で少しずつ見えてきたので、セルフプロデュースという形にシフトすることを決めました。だいぶのんびり作れましたね。
――ソロプロジェクトや路上ライブでも一緒にやってきた上條頌さんと、今回もタッグを組んで制作されています。
数原:自分が表現したいことを形にする上で、彼が一番の理解者ですからね。最初は普通にかっこいい曲にしようと思ってたんですけど、降りてくるメロディや浮かぶリリックが、どんどんおちゃらけた方になっていったので、頌さんも「え、本当にこんな感じでいくの?」って若干スタジオで戸惑ってましたね。でも自分の中は何か確固たる自信があって。2人でケラケラ笑いながら制作できたのがすごく楽しかったです。

――まさにカリフォルニアのビーチが見えるようなサーフミュージック的な楽曲ですが、このテイストはいつ頃明確になりましたか?
数原:3月か4月ぐらいかな。その頃にはもう自分以外の他のメンバーのデモが上がっていたので、そこで自分の方向性も決まりました。
――イントロやギターの感じは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などから引っ張ってきたような印象も受けました。
数原:あのイントロは、まさにそういう80年代の神イントロみたいな曲をヒントにしながら、忘れられないフレーズにしたくて、あんな感じに仕上げました。
――龍友さんは昨年アメリカのサンディエゴに留学されていたので、そのときの雰囲気や生活も反映されているように感じます。
数原:やっぱり留学に行ってから聴く音楽のジャンルが広がったし、今まで聴いていた曲も聴こえ方が変わったので、今回の楽曲制作にも大きく影響していると思います。
――まずは上條頌さんと作曲を固めてから作詞に着手したんでしょうか。
数原:いや、同時進行でした。歌詞を書きながらメロディを考えていましたね。制作中に、「これ女性の声を入れた方が絶対ユーモラスな仕上がりになるな」と思ったので、デモ音源では女性パートも自分が高い声で歌ってるんですよ。男だらけのスタジオで。もうみんな笑いが止まらなかったですね(笑)。あの時間はいい思い出です。
――曲に引っ張られて出てきたアイディアがいっぱいありそうですね。
数原:頌さんは「こんなことになるとは思ってなかった」と言ってましたけどね。でも海外のミュージシャンの皆さんも含めたプロフェッショナルなチームで演奏してもらったので、音の厚みやサウンドは最高ですよ。

――ミュージシャンの方は、今までGENERATIONSに関わってきた方も多いんでしょうか。
数原:ソロのときに演奏してくれたアメリカ人のベーシストの方や、自分たちのライブやフェスでも叩いてくれたドラマーの方にお願いしています。国内だけでなく、グローバルなミュージシャンチームで演奏を仕上げてもらいました。
――歌詞に関しては何かこだわりはありますか?
数原:ないです。
――あってくれ~(笑)。
数原:すみません、本当になくて(笑)。でもそれが逆に良さかなっていう。あとはまぁ、どんどん制限が多くなってきている今の世の中に対してのウンザリした気持ちを入れた部分もありますね。実際にはっきり言ってしまうと角が立つので、ユーモアと皮肉をバランスよく歌詞に入れたつもりです。制限の多い世の中だけど、音楽はまだ自由だなと感じているので。とはいえ、それを本気で伝えたいわけじゃないんですよ。「なんかわかんないけど、この曲聴くと笑顔になるな、元気が出るな」と思ってもらえればそれでいいかなと。
「ユーモアと皮肉を感じ取ってくれたら嬉しい」
――パフォーマンスに関してはどうですか?
数原:今回はKAITA(RHT.)くんっていう振付師の子がめちゃくちゃ難しい振り付けを作ってくれました。楽曲がこれだけユーモアのあるものなので、振り付けはめちゃくちゃ難しくして、パフォーマーチームも踊り甲斐があるものにしたいとオーダーしたら、KAITAくんが“スキルの無駄遣い”をテーマにマジで難しい振り付けを作ってきてくれて。曲はこんな感じですけど、振り付けはめちゃくちゃプロフェッショナルでスキルフルなことをやってるっていうのも、GENERATIONSの見せ方としてはありかなと。
――なるほど。
数原:他のメンバーがしっかりかっこいいものに仕上げてくれたからこそ、自分は最後に夏らしくて、DREAMERS(GENERATIONSのファンの名称)の皆さんが好んでくれているワチャワチャ感というか青春している男の子たちみたいな部分をやろうかなと思った部分もありますね。
――とはいえ、ボーカルに関してはコーラスを細かく録っていたり、エフェクトをかけて韻を踏んでいたり、緻密に作られている印象もあります。レコーディングはどんな感じでしたか?
数原:レコーディングで一番の難点だったのは、あの早口のパートですね。そこは自分もデモを作るときに難しくて「これは申し訳ないな」と思いながらトライしてもらったんですが、案の定(片寄)涼太もすごく苦戦していて。実は簡単な歌詞に書き換えたバージョンもあったんですが、元のままいった方がカラオケとかで歌ってもらったときに難しさが伝わると思ったので、何回も何回も歌いなおしてもらって録れたテイクを使いました。でもその焦ってる感じが逆に良かったですね。

