THE ALFEE、50周年を越えてもなお止まらない勢いと挑戦心 ライブ3000本目前、新アルバムへの意気込みも

「言葉が持つパワーというのは絶対に失われていない」(高見沢)

ーー50年以上にわたり音楽を作り続けていく中で、歌にしたためたテーマやメッセージも時代によって変化していくのかなと思います。今回の「HEART OF RAINBOW」においては、高見沢さんはどんなことを伝えたいと考えましたか?

高見沢:歌詞の中にも〈昨日の未来は今さ!〉とありますけど、今日の「今」は昨日の「未来」なわけですよね。そういうことで考えたら、10年前にもし活動を止めていたらこの曲は今生まれていなかったわけだし。ただ、そうやって時間をどんどん積み重ねて時代がどんどん変わっても、根本的な人の悩みは変わらないと思うんです。そこを僕ら古希世代なりに、あまり説教くさくならないように「人生つらいけど、それほど捨てたもんじゃないよ」と伝えることで、聴いた人が少しでも楽になってほしいなと思いながら、この曲を書きました。やっぱり若い頃は勢いがあるから、自分たちも「行け!」とか強いことを書いてしまいがちでしたけど、今はもっと物事を俯瞰で見られるようになりましたし、客観性を持てるようになったので、そういった部分を僕らなりに表現していければいいかなと思っています。

ーー上の世代の人たちからのメッセージに対して、下の世代的には「ウザい」と感じてしまうこともゼロではないですが、「HEART OF RAINBOW」や「丁寧言葉Death!」からは説得力の強さであったりウィットに富んだ表現が感じられて。そこも長く第一線で歌を届けてきた皆さんならではなのかなと思いました。

高見沢:自分たちも説教くさくなるのは好きじゃないですし、逆に説教くさいことを言われるのも嫌ですし(笑)。そこが共通認識としてあるから、こういう表現が成立しているのかもしれませんよね。ただ、どんな時代においても言葉が持つパワーというのは絶対に失われていないわけで。確かに70年代のフォークミュージックはそのパワーがすごかったと思いますけど、今だってないわけじゃない。世の中の多様化によって受け取り方には変化が生じているのは確かだけど、理解してもらえないとは思ってはいないんですよね。ただ、無理をしてそういう世代にウケたいとは思いませんし、長く続いているバンドとして今自分たちが表現したいものを歌にできたらなと思っているんですけどね。

ーーそれこそさっきの「明日なき暴走の果てに」の話じゃないですけど、皆さんが20代、30代の頃に書いた曲もそこから数10年という歳月を重ねる中で、より重みを感じるようになったのと同時に、リスナー側も若い頃に聴いたときはその衝動性に惹きつけられたのに対して、今は深い意味を感じ取れるようになっていると思うんです。そういう深みを、最近のTHE ALFEEの楽曲からはよりダイレクトに感じられるようになっているのかなと。

高見沢:結局は時間の積み重ねなんですよ。歌もワインと一緒で、どんどん熟成されていく。聴いているほうもその曲と出会った頃と、今の生活の中とでは感じ方が違っているわけで。それこそ、僕らは「星空のディスタンス」を毎回必ずライブで演奏していますけど、曲がどんどん熟成されていくからまったく飽きないんです。もしかしたら、今は時間の積み重ねによってそういう熟成感も新曲で表現できるようになったのかもしれない。ここから20年、30年と続けられるかといわれるとわからないからこそ、今や明日といった身近な目の前に向けて言葉を届けていくのもいいんじゃないかと、今は思っています。

ーー桜井さんは今回の「HEART OF RAINBOW」を歌う際、例えば20代や30代の頃と比べてメッセージの届け方などで変わったと思うところはありますか?

桜井:気持ち的な点では変わらないですけど、技術面ではありますよね。あえて変えているところもあるけれど、変えなきゃ以前と同じにできないっていうところも出てきますし。昔のライブDVDとか見返すと「お前、ここでそんなに声を張っていたら最後まで持たないぞ!」って思っちゃうんだけど(笑)、それは今そこまでの持続力がないからであって。レコーディングのときは修正が効きますけど、ライブは一発勝負なので配分も考えないといけない。体の筋肉だって年齢とともに衰えていくし、声帯だって多少衰えてくるのは当たり前のことなので。しかも、曲によってこの方法は使えるけど、これは使えないというのも出てくるので、そのへんは四苦八苦しながらやってます。

ーーここから「HEART OF RAINBOW」というスリリングでドラマチックな曲と、「丁寧言葉Death!」というヘヴィな楽曲をライブでも届けていくことになるわけですよね。特に「丁寧言葉Death!」は、THE ALFEEにとってもかなりの新境地ではないかと思うんですよ。

高見沢:「丁寧言葉です」じゃなくて「Death」、デスメタルの「Death」ですからね(笑)。自分たちもヘヴィな曲はたくさんやってきましたけど、自分たちがやっていないとはいえデスボイスを入れるのは50数年続けてきてこれが初めてですから。ここまで長く続けてきてまだやっていないことがあるんだと、改めて気付かされました。

