CANDY TUNE、2周年の軌跡を辿る“らしさ”全開のステージ　初アリーナワンマンで見せた今の到達点

　ここまで熱狂的なステージを展開してきたCANDY TUNEだが、「エトセトLOVE YOU」では愛をテーマにやわらかなメロディが響き、「ナナイロプロローグ」では初期の情熱とともに、成長してきた7人の今が優しく重なる。「いえなかったことば ～ありがとう～」では、ペンライトの海が7色の祈りのように揺れていた。

　「WAO！アオハル！」で全員がタオルを振り回し、「レベチかわいい！」ではメンバーが次々とステージ前方へ飛び出し、“かわいさ”という概念の臨界点を叩きつける。南なつの「もっともっと楽しんでいきましょう！」という煽りから、本編ラストとなる「倍倍FIGHT!」へ。TikTokで20億回超の再生を記録したこの楽曲では、冒頭から客席の熱量が爆発。あめちゃんとのコール＆レスポンスもこの日最高の盛り上がりを見せ、会場が揺れるほどの熱狂に包まれた。これまで何度もCANDY TUNEのライブに足を運んでいるが、この日の「倍倍FIGHT!」には、彼女たちが2年間で積み重ねてきた経験と信頼のすべてが込められていたように思う。曲の勢いに頼ることなく、メンバーそれぞれが表情や煽りで観客と丁寧に向き合っており、フロア全体を巻き込む構成力が増しているのだ。

　アンコールでは、Tシャツ姿で再登場した7人が初披露の新曲「LASTING TUNE」を届けた場面が、この2周年ライブにおける最大のハイライトとなった。

　村川が「運命のように出会えた7人と、あめちゃんのみんなと一緒にいられることが幸せです。この追加公演で初披露の新曲を持ってきました」と語り、新章の幕開けを宣言する。静かに始まるピアノの旋律に乗せ、7人はこの2年間に積み重ねた感情と経験を、言葉と歌にして紡いでいく。福山梨乃が「まるで宝石箱のように輝いている2年間をありがとう」と涙を浮かべれば、宮野は「これからもみんなで終わらない旅路へ」と前を向く。「倍の倍の倍で満たしたいな」と微笑んだ村川の言葉には、彼女らしいユーモアと優しさがにじんでいた。小川の「絶対見捨てないから」は、観客一人ひとりへの真摯な約束として力強く響いた。桐原美月の「いつも答えはきゃんちゅーらしく」は、これまで彼女たちが守り続けてきたスタンスをあらためて刻み込むものだった。南が「みんなのこと、たくさん愛させてください」と語れば、立花が「皆様のこれからもhanamaruで笑顔でいられますように」と優しく締めくくる。

　一人ひとりの言葉が、リレーのようにつながっていくその瞬間、ステージと客席のあいだに確かな信頼の温度が生まれていた。それは、ただの“感謝”ではなく、彼女たちがこの2年間で選び取ってきた生き方への誓いにも聞こえた。

　ラストは再び「キス・ミー・パティシエ」「倍倍FIGHT!」を連続で披露。メンバーがアリーナの端々まで駆け、あめちゃんと視線を交わし、手を伸ばし、ひとりも取り残さないように最後まで全力で歌い踊った。軽やかな王道アイドルの皮をまといながら、その実、CANDY TUNEのライブには“誠実さ”が宿っている。ふざけるときは全力で、泣くときも笑うときも手を抜かない。そこに彼女たちの強さがあり、未来へと続く確かな歩みがあるように思うのだ。

　2周年のアリーナワンマンを経て、CANDY TUNEは、アイドルとしての夢の形を“実感”という手触りのあるものに変えていく段階に入ったのかもしれない。グループ初の全国ツアー『CANDY TUNE JAPAN TOUR 2025 - AUTUMN -』の開催も発表され、10月から神奈川・KT Zepp Yokohamaを皮切りに、全国8都市を巡るスケールの大きな旅路が待っている。アニバーサリーイヤーを経て、7人が次に見せてくれる景色に、期待が膨らむばかりだ。

＜セットリスト＞
01. キス・ミー・パティシエ
02. hanamaru
03. 未完な青春
04. 絶対きゃんちゅー宣言っ!
05. CATCH YOU
06. TUNE MY WAY
07. Twilight Dilemma
08. 備えあれば無問題
09. 推し♡好き♡しんどい
10. 必殺あざとポーズ
11. エトセトLOVE YOU
12. ナナイロプロローグ
13. いえなかったことば ~ありがとう~
14. WAO!アオハル!
15. レベチかわいい!
16. 倍倍FIGHT!
EN01. LASTING TUNE
EN02. キス・ミー・パティシエ
EN03. 倍倍FIGHT!