――あの部分のテンパり感や焦ってる感は、出そうと思って歌ったんじゃなくて、早口で歌ったら自然と滲み出たという感じですか?
数原:まさにそうです。ビートに置いていかれないように一生懸命がんばっている声って、狙ってもなかなか出ないものなので。まだちょっと馴染みきっていないけど一生懸命やっている、くらいの方が、表情も見えて素敵だったので、そのまま行かせてもらいました。
――歌割りはどんな風に組みましたか?
数原:早口のパートはすごく美味しいところなので自分がやりたいと思ってたんですけど、涼太が歌った方が意外性があるかなと思って、結局彼に全部任せました。まぁ自分で作ったので、歌い分けもメロディを動かすのも自由自在なんですけど、ただ、涼太には歌わせられない歌詞は僕が歌うようにしました。たとえば〈モラル? コンプラ? トレンド? それがSo what?〉は涼太に言わせたらあかんなって。彼はモラルもコンプラもトレンドも守りなさいって思うタイプなので(笑)。そういう部分も面白かったですね。
――〈バカ真面目も素晴らしいけど〉の部分は涼太さんですよね。
数原:そこはバカ真面目な本人に言わせたかったんですよね。涼太は本当にバカ真面目なので。
――お互いの性格をよくわかってるからこその歌割りですね。ちなみに〈モラル? コンプラ? トレンド? それがSo what?〉の部分も含め、いくつかのフレーズにはエフェクトがかかってますが、曲作りの段階からそう決めていたんですか?
数原:いや、最初は決めてなかったです。今の世の中って、これまでOKだったことが駄目になって、仏様みたいなやつしか生き残れなくなってると思うんですよね。でも秘密とか嘘があってこそ人間だと思うから、そんなのおかしいだろって僕は思う。そういう思いを込めた〈モラル? コンプラ? トレンド? それがSo what?〉とか〈世間体? もう、うんざりだわ @&/#〆☆!?×〉とか〈聖人君子だらけ End of the world〉あたりのフレーズは、世の中にとっては角が立つ言葉なので、あえてフィルターをかけて聴こえづらくすることで、少しでも印象を和らげようという狙いですね。まぁみんなそうだからそうしなきゃ、というのもあんまり好きじゃないけど、職業柄多少は言うことを聞かなきゃいけないので、全部のバランスをとってエフェクトをかけたという感じですね。
――実際聴くと、そこがいいスパイスになってますよね。
数原:そうですね。だから「なんて言ってるんだろう?」って歌詞をよく読んでくれたときに、この曲に込めたユーモアと皮肉を感じ取ってくれたら嬉しいです。
――ちなみに2番の〈世間体? もう、うんざりだわ @&/#〆☆!?×〉は歌詞表記されていないですが、実際はなんと歌ってるんですか?
数原:……とても言えません。
――ここにコンプラが詰まってますね(笑)。ライブや音楽番組では毎回ちょっと替えて歌ってくれたりするんじゃないかなと期待しています。
数原:テレビ局を出禁になってしまう可能性もあるので、あまり過激なことは発信しないように気をつけたいですね(笑)。
――歌詞の中にはハートの絵文字などが入っていて、文字として見たときのワクワク感も印象的でした。
数原:色々想像してましたね。たとえば音楽番組でパフォーマンスさせてもらったときに、歌詞表記がああなってると面白いかなとか。今の音楽って聴いて楽しむだけじゃなくて、聴いて見て楽しむものでもあるので、その辺も考えて、絵文字みたいなものを使うことでトータル的にこの楽曲をプロデュースしたという感じです。


















