2025.08.15 18:00

SILENT SIRENが戦い続けた15年のすべて　ガールズバンドとしての覚悟と意地と願い――1万5000字インタビュー

ガールズバンドとして培ってきたものを後世に伝えていく（すぅ）

――うんうん、そうだね。戦ってきた自負もあるしね。そして、『SHE SCREAM ROCK』、いいイベントを作ったね。

すぅ：みんなで話し合ったんです。大人になって、それぞれの人生も大事にしたいし、バンドも大事にしたい。シーンが移り変わっていくなかで、私たちは今何ができて、どうやったらライブにお客さんがきてくれて、どうやったらCDが売れて、サブスクで聴いてもらえるのか、今後自分たちは音楽で何を伝えていきたいのか、って。そこでひとつの答えとして出したのが、『SHE SCREAM ROCK』なんです。ガールズバンドとして培ってきたものを後世に伝えていくというか。自分たちもそうで、女性だからできることも、女性だからできないこともあるんですよね。そこで諦めるという選択肢じゃなくて、「いくつになっても輝いていられるよね」「音楽だって続けていけるよね」と思える、安心できる場所を作りたいなと思って作りました。

――それもサイサイが15年やってきたことの結果だよね。このシーンにおいて自分たちが守り抜いてきたものを引き継いで、残していくという。

すぅ：そうですね、やっぱりバンド、音楽で生きていくことって、相当難しいんですよ。挫折しちゃう人もいるし、「もう年齢的に潮時かな」って途中で諦めてしまうこともある。でも、それを乗り越えてステージに立ってる人たちもたくさんいて。『SHE SCREAM ROCK』と言っているけど、これはシーン全体に言えることでもあるんですよね。でも、私たちはガールズバンドだから、まずは女性に向けて伝えていこうっていうふうに思いましたね。

山内：結成15周年っていうタイミングで、自主企画のイベントができることが、本当にもうぴったりですよね。今のサイサイにふさわしいな、って。これまでは、もう自分のことで必死だったし、いっぱいいっぱいだったんですけど、ガールズバンドに憧れてガールズバンドを組んだ身として、その気持ちをどんどん引き継いでいきたいなと思って。

――うん、そうだね。

山内：このあいだ、フリーマーケットをしたんです。そこに高校生の子ふたりがきて、私が出品していたライダースを気に入ってくれて、買ってくれたんですよ。で、「これを着て絶対SILENT SIRENと対バンしたいです！」言ってくれて、それがすごく嬉しくて、「絶対対バンしようね！」って。私たちが15年やってることによって、毎日進めるきっかけにもなれたら嬉しいですし、バンドに限ったことではなく、性別や年齢を気にして前に進めない人の背中を押せるようなイベントになったらいいなってすごく思います。

――始めるからには長く続けてほしいな。

黒坂：自分がこの年齢になったからこそ、気づけることもたくさんあって。自分も25歳くらいの時に、まわりの友達は結婚して、仕事を辞めて主婦になったりして、「私はどうしよう」って気にしてしまうことも多かったし、今年下の子たちの話を聞いていても、年齢にとらわれちゃってるということをすごく感じていて。挑戦しないでやめちゃったり、諦めちゃったり、それはもったいないなと思うし、大人になったからこそ、本当は年齢なんて関係なくて、何を始めるにも遅いことなんてないんですよね。今だからそう思える。だから、『SHE SCREAM ROCK』を通じて私たちが「大人になってもやってるよ！」という姿を見せて、それに続いてほしいです。背中を押せる場所になったらいいなと思いますね。

――SCANDALと対バンっていうのもすごくいいよね。

すぅ：これまで対バンしたことがないっていうのも意外だと思いますし。

黒坂：ファンの人たちも「ついに！」「待ってました！」って言ってくれる方がすごく多かったので。うれしいです。

すぅ：馴れ合いだけじゃなくて、お互いにバチバチしてる感じもよかったと思うし、私たちも「SCANDALに追いつかなきゃ！」って。しっかりVS感もあるんですけど、手を取り合っているところも見てもらえたらいいなって思います。

――楽しみだね。

すぅ：SCANDALがギネス獲ったじゃないですか（「同一メンバーによる最長活動ロックバンド（女性）」として2023年8月にギネス世界記録に認定）。あれは、かなりアツかったですね。個人的には、やっぱり少し悔しかったです。

