ガールズバンドの新たな歴史がここから始まる! Faulieu.が鳴らす青春――EP『My name is Faulieu.』全曲解説

Faulieu.が1st EP『My name is Faulieu.』をリリースした。そのタイトル通り“Faulieu.”というバンドの紹介をするように、メンバー4人がそれぞれ作詞作曲を手がけ、その個性とスキルを惜しみなく見せている。題材やテイストはそれぞれに異なるものの、夏らしい明るさや元気さ、季節の終わりに感じる切なさなどが内包されており、さまざまな角度からその温度を感じられるEPになっているのも面白い。ガールズバンドシーンに風穴をあけるFaulieu.――その歴史の始まりの1ページに刻まれた全5曲を解説していく。
01. Days
アルバムの1曲目を飾るのはKaho(Gt/Cho)が作詞曲を手がけた「Days」。ローファイなギターとスクラッチ音のイントロに誘われた曲の世界は、メンバーの「Monday」という掛け声から満員電車に駆け込む月曜日、トラブルに見舞われる火曜日……と誰しもが共感してしまう日常。そんな気分を〈でも 大丈夫 きっと 大丈夫〉と吹き飛ばし、〈うまくいかない日でも なんとかなるさ〉と歌うサビへ。サビにはクラップパートが入っており、そんな憂鬱な気持ちや不安を、リスナーは曲を聴くだけではなく、自分の力でも蹴散らせる。ビタミンカラーを基調にしたMVも必見。MVからも伝わってくる4人の楽しそうな雰囲気は、音源の最後にもひっそりと。
Kaho コメント
ちょっと落ち込んでいた時期に、「こんな曲があったら救われるかも!」と思って作りました。自分自身への応援のような気持ちから生まれた曲です。特に気に入っているのは、曲の最後の部分にある〈でも その道のりの行き先で/君が気持ち なくしそうなら/いつでも ここで 音奏でるよ/明日も 音楽で会えるから〉というフレーズです。わたしが音楽を続ける理由や、Faulieu.を通して伝えたい想いを表せたと思っています。
〈Clap〉など、みんなで一緒に楽しめるフレーズを入れたことで、年齢や性別、言葉の壁を超えて楽しんでもらえる曲になったと思います。Faulieu.の4人のチームワークや温かさも感じてもらえるはずです。聴いてくださる皆さんにも、少しでも温かい気持ちになっていただけたら嬉しいです!
02. YOLO!!!!
2曲目、ストレートなロックチューン「YOLO!!!!」の作詞作曲はCanaco(Vo/Gt)。狙ってか偶然か、1曲目「Days」からの続きのように〈めまぐるしい Day by day〉と始まり、夢ややりたいことに突き進む姿を元気いっぱいに描く。また、途中で仲間と出会ったり、〈多少ツライ〉ことにもぶつかる姿は、Faulieu.の道のりにも重なる。サビでは「ヘイ!」という合いの手や、リズミカルなクラップもあり、ライブで盛り上がること間違いなしの1曲だ。〈人生はまるで RPG〉〈今日もコンテニュー〉と歌う2番のAメロでは、バウンドサウンドの代わりに8bitの“まるでRPG”なサウンドが進行するなど、細やかなこだわりもニクい。
Canaco コメント
単純な理由ですが「みんなでもっと盛り上がれる曲がほしい!」と思ったのが「YOLO!!!!」を制作したきっかけです。ライブのなかで一体感を生むのは自分がライブの一部になっている瞬間だと思っています。そんな瞬間を多く含む楽曲を、今のFaulieu.で表現したいと思い作り上げました!ラストサビ後半〈今は小さくて名前のない光でも〉の裏で流れてくるリードギターのフレーズが大好きです!笑
純粋にとてもお気に入りな楽曲になりました! フロアのみなさんも楽しそうに聴いてくれているのがライブで実際に伝わりますし、ステージ側でも楽しく演奏することが出来ていて、想像以上の仕上がりになったと思います。
03. エンドロールの前に
性急なビートに乗せた「エンドロールの前に」はKahoによる楽曲。恋愛曲といっても、歌われているのは、好きな人が別の人とラブストーリーを進める様子を見つめるという複雑な心情。〈置き去りのままの/ラブストーリー〉〈そっと願いを呟いて/物語の終わりを願う〉と恋が実らないかもしれないという悔しさを、強気でありながらも艶やかにCanacoが歌い上げ、主人公の複雑な心情を浮かび上がらせる。〈12時の鐘が/鳴り出す 5分前/刻む秒針と 響く 鼓動〉では、無情にも時間が進んでいくように、細かいビートが刻まれる。Kahoが「メンバーそれぞれの技術を全面に出したラブソング」「ガールズバンドとしてのかっこよさを音で表現したかった」(※1)とコメントしている通り、スキルフルなプレイが各所に散りばめられ、恋をしているときのリアルなどろどろした感情を増幅させる。
Kaho コメント
メンバーそれぞれの技術を前面に出した曲を作りたい!というのが最初のきっかけです。ライブを観てくださる方から「Faulieu.のかっこいいところが好き」と言っていただくことが多くて、その言葉にもヒントをもらいました。歌詞は初めてのラブソングです! 自分の経験だけでは書けなかったので、大好きな恋愛リアリティ『バチェラー・ジャパン』からも着想を得ています。2サビ終わりのソロセクションは、メンバー全員が全力で勝負している感じがして、すごく好きなパートです。ライブでも熱くなれるセクションです! ガールズバンドとしてのかっこよさを音で表現したくて、フィルを大胆に入れたり、攻めたアレンジに挑戦しました。
メンバーの個性が際立つ、挑戦的な楽曲になったと思います。張り詰めた空気感を楽しみながら、最後にはスカッとしてもらえたら嬉しいです!
