ENVii GABRIELLAと歌って、踊って、私たちは生きる――“らしさ”全開で作り上げた極上のダンスホール

 ENVii GABRIELLA(以下、エンガブ)が、札幌、福岡、大阪、名古屋、東京の5都市を巡った初のオールZeppツアー『ENVii GABRIELLA LIVE TOUR 2025 「ENGABALL」』。そのツアーファイナルとして、7月6日に開催されたZepp DiverCity(TOKYO)公演の模様をレポートする。

 場内に強いビートが鳴り響き、客席にGAVii(ファンの呼称)の掲げる黄色いペンライトが灯るなか、ステージが明るくなる。そこに浮かび上がったのは、後方から強い光に照らされシルエット姿になったエンガブの3人の姿。カラフルなミラーボールが煌びやかに場内を彩るなか、HIDEKiSMの「盛り上がっていくよー!」との掛け声を合図に、アルバムの1曲目「Love is Always Light of My Life」で幕を開けた。3人はゴールドのマントをしたためており、セットの上段に登ってそのマントを扇のように広げるなど、さっそくド派手なステージングでGAViiの目を奪う。さらにシームレスに「イキル」「AMNESIA」を続けて、一気にZepp DiverCityをダンスホールへと変えた。それもそのはず、Takassyが「今までのライブは一緒に盛り上がるところもありつつも、『見て、私たちの生き様!』みたいな感じの結構暑苦しいライブだったんですけど(笑)。今回のアルバムは作っている段階から、聴いていただいている、そしてこうやってライブに足を運んでいただいている皆さんと一緒に楽しむためだけに作ったアルバムになっております」と説明したように、今回のツアーおよび4月に発売されたアルバム『ENGABALL』はライブで踊ることを目的に作られているのだ。

 『ENGABALL』の収録曲を届ける前に、エンガブのベーシックをあらためておさらいとばかりに、1stアルバム『Snack ENVII GABRIELLA』収録曲「オダマリナサイ」、そして「オワッテンネ」「ハッピーハッピーウェイウェイドンチー」「豪華ネェサン」と、エンガブらしさを凝縮させたような4曲をメドレー形式でつないで、さらに温度を引き上げる。そしてダンサー4人のパフォーマンスを挟んで場面を展開。

 スーツに着替えた3人は、『ENGABALL』収録曲「利害一致」をスタイリッシュにパフォーマンス。歌い終えると、〈利害一致です/お付き合いしましょ〉と大人の恋愛を歌う同曲について、HIDEKiSMが「凄まじい曲ですね。今までのエンガブにはなかったような爽やかなサウンドですけど、それと相反して歌詞はなんだかとてもすごく……(笑)」と感想を話し、楽曲制作を担うTakassyは「だってみんな思ってるじゃん、こういうこと。まわりの友達――少ないんですけど(笑)――みんな、『最終的には妥協だよね』って」と曲に込めた思いを語る。さらにHIDEKiSMが「私には沁みました。大好きなので、この曲」と続けるなど、3人はまるでYouTubeチャンネル「スナックENVii GABRIELLA」のようなトークを繰り広げる。

 その流れのままHIDEKiSMが「私、全然寂しくないもん。独身だけど幸せですー!」とパワフルに声を上げ、「OL -Happy Ever After-」へと突入し、日常にこそエンガブの音楽が必要であることをあらためて感じさせた。曲中には、HIDEKiSMがダンサー4人からバラを差し出され求婚されるもすべてのバラを放り投げ、その様子をTakassyとKamusがセット上段から眺めるという場面があり、また「Raining Raining」では傘を使い、Takassyが雨を思わせるような紙吹雪を降らせるなど、思わず見入ってしまうようなパフォーマンスでも楽しませていく。さらに医者に扮したKamusとナースに扮したHIDEKiSMという、Takassyいわく“陽キャ”な2人が、梅雨に入って病みがちだというTakassyを診察するという寸劇から入った「HSP」では、それまでのトークでの雰囲気から一転し、一糸乱れぬ無機質なダンスを見せる。親近感あふれるトークと、クールなパフォーマンスの緩急こそがエンガブの魅力だ。

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