――そうだよね。

すぅ：うちらは結成して2年でメンバー変わってるから（笑）。20年続くのは本当にすごい。だからこそ、後輩の私たちが『SHE SCREAM ROCK』をやることにもすごく意味があるなと思って。なんで私たちが『SHE SCREAM ROCK』をやるのかを発信していくことが大事なんですよね。声を掛け合って、言葉の一つひとつも大事になってくると思うから、ちゃんと伝えていきたいですね。「力を貸してください！」ってSCANDALにも声をかけさせてもらったし、もっと多くの女性アーティストに声をかけていきたい。

SILENT SIRENは私たちが勝ち取ったもの

――15年いろいろあったけれど、ちゃんと傷ついて、気づいて、休んで、ちゃんとサイサイを探して、帰ってきた。その一歩一歩が非常に実直だよね。理由と実感を込めて、ひとつずつの選択肢を選んでいくという。サイサイらしい歩み方だよね。

すぅ：波乱万丈というか、ドラマティックなバンド人生だなって、すごく思いますね。濃厚です。

山内：全部無駄じゃないっていう。

――活動休止明けに出した『YOUTHFUL』のなかに「衝動」という曲があるじゃない？　〈まだ倒れたわけじゃない／生きる意味なんて／自分だけ握っていればいい〉という歌詞があって。「自分だけがわかっていればいい」じゃなくて、「自分だけが握っていればいい」なんだよね。ここがすぅだよね。

【衝動】SILENT SIREN LIVE TOUR 2024 「I'm Home」@Zepp Diver City

すぅ：「衝動」は、悔しさの塊みたいな曲ですよね。

――なんで〈握っていればいい〉にしたの？　〈わかっていればいい〉でも語呂は合うじゃない？

すぅ：ああ、たしかに。でも、「握ってる」と「わかってる」って、感覚が全然違くて。「ぐしゃ」っていう感覚。大切にわかっている感じじゃなくて、「もう自分だけわかってればいいよ！」っていう、ぶっきらぼうな雰囲気を出したかったんですよね。この曲はきれいにまとめたくなかったんです。すごく傷ついて、ぐしゃぐしゃになってる感覚を出したかったので、そういう表現にしたんだと思います。

――なるほどね。

すぅ：さっき小栁さんがポロッと「今のサイサイのスタイルは勝ち取ったものだ」って言ってくれたじゃないですか。「衝動」を書くに至った出来事によって活休をしたし、「私たちってかわいそうだな」とも思ったし。でも、自分たちでそう言うのはダサいよな、って。かわいそうな人たちじゃなくて、自分たちで選んで3人でガールズバンドを続けたということを勝ち取ったわけだから。それを代弁してくれて、すごく嬉しかったです。その想いを「衝動」に書いた。自分たちだけわかっていればいいんだ、って。その気持ちがわかってもらえた気がして、めっちゃ嬉しかったですね。

黒坂：太文字ですね。

すぅ：「SILENT SIRENは私たちが勝ち取ったものです」！

山内：さも自分たちで考えたかのように（笑）。

すぅ・黒坂：あははははは！

――（笑）でも、本当にそう思うよ。次の15年もまた続いていきますように。

すぅ：盛り上げていきます。ガールズバンド最高ってことも伝えていきます。頑張ります！

■リリース情報
Digital Single『きゅぴきゅぴ』
配信中

配信URL：https://linkco.re/5Nb0MDCe

■公演情報
『SHE SCREAM ROCK vol.1 〜SILENT SIREN × SCANDAL〜』
2025年9月7日（日）KT Zepp Yokohama
OPEN 16:00／START 17:00
※チケットSOLD OUT

特設サイト：https://silent-siren.com/shescreamrockvol1/

『SILENT SIREN 年末スペシャルライブ2025～15年でこんなにたくさん曲ができました～』
2025年12月30日（火）Zepp DiverCity (TOKYO)
OPEN 17:00／START 18:00

＜チケット＞
1Fスタンディング：6,000円（税込）※整理番号付き
1F指定席：8,000円（税込）
2F指定席：8,000円（税込）
※申込枚数＝1人4枚まで
※入場時ドリンク代を別途いただきます。予めご了承ください。
※1Fスタンディングは未就学児童購入不可、指定席は3歳以上有料