JASRAC、2024年度の使用料徴収額・分配額は過去最高に 「2025年JASRAC賞」金賞は2年連続「アイドル」

JASRAC賞、2025年定例記者会見レポ

 日本音楽著作権協会(JASRAC)が、2025年定例記者会見および2025年JASRAC賞の発表を5月16日に都内にあるJASRAC本部にて行った。

 登壇したのは会長である作曲家・弦哲也をはじめ、理事長の伊澤一雅氏、常務理事の増田裕一氏、須子真奈美氏、常任理事の露木孝行氏ら役員の面々。2024年度事業説明の総括を担当した伊澤氏は、2024年度の徴収・分配の概況に関して、徴収額は1445.8億円で前年度から74.2億円の増加、5.4%拡大し過去最高を記録し、「各種サブスクリプション、あるいは動画投稿サービスをはじめとした配信分野と、コンサート、特にドーム・アリーナなどで行われる大規模な興行の活況がこの使用料の伸びを牽引しています」と説明した。また、クリエイター、音楽出版社など権利者に分配した使用料は、1423.3億円で前年度より72.1億円の増加、5.3%拡大。こちらも過去最高額となった。

弦哲也会長
伊澤一雅理事長

 2025年度の見込みについては、国内において、引き続き配信、ライブコンサートの好調が牽引する形で、使用料徴収の伸びが続くとしながら、「市場自体の成長という面もありますけれども、利用環境の変化に合わせた使用料規定の改定、あるいはより良い経済条件の獲得のための利用者のみなさまとの交渉、サービスの皆様とのそれぞれの契約の公開など、地道な努力をこれまでずっと続けてきたことが、ここへきて今の市場の拡大、成長をしっかりと対価還元に反映できている、結びつけられているというふうに実感しております」とコメントした。

 今年初開催される国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』の授賞式が5月21日、22日に開催され、JASRACはプライズパートナーとして協賛。「共創カテゴリー」内にJASRACが主催する「2025年JASRAC賞」の金賞作品を表彰する「クリエイター特別賞 Song of the Year for Creators presented by JASRAC」が創設される。伊澤氏は来週に迫った式の開催について、「とてもとても期待をしております」とコメント。続けて、「日本の音楽を海外に発信していく動きが加速している中で、海外から日本のクリエイターにもたらされる著作権使用料、これを増加させていくということは、JASRACの今最も重要な取り組みです。音楽クリエイターの海外進出を、著作権使用料の還元という形でしっかりと応援していきます」と表明しながら、JASRACとクリエイターとの信託契約を呼びかけた。

 高度化、普及が進んでいる生成AI。伊澤氏はクリエイターが中心になって意見や考えを発信していくことが重要だとし、「JASRACでは、こうしたAIを使った作品についての著作権の届出、あるいは私どもの、それら作品についての管理の仕組みについてガイドラインを示して、委託者に分かりやすくお知らせをしています。創造のサイクルを活性化させて創作の価値を高めながらコンテンツ産業を発展させていくためには、人の創作の価値、人が創作した著作物の価値を揺るがしてはいけません。クリエイターの活動基盤の安定のためには、著作権法30条の4の見直しを含めた検討を早急に行う必要があると考えています」と述べた。 

増田裕一常務理事
須子真奈美常務理事
露木孝行常任理事
宇佐美和男常任理事

 2025年JASRAC賞は、金賞がYOASOBI「アイドル」、銀賞がCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」、銅賞がAdo「唱」、国際賞が「ワンピース BGM」、外国作品賞がソフトバンク「白戸家」のCMソングでもあるクインシー・ジョーンズの「SOUL BOSSA NOVA」が受賞した。JASRAC賞は、前年度にJASRACから著作物使用料の分配額が多かった作品の作詞者・作曲者・音楽出版社の功績と栄誉を称え表彰するもので、1982年の創設から今年で43回目を迎えた。

 昨年に続き金賞を受賞した「アイドル」は、アニメ『【推しの子】』の主題歌としてリリースされると、瞬く間に全世界へ支持を広げ、多数の音楽賞を受賞。その後も勢いは止まらず、ストリーミング累計再生回数は2025年3月に9億回と突破。インタラクティブ配信の分配額が2位となったほか、ゲームやカラオケなど、幅広い分野で利用され、2年連続の金賞に輝いた。

 また、JASRAC賞の発表では最後に『MUSIC AWARDS JAPAN』で新設される「クリエイター特別賞」に触れ、「音楽クリエイターのみなさまの功績を広く社会に発信するための新たな取り組みです。JASRACは、音楽クリエイターのみなさまやその創作の価値を高めていくため、今後様々な取り組みを進めてまいります」と宣言した。

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