w-inds.を新たなピークへと押し上げた『Rewind to winderlust』 ソロ曲も披露、24年目の進化を提示した圧巻のステージに

 w-inds.が7月から9月にかけて全国ツアー『w-inds. LIVE TOUR 2025 “Rewind to winderlust”』を開催した。

 今年3月にリリースされた最新アルバム『winderlust』を携えて行われた今回のツアーでは、アルバムの収録曲はもちろん、2001年のデビューから24年のキャリアの中で生み出してきた代表曲を織り交ぜながら“今のw-inds.”を鮮やかに提示する圧巻のステージが繰り広げられた。本稿では、7月16日の東京・NHKホール公演を振り返っていく。

 美しいシンセを軸にしたSEが流れ始め、観客が一斉に立ち上がる。ステージにライトが当たると、そこには橘慶太、千葉涼平の姿が。凄まじい歓声の中で放たれたのは、アルバム『winderlust』の1曲目に収められた「Zip it」。華やかなトラックとファルセットを活かしたメロディライン、英語詞のリリックが響き合い、スタイリッシュなパフォーマンスへと昇華される。間奏パートでは涼平がブレイキンを取り入れたダンスを披露し、観客の興奮度をさらに上げていく。

橘慶太

 さらに「FLY HIGH」(2012年)、「try your emotion」(2002年)とキャリアを代表するシングル曲を挟み、〈だから磨き続けるよ もっと/そう僕が僕である為〉というフレーズが印象的な「Look at me」(アルバム『winderlust』収録)へ。ダンサー6人を加えたステージングも最高潮の盛り上がりを見せ、ツアー序盤とは思えないほどの仕上がりだった。

「楽しんでますか!? ツアーはまだ3本目なんですけど、すごく充実感があって。1本目、2本目もすごく盛り上がったんですけど、今日はどうですか!?」(慶太)

「平日にも関わらず駆けつけてくれて、ありがとうございます!」(涼平)

 という挨拶から、最初のMCへ。

千葉涼平

「この3年間、『We are』『Beyond』『Nostalgia』と新しい体制でツアーをやってきて。自分たちの新しい可能性、在り方、どうやってパフォーマンスしていくかを探し求める3年間でした。まさに旅のような3年間の中で、どんどん新しい光が見えてきて、前向きになって。その気持ちが『winderlust』というアルバムに表れています。自分たちの今の集大成をこのツアーで感じてもらえたらなと」(慶太)

 このツアーに対する思いをしっかりと言葉にした後も、既存曲とアルバムの新曲を織り交ぜながら進行していく。

 「IT’S IN THE STARS」「ブギウギ’66」と2000年代のシングルから始まり、アルバムの新曲「Who's the Liar」「FAKE IT」へ。特に「Who's the Liar」はライブ前半の大きなハイライトだった。リアルサウンドのインタビュー(※1)でも「低音のワイドさと奥行きは、J-POPではちょっと聴いたことがない、世界レベルのトラックだと思っているんです」と胸を張っていた慶太だが、この曲のクオリティの高さはライブでも存分に発揮され、爆発的な盛り上がりを見せていた。“攻めている”という形容がぴったりのダンスパフォーマンスを含め、「Who’s the Liar」のステージングは今回のツアーの大きな到達点のひとつだったと思う。

 初期のヒット曲「Paradox」も強いインパクトを放っていた。アレンジ、トラックをアップデートさせると同時に、慶太、涼平から成る現体制で再構築されたこの曲は、ツアータイトルにある“rewind”(巻き戻す)というテーマを的確に体現。懐かしさではなく、“新しい表現として既存の曲を魅せる”という二人のモチベーションがはっきりと伝わってきた。

 さらに、このツアーのために用意されたというソロ曲も見どころのひとつ。サイレンのような音から始まった慶太の「ORIGINALISM」は、強靭なビートとシリアスな雰囲気の音像、そして“誰にも譲れない、自分だけのオリジナル”をテーマにしたリリックがぶつかり合う楽曲だ。そして、椅子に座って披露された涼平の楽曲「The End of Waiting」は、透明感のあるトラックと切ないメロディがひとつになったミディアムチューン。二人の個性が発揮されていたのはもちろん、この先のw-inds.の新たな可能性を予見するようなシークエンスだった。

 “橘慶太プロデュース”楽曲の中でも特に激しいダンスナンバー「Get Down」――トラック、パフォーマンスともにさらなる進化を果たしていたーーまで9曲をシームレスにつないだ二人。曲を重ねるごとにキレを増し、ほとんど息が上がることもなかった。特に涼平のボーカル表現の向上ぶりには本当に驚かされた。もっと涼平の歌声を聴きたいと思ったのは筆者だけではないだろう。

「アルバム『20XX “We are”』は「悩みや苦しみに打ち勝っていこう」という思いが込められた作品だったんですけど、今回の『winderlust』は自然と前を向くことができて。辛いことは誰でも経験するけど、いつか前を向くことができると信じています」(慶太)

 そんな言葉に導かれたのは、アルバム『winderlust』のポジティブな側面を担う楽曲。ありのままの自分、等身大のw-inds.を見てもらいたいという気持ちを込めたチルソング「One more time」、いつもルーキーのように挑み続けたいという決意を刻んだ「Rookies」、そして、「ここからまた一緒に進んでいこう」というメッセージが伝わる「Run」。この3曲が放つ前向きなバイブレーションもまた、今回のツアーの大きなポイントだった。

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