急増するソロアーティストの日本武道館公演、その背景とは? imase、優里、syudou……躍進の理由と共通項

syudou、優里、Tani Yuuki、なとり、そしてimase。現在の日本の音楽シーンのど真ん中で活躍している男性ソロアーティストたちが、今年から来年にかけ、次々と“初めての日本武道館ライブ”を開催する。
音楽性はそれぞれ異なるが、共通点を挙げるとすると「コロナ禍で音楽活動を始めた」、または「ステイホームの時期にブレイクしたアーティスト」だということ。そして、確固たるソングライティング/ボーカルのスタイルを確立し、ファンとの強いつながりを持っていること。彼らの躍進は「キツい時期に創作と向かい、独創的なポップスを生み出した」という事実に裏打ちされているのだと思う。
まずは5月31日に武道館ワンマンライブ『syudou Live 2025「美学」』を開催したsyudou。2012年からボカロPとして活動をスタートさせ、インターネットの音楽シーンで高く支持されていた彼の名前は世に広まったのは、やはりAdoへの提供曲「うっせぇわ」(2020年)だろう。2021年3月には初のオリジナル歌唱楽曲「へべれけジャンキー」を発表。その後も「爆笑」、「アタシ」、「ラブトリップサマー」などをリリースし、ソロアーティストとしてのスタイルを確立した。ダークで鋭利なsyudouの音楽世界、その最初の集大成が今回の武道館公演だったと言えるだろう。
優里は6月26日、27日に『優里 日本武道館 2025 〜ファンクラブだけで武道館2daysが埋まるのかやってみよ〜』を開催する。2019年12月にリリースした「かくれんぼ」がTikTokをはじめとするSNSで拡散され、一気にブレイク。さらに「ドライフラワー」、「ベテルギウス」、「ビリミリオン」とヒット曲を重ねてきたことは周知の通り。生々しい感情を投影したリリック、濃密かつ繊細なエモーションを込めたボーカルによって、幅広いリスナーを惹きつけてきた。しかも、初の武道館公演はファンクラブ限定。これまでに築き上げてきたファンとのつながりをあらためて確認できるライブになりそうだ。
Tani Yuukiが「W/X/Y」によって瞬く間に知名度を上げたのは、2021年。ストリーミング再生回数は現在までに7億回を超え、2022年に最も再生された楽曲となった「W/X/Y」は、彼の代表曲であるのはもちろん、2020年代を象徴するヒット曲のひとつと言っていいだろう。デビュー以来、ライブに重きを置いてきたTaniは、2024年にキャリア史上最大規模のツアーを開催。「目の前にいる人に歌を届ける」というモチベーションをあらためて確認したことで、アーティストとしてさらなる向上を遂げた。音楽を始めて10年、デビュー5周年のタイミングで実現する初の武道館ライブ『Tani Yuuki Live at Nippon Budokan』は、今年12月15日に開催予定。文字通り、記念碑的なステージになるはずだ。
2022年5月に投稿された「Overdose」で一躍注目を集めたなとり。2023年に1stアルバム『劇場』をリリースした後も、「絶対零度」「糸電話」「SPEED」などの話題曲を発表し、シンガーソングライターとして表現の幅を広げ続けている。ボカロPのカルチャー、先鋭的なダンスミュージック、J-POP的なポップセンスを併せ持った音楽性は、今後もさらなる進化を続けるはずだ。2026年2月に行われる初の武道館ライブのタイトルは『なとり 3rd ONE-MAN LIVE「深海」』。どんな世界観を提示してくれるのか、今から楽しみでしょうがない。