04. 妄想少年
〈眠れない夜を抜け出して〉〈果てまで遠く行けたなら/ずっと夢を見る〉から始まる「妄想少年」は、現実にもがく大人が少年時代に思いを馳せる楽曲だ。作詞曲はMimori(Dr/Cho)。大人になってしまった私たちは、ずっと夢を見ていた少年少女時代に思いを馳せることで、なんとか眠れない夜を乗り越える。かといって、少年少女時代にももちろん眠れない夜はあった。〈答えのないものばかり探していた〉〈隣の芝はいつだって真っ青さ〉と悩みもしっかり描くのだ。そんな悩みさえも愛おしく思える青春時代の煌めきを、まっすぐなバンドサウンドと瑞々しい描写で立体化している。歌うようなギターソロ、伸びやかなボーカルも、夏空に映える。いわゆる“夢オチ”のような終わり方も愛おしい。
Mimori コメント
“青春”と“生バンド感”をテーマにした曲をFaulieu.が形にしたらどうなるのかなという実験的な気持ちが始まりです。ライブやフェスをイメージして、演奏する度に表情が変わる曲にしたいなと思って作りました。また、大好きな映画『時をかける少女』からも影響を受けています。歌詞は、少年少女の"狭間"を表しているダブルミーニングをいくつか入れてます。
〈ただよっている〉〈アイスクリーム〉など言葉遊びを散りばめているのもポイントです。演奏面は、
CanacoのVo声色の豹変ぶり。
Ayanoの1Bのグリス。
Kahoのエモさ爆発なギターソロ。
など、生サウンドがゆえのメンバーの個性が爆発しているので要注目してみてください。予想以上の音楽化学反応が起きて、メンバーの色がより直接伝わるバンドサウンドになったので、ライブで更に育っていってくれたら嬉しいです。また、少年少女達にコピーしてもらえたら喜びます。…なんてね。
05. ナツソラ
ラストを飾るのはAyano(Ba/Cho)作詞曲の「ナツソラ」。鍵盤をフィーチャーしたキラキラとしたスケール感のある楽曲だ。サウンドはダイナミックだが、夏の終わりと恋の終わりを歌った歌詞が切ない。〈蓋したらずっとこのまま/変わらずにいれるのかな〉と言いながらも、サビに入る直前に気のはやりを表すかのように前ノリの拍子になることで、線香花火の火の玉が少しずつ大きくなって弾けてしまうな、溢れて止まらない気持ちが伝わってくる。またメロディのキーも高く、ボーカルのギリギリ感もさらに楽曲の持つ切なさを助長させる。音数が多い音楽が好きで5弦ベースにしたというAyanoらしく、アウトロまでぎっしりと各パートが高らかに歌い続ける。だからこそ、曲が終わると同時にEPも終わる、その瞬間に訪れる無音が寂しさに追い打ちをかける。
Ayano コメント
きっかけは朝目覚めたときにメロディが浮かんでいて、覚えているうちにボイスメモに残し、ピアノでメロディ探しているうちにこのナツソラのサビフレーズになりました。曲の全体像を考えたときに、夏の終わりの切なさと、片想いの切なさを疾走感溢れるバンドサウンドに乗せて表現したいと思いアレンジを進めました。〈伝えたら 気づかれたら/サヨナラが怖くって〉という、好きだけど今の関係を崩したくない……という歌詞があるんですけど、この部分は共感してくれる人が多いんじゃないかなと思います。楽曲面ではラストサビの全員での畳み掛けが気に入っています。
エモを突き詰めていくにつれ、難易度が高い楽曲になりました(笑)。演奏できるFaulieu.のメンバーがかっこよすぎます。Canacoの透き通った歌声のよさが伝わる曲になっていたら嬉しいです。
※1:https://x.com/faulieu/status/1956354806060331019
■リリース情報
EP『My name is Faulieu.』
配信中
配信URL:https://faulieurecords.lnk.to/My_name_is_Faulieu
01. Days(Lyric&Music:Kaho)
02. YOLO!!!!(Lyric&Music:Canaco)
03. エンドロールの前に(Lyric&Music:Kaho)
04. 妄想少年(Lyric&Music:Mimori)
05. ナツソラ(Lyric&Music:Ayano)
■ツアー情報
『Faulieu. One-man Tour “My name is Faulieu. ”』
※終了した公演は割愛
2025年8月30日(土)東京・代官山UNIT
OPEN 17:30/START 18:00
<チケット>
スタンディング:4,500円(+1ドリンク代)
販売URL:チケットぴあ/イープラス/ローチケ
2025年9月14日(日)台北・Corner House 角落文創展演空間
OPEN 18:30/START 19:00
<チケット>
一般チケット:2,200 NTD
VIPチケット:3,400 NTD
販売URL:遠大售票/オフィシャルアクセスツアー
オフィシャルサイト:https://faulieu.com/
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