ーーこの曲のアイデア自体はどういったところから生まれたものなんでしょう。

高見沢:デスメタルのアイデア自体はずいぶん前からあって、なかなか形にできなくてずっと温めていたんですけど、最近神社関係の方と交流がありまして。日本人って昔から「神頼み」という言葉を頼りに、神社でポンポンと手を叩くだけで気持ちがすっきりすることがあるじゃないですか。でも、そこでは神様が相手なので丁寧な言葉でお願いしないといけない。そういったところからこの歌詞みたいな言葉遊びを思い付き、僕らのウィットに富んだ部分をより強く打ち出したいなと思って、以前からあったデスメタルのアイデアと結び付けたわけです。

桜井:「HEART OF RAINBOW」と同じバンドがやっているとは思えないよね(笑)。ボーカルもなかなか渋いし。

坂崎:面白い曲ですよね。高見沢は常にライブファースト、ライブを想定して曲を作っているんですけど、「丁寧言葉Death!」は聴いた瞬間にライブのイメージが容易に想像できて。普段のレコーディングだったら丁寧に歌ったり、コーラスに向くような声だとかいろいろ試すんですけど、桜井が言うようにライブは一発勝負。そういうイメージでこの曲のレコーディングに臨んだら、あっという間に終わってました。

高見沢:坂崎って世の中的にはアコースティックギターを持っている印象かもしれないけど、実はこういう曲も歌っていることを知られていないんですよね。だって、アコースティックとハンドマイクでデスメタルって、対局にあるものじゃないですか(笑)。そういうことをやれる柔軟性があるからこそ、僕は坂崎って面白い人間だと思うんですよ。デスメタルって決して主流な音楽ではないけど、一部からは圧倒的に支持されているわけじゃないですか。今回はデスボイスに関して、DEVILOOFというバンドのメンバー(ボーカルの桂佑)に協力してもらったんですけど、ライブの中にこういう1曲があったら絶対に面白いし、盛り上がると思うんです。

坂崎:しかも、THE ALFEEのファンの皆さんは新曲を望んでくれるので、こういう新しい色があったら喜んでくれるんじゃないかな。

ーー活動歴の長いバンドのファンの中には、「もう新曲はいいよ、往年のヒット曲だけやって」と望まれる方も決して少なくないですものね。

高見沢:海外のアーティストなんて特にそういう形になりがちですし、なんならニューアルバムが望まれていないこともありますし。

坂崎:ポール・マッカートニーだってライブの大半がThe BeatlesやWings、過去のソロ曲ですものね。そう考えると、送り手側としてはそうやって新しい曲をライブで聴きたいと言ってくださるのは、めちゃくちゃありがたいですよ。

ーー今ニューアルバムというワードが出てきましたが、THE ALFEEに関しても2022年2月発売の『天地創造』を最後に4年近くアルバムが発表されていません。

高見沢:今年中には出すつもりで、準備を進めているところです。

ーー本当ですか? その言葉を待っていました。正直、皆さんくらいのキャリアになるとアルバムが10年ぶり、20年ぶりというのもあるじゃないですか。The Rolling Stonesもそうでしたし。

高見沢:正直、過去のヒット作とライブで食いつなげるし、新たに作らなくてもやっていけますものね。それに、しばらく演奏してない曲だってたくさんあるわけだし。

ーーでも、THE ALFEEはバンドとして今届けたい曲があって、それを望むファンがたくさんいらっしゃる。音楽活動を続けていく上で理想的な形ですよね。

高見沢:本当にありがたいことです。3声コーラス含め、『三位一体』(2015年)くらいから今の方向性がより明確に見えてきた感があるので、そこをより極めた作品に仕上げたくて。坂崎も高いギターをずいぶん買ったみたいですし、どんな音がするのか、せっかくならレコーディングで使ってみたいじゃないですか(笑)。そういうことを繰り返しながら、最高傑作になるよう絶賛頑張っているところなので、完成を楽しみにしていてください。

※1:https://realsound.jp/2024/08/post-1743485.html

■リリース情報
51周年記念シングル『HEART OF RAINBOW』
発売日:2025年7月30日
価格(全形態):¥1,210 (税込)

通常盤【1CD】
M-1 HEART OF RAINBOW(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎 ストリングスアレンジ:萩森英明)
M-2 丁寧言葉Death!(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎)
M-3 白夜 -byaku-ya-(50年目の夏祭り 2024 Live Ver.)(作詞・作曲:高見沢俊彦)

初回限定盤A【1CD】
M-1 HEART OF RAINBOW(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎 ストリングスアレンジ:萩森英明)
M-2 丁寧言葉Death!(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎)
M-3 Heart Of Justice(50年目の夏祭り 2024 Live Ver.)(作詞・作曲:高見沢俊彦)

初回限定盤B【1CD】
M-1 HEART OF RAINBOW(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎 ストリングスアレンジ:萩森英明)
M-2 丁寧言葉Death!(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎)
M-3 風曜日、君をつれて(50年目の夏祭り 2024 Live Ver.)(作詞・作曲:高見沢俊彦)

初回限定盤C【1CD】
M-1 HEART OF RAINBOW(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎 ストリングスアレンジ:萩森英明)
M-2 丁寧言葉Death!(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎)
M-3 Musician -2024-(50年目の夏祭り 2024 Live Ver.)(作詞・作曲:高見沢俊彦)

■関連サイト
THE ALFEEオフィシャルHP
https://www.alfee.com/
ユニバーサル ミュージック THE ALFEE オフィシャルHP
https://www.universal-music.co.jp/the-alfee/

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