『ガチアクタ』OP主題歌バイラルチャートイン ONE OK ROCKとのコラボも話題! Paleduskが鳴らす世界基準のロック
Viral Chart Focus
Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの8月13日付のTOP10は以下の通り。(※1)
1位:TENBLANK「旋律と結晶」
2位:TAKUMI & KYOSKE(INI)「So You Can Shine」
3位:ディエゴ・マイター「Flaming Thunder God (from "Demon Slayer: Infinity Castle") - Cover」
4位:ディエゴ・マイター「To the Infinity Castle - Muzan vs Hashira Theme (from "Demon Slayer") - Cover」
5位:PiKi「Tell Me Tell Me ☆」
6位:Paledusk「HUGs」
7位:HUNTR/X・EJAE・AUDREY NUNA・REI AMI・KPop Demon Hunters Cast「Golden」
8位:ZEROBASEONE「SLAM DUNK」
9位:アイナ・ジ・エンド「革命道中」
10位:琳子「中華料理屋の酢豚が食べたい」
今週は、チャート10位圏内にランクインし、じわじわと順位をあげているPaleduskの新曲「HUGs」をピックアップする。
Paleduskは福岡出身の4人組バンド。今年9月15日に『HUGs』でのメジャーデビューを控えているが、活動歴は10年ほどと長く、2019年からは海外でのライブ活動もスタートさせていることに加え、オーストラリアのGreyscale RecordsやアメリカのSharpTone Recordsなど、海外のレーベルとも契約を結んでいる。
メタルコア、ハードコア、エレクトロニックを自在に掛け合わせ、次の展開が読めないスリリングな曲展開が最大の魅力だろう。ジャンルレスなスタイルで国内外から注目を集めている。近年は大型フェスやワールドツアーに出演するなど、活動規模を拡大。直近ではONE OK ROCKとのコラボレーションでも話題を呼び、シーンの枠を超えた存在感を示している。
今年7月クールのTVアニメ『ガチアクタ』(CBCテレビ/TBS系)の主題歌「HUGs」は、7月28日にデジタル配信がスタート。『ガチアクタ』は、主人公である天涯孤独の少年・ルドの葛藤や成長を描いていく物語だ。原作はバトルアクションに分類されるような作品だが、斬新な要素を多数取り込んだカオティックな世界観が魅力である。終末的なSFダークファンタジーという設定は、1980年代以降、多くの名作を作り出してきたが、『ガチアクタ』はその描き方が斬新だ。主人公の想いや叫びには、残酷なほどに救いが見えてこない。差別や偏見、疎外、孤独、追い詰められた人間が見せる爆発的な怒りの描写など、社会の歪みを観る者に叩きつけてくる。アニメ映像そのものに、カオスで攻撃的な迫力があるのだ。
このカオティックな世界は「HUGs」にも見事に落とし込まれている。激しいサウンドの中に多彩なジャンルの要素を組み込みながら、スケールの大きな物語を作り出している。アニメの物語性、そして先述した描写のディテールまで感じさせる楽曲構成が、バトルアクションという映像の迫力だけでなく、物語の迫力とシンクロしているのだ。
「HUGs」は、音楽で作品への感情移入を追体験できる楽曲になっている。シャウトの上をいく絶叫は、まさに主人公・ルドの心の叫びのように感じられるし、重厚で強烈なギターリフやシャウトでの爆発力、ところどころに挟み込まれるエレクトリックなアプローチ、後半でテンポを落とした中で見せる音の引き算など、非常に凝った構成やアレンジが特徴だ。加えて、タイトでキャッチーなフレーズを早口で畳みかけるように展開するメロディには、このバンド独自のポップネスを感じる。後半でテンポが変わり、最後は消え入るように終わるが、前半で作ったグルーヴとエネルギーを聴き手にしっかり刻み込むエネルギーも魅力だろう。聴き終わった後、まるで日焼けしたばかりの肌のように、熱を帯びてヒリヒリした余韻が残る。
デジタルエフェクトを大胆に導入しながらも、ラウドロックの根幹を外さないバランス感覚は、海外のシーンと同列で語られる水準に到達している。日本のロックシーンにおいても、世界基準となり得るロックの路線をさらに押し広げる存在となっていくのではなかろうか。音楽性と柔軟性を併せ持つ彼らの活動は、日本のロックバンドが世界で戦うための新たな指標を提示している。
Paledusk「HUGs」は、バンドが持つジャンルレスな攻撃性とポップセンスを最大限に活かしつつ、アニメ『ガチアクタ』のテーマと重なり合うことで強い説得力を獲得した。重厚なサウンドと叙情的なメロディ、そして人間的な温もりを描いた歌詞。それらを自在に操るボーカルの存在感が、リスナーを“抱擁”するように包み込む。国内外のシーンで確実に存在感を広げつつあるPaleduskにとって、この楽曲はキャリアの大きな転換点となるだろう。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-08-13


























