稲垣吾郎が“稲垣吾郎”らしくいられる場所ーー加藤浩次との久しぶりの共演で見せた相性のよさ

 稲垣吾郎が、7月19日放送の『人生最高レストラン』(TBS系)にゲスト出演した。ワイン好きで美食家として知られる稲垣が紹介する“人生の3皿”とは、どれほど豪華な料理が並ぶのかと思ったが、いざ蓋を開けてみると印象的だったのは、料理そのものよりも、それにまつわる人との思い出を大切にする稲垣の姿だった。

 「ひとりでいることが多く、友達も少ないタイプだった」と語る少年時代。スポーツ刈りにしなければならないという規則が嫌で、所属していたテニス部をすぐに退部するなど、幼い頃から自分なりの譲れない美学を持っていた稲垣。そんな彼が初めて友達だけで食べに行ったカレーを“人生の1皿目”として紹介した。

 家や給食で食べるものとはまるで違う、スパイスの効いた欧風カレー。その辛さに内心ではヒーヒー言いながらも、友達の前では平然を装い、かっこ悪い姿を見せまいと必死に痩せ我慢。ひとりになった帰り道、公園で水を飲みながら辛さに耐えたというエピソードには、幼くしてあまりにも“稲垣吾郎”らしさが完成されすぎているとスタジオから笑いが起きた。

 2皿目として紹介されたのは、熊本県天草市で味わったという握り鮨。この店は、草彅剛、香取慎吾とともに“新しい地図”を広げて以降に熊本を訪れた際、地元の人に「おいしいお店」として教えてもらったという。ファンミーティングを開催した地域では、3人で食事にも出かけるというエピソードを聞いたMCの加藤浩次は、「すごいなと思う」としみじみ。お笑い芸人の中では、コンビ歴が長くなるにつれて、一緒にごはんを食べに行かなくなるとよく聞くからだ。

 その話を聞いて、稲垣も客観的に「草彅さんと香取さん、あそこは友達ですからね」と答えるものだから、加藤が思わず「え、吾郎ちゃんは何なの!?」と問う。稲垣は「僕は……なんだろうな。友達っていうよりも、仲間って感じですかね。ふたりはもうそれこそ小学生ぐらいの頃からずっと遊んだりとかしてたので、入り込めない領域というか」と淡々と答える。それは、長年彼らを見つめてきたNAKAMA(ファン)なら聞き慣れた答えだったように思う。だからこそ、そこに加藤が「アレでしょ、小学校時代の感覚に戻ってるでしょ?」と聞き返したのは新鮮な視点だった。

 加藤と稲垣がこれだけじっくりと話すのは、2020年3月に『ななにー』こと『7.2 新しい別の窓』(ABEMA)で加藤が“ホンネトーク”にゲスト出演して以来だろうか。当時は、新しい地図を広げた3人が地上波テレビへの出演がなくなったことを、加藤が率先して「おかしい」と声を上げて話題になった時期だった。そんな加藤とこうして地上波テレビで再会するのも、胸が熱くなるポイントでもあった。

#稲垣吾郎 恥ずかしくてしょうがなかった…国民的アイドルが本音を激白‼【未公開】収録後SPトーク『人生最高レストラン』7/19(土)【TBS】

 長年稲垣の活躍を見てきた加藤でも、掘れば掘るほど新しい顔が出てくる稲垣が面白い。少年時代から「友達は少ないタイプ」と言いながらも、食事の話にはいつも親しい人の存在が感じられる。3皿目に挙げた料理も、「長野県の佐久平によく行くんですよ。お友達がそこでお仕事をしていて」という長野県佐久市で食べられる猪鍋だった。

 とはいえ、群れるようなべったりとした関係ではない。「恥ずかしい」と言ってファンサービスをスルーする一面がありながら、そんな稲垣らしさを受け入れてくれる多くの人たちに愛されてきた。誰にも干渉されずに自分自身の美学を貫きつつ、それでいて輪には入っているという絶妙な距離感。そんな彼の今いる環境に「心地好いんでしょ?」と切り込むと、稲垣も「そうですね!」と目を見開く。そしてすぐさま「気遣ってもらってるんですね」と言えるところも稲垣の持つ大きな魅力だ。

 稲垣が“稲垣吾郎”らしくいられるのは、そんな自分を尊重し、配慮してくれる環境があるから。もちろん、「いっぱい頑張ってきたからかな」と語るように、それは稲垣自身が長年かけて築いてきたものにほかならない。けれどそれ以上に、周囲への感謝の気持ちを忘れないからこそ、稲垣のまわりには彼を本当の意味で理解する人たちが自然と集まってくるのだろう。

 番組のラストには加藤から「稲垣吾郎さんにとっておいしいものとは?」と問われて、「今日話したこととまったく矛盾してるというか、覆されちゃうかもしれないですが」と前置きをしつつ「僕にとっておいしいものというのは、人と喜びを分かち合うもの」と答えた稲垣。もちろん、その答えには加藤からの「矛盾してんな!」という盛大なツッコミが入ったのだが、それが成り立っているから不思議だ。

 孤高の人というイメージと、作家たちとの華麗な交遊録も聞こえてくる。ひとりが好きなのに、多くの人の前に立つアイドルとして活動してきた。そんな一見すると相反するようなものが、なぜかしっくりと調和してしまうのが稲垣吾郎の魔法なのかもしれない。「今が一番幸せ」「ストレスフリー」「年齢が追いついた」と言う稲垣を面白がって切り込んでいく加藤。これまでにあまり見られなかったが、今回の出演であらためて相性のよさを感じたこのふたりのコンビネーションも、また地上波テレビで見られることを楽しみにしている。

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