毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はVaundy「僕にはどうしてわかるんだろう」、ちゃんみな「WORK HARD」、Travis Japan「Would You Like One?」、キタニタツヤ「あなたのことをおしえて」、MISAMO「Message」、いきものがかり「彩り」の6作品をピックアップした。（編集部）

Vaundy「僕にはどうしてわかるんだろう」

　本当に求めていたものに出会ったとき、目標の場所にたどり着いたときに、人はしばしば「この感じ、知ってる！」と感じるという。「こうなったらいいな」というビジョンを正確にイメージできていれば、それが現実になったときに「思い描いていたのと一緒だ」と思う……というのがその理由だが、Vaundyの新曲でドラマ『PJ 〜航空救難団〜』（テレビ朝日系）主題歌の「僕にはどうしてわかるんだろう」を聴けば、その感覚を疑似体験できるはず。そのことを象徴しているのが〈全てのことが／走馬灯、胸に残っている〉というライン。そしてこのフレーズは、頭のなかに浮かんできた音像やデザインを形にし、一足先に未来の音楽を生み出し続けてきたVaundyの創作スタイルともつながっていると思う。（森）

ちゃんみな「WORK HARD」

　つんのめるように疾走するビート、軽やかに飛び跳ねる音像のなかで放たれるのは、「働け働け働け働け」という真っ当すぎるメッセージ。アニメ『呪術廻戦』シリーズ（MBS／TBS系）やアニメ『NINJA KAMUI』などを手がけた朴性厚（パク・ソンフ）監督の初の完全オリジナルアニメーション『BULLET/BULLET』の主題歌として制作された「WORK HARD」は、目標に向かって必死に頑張る人に向けられた濃密かつパワフルなエナジーソング。「何もしないで『ああなりたい』『こうなりたい』と羨ましがってもしょうがない」「欲しいもの、行きたい場所があるなら、とにかく働くしかない、というか、やりたいならとっくにやってるはずでしょ？」とこの曲はリスナーを焚きつける。自身の音楽活動、HANAのプロデュース、プライベートでの結婚や出産など、とにかく働きまくっている彼女の生き方そのものが「WORK HARD」の説得力に直結している。（森）

Travis Japan「Would You Like One?」

　まさかの映画化となる『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』。主人公・らいおんくんの声優がメンバーの松田元太という縁もあり、Travis Japanが初の映画主題歌を担当。老若男女に親しまれている物語（いや、お菓子）ゆえ、誰もが笑顔で参加できる親しみやすいダンスナンバーが誕生した。ピンチを乗り越えてハッピーエンドに向かおうと歌うアッパーな展開だが、コテコテな祭囃子とは一線を画すスマートなビート、そして英語詞部分の小気味良いフロウがTravis Japan流。なお、映画とはまた別物として、流行らないラーメン屋「虎美寿」（トラビス）を舞台に80年代風のストーリーが展開するMVもなかなかの力作。（石井）