UVERworldは最高の瞬間を更新し続ける──結成25年、“今”の頂点を刻んだ東京ドーム公演を振り返って

「こんなバンドがしたかった」──TAKUYA∞が語った想い、25年間の歴史

 「ビタースウィート」を演奏しながら再びトロッコで場内半周、メインステージに戻ってから再びセンターステージへ。彰、克哉、信人、誠果がスポットを浴びる「High Light!!」を経て、センター中央のせり上がりからTAKUYA∞が登場する。メインステージで吹き上がる猛烈な炎、レーザービーム、発光するリストバンドの眩しい演出の中で「MMH」を、さらに10メートルはあろうかというやぐらの上でTAKUYA∞が歌いまくる「Touch off」へ。crewの熱狂の火に油を注ぐ、怖くなるほどにスリリングなライブ演出だ。

 ここでTAKUYA∞がしてくれた、この日一番長いMC。5年半前の東京ドームが最高すぎて、crewの思い出を真空パックしたいからここで辞めてもいいかと思ったこと。それでもUVERworldを愛するたくさんのcrewの思いに触れて、ここで辞めちゃダメだと思ったこと。これからも歌い続けるために生活習慣を作り変えたことーー。決意みなぎる熱い言葉に続いてプレイした「Bye-bye to you」は、アルバム『EPIPHANY』からの最新曲だ。UVERworldの持つピュアでストレートな側面を聴かせる、セツナメロディックな曲調がぐっと胸に迫る。

彰(Gt)

 時刻は午後8時、ライブはそろそろ終盤だ。「遠慮すんな、もっと来いよ」とTAKUYA∞に煽られ、ドームが大合唱に包まれた「IMPACT」。センターステージ中央、ひときわ高い場所にドラム台を据えて、真太郎が渾身のビートを叩き出す。そして再びの長いMC、TAKUYA∞がニューアルバム『EPIPHANY』のタイトルに込めた思いを熱く語る。友達も家族も超えた仲になったメンバーを“盟友”と呼び、メンバーとcrewとの思いをひとつにする新曲「EPIPHANY」はアルバムを代表する、そして結成25年、デビュー20年のUVERworldを象徴する1曲。過去を超える代表曲を常に生み続けてきた、それが今のUVERworldというバンドだ。

真太郎(Dr)

 フィナーレが近づいてきた。俺たちにとって一番大切な曲をーーそう言って届けた「EN」は、いつどこでどんな心理で聴いても深く心を揺さぶられる名曲。〈願う以上に自分で変えろ!〉というダイレクトな言葉が、いつも以上に鋭く心に突き刺さる。

「とんでもなく最高です。俺はこんな時間がほしかった。こんなバンドがしたかった」

 飾らないTAKUYA∞の叫びから、壮大なロックバラード「MEMORIES of the End」へ。グリーンのライトと白いリストバンドの光で埋めつくされた、ドームいっぱいの美しい光景。「ラストソング、一緒に歌ってくれ。これは俺たちとあなたたちで作る歌」――「AFTER LIFE」の雄大なサウンドと美しい旋律が鳴り響く中、巨大スクリーンでは星空の中をクジラが宇宙遊泳し、センターステージには星型の紙吹雪が舞い降りる。神聖と感じるほどにドラマチックで荘厳、宇宙的な広がりに包まれたラストシーンに誰もが息を呑む。

「もっといい曲聴かせるからな。また会おうぜ」

 最後は客席をバックに笑顔の記念撮影。そしてメンバーが去ったあとの巨大スクリーンに映されたエンドロールには、結成初期の写真からついさっき撮られたばかりの東京ドームの写真まで、25年間の歴史を振り返る写真と映像、そしてバンドに関わるたくさんの人の名前が並ぶ。結成25年、デビュー20年でバンドと関わり合った人間は、さらに膨大な数になるはずだ。すべての思いを乗せてUVERworldは今“ここ”にいる。7月2日リリースのニューアルバム『EPIPHANY』は、アニバーサリーを飾る記念碑的な作品になるだろう。UVERworldの中にはまだ見ぬ可能性が詰まっている。バンドの最高の時は、これからだ。

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