連載「lit!」第148回:ベンソン・ブーン、CA7RIEL & Paco Amoroso……“春フェス”で存在感示すグローバルアーティストの新作

 ここからは、『プリマヴェーラ』に出演する注目のアーティストを紹介する。いずれも出演前後で新作アルバムのリリースが決まっており、来日公演も期待がかかるバンドばかりだ。実際に現地に行かずとも、ラインナップを眺めて調べてみるだけで多くの情報が得られるので、ぜひチェックしてみてほしい。

Haim「Relationships」

 カリフォルニア出身の三姉妹バンド・Haimが5年ぶりとなる新作『I quit』から発表した「Relationships」は、70年代Fleetwood Macを思わせる美しいハーモニーと洗練されたアレンジメントが光る一曲だ。親しみやすいメロディとソウルフルなミニマル・ファンク・グルーヴを通して、人間関係の矛盾、曖昧さ、そして疲労感を絶妙に表現している。

 パンデミックの影響で以前予定されていた出演が中止となってしまっていたが、今年はついに『フジロック』への登場も決定。実に12年ぶりの待望のステージとなる。

HAIM - Relationships (Official Video)

Turnstile「NEVER ENOUGH」

 Turnstileも最新アルバム『NEVER ENOUGH』を6月に発表予定だ。同名タイトル曲は、彼らの持ち味であるハードコア・パンクの爆発性を残しつつ、より内向的でアンビエントなサウンドへとシフトしている。シンセやキーボードによる静謐なイントロから始まり、一気にバンドの特徴的なドラムやギターが曲を推進するのが痛快だ。

 2024年の『フジロック』での大熱狂も記憶に新しいが、世界のフェスシーンで存在感をどんどん上げている。ハードコアとメインストリームの橋渡し役として、真の意味でジャンルを飛び越えた重要な存在なのだ。

TURNSTILE - NEVER ENOUGH [OFFICIAL VIDEO]

Black Country, New Road「Besties」

 ロンドンのポストロックシーンから出てきたBlack Country, New Roadは、ボーカリストのアイザック・ウッドが脱退した後もなお、バンドは結束した創造性を深化させ続け、「Besties」で再び音楽シーンに新鮮な風を吹き込んでいる。

 リードボーカルを務めるのは、ヴァイオリニストでJockstrapでも活躍するジョージア・エレリーだ。これまでの重厚かつメランコリックなサウンドから、希望に満ちた風通しの良い作風へと生まれ変わっている。フレンドシップや結束をテーマに、バラード的な雰囲気と華やかなブラス、パーカッションが織り交ぜられ、楽曲全体に連帯感と支え合いの力強さと温かさが宿っている。そして何よりも本当にバンドの誠実な雰囲気がひしひしと伝わってくる点に心を打たれる。2025年12月には待望の来日公演も控えている。来年以降もフェスのラインナップでよく名前を見かけることになるだろう。

Black Country, New Road - 'Besties' (Official Video)

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