山田涼介、ソロアルバムでランキング首位獲得 多彩な楽曲と表情が垣間見える良作『RED』楽曲解説
白眉は先行シングルでもある「snow moon」。繊細なグリッチ寄りのエレクトロニクスが入ったバラードで、サビで歌うようにうねるベースラインも非常に印象的。ビートが強いわけでもないし、ボーカルもウィスパー寄りのハイトーンではあるのだけれど、ピアノがサポートする丁寧な展開が力強い高揚感を生み出している。
同じく先行シングルの「SWITCH」は、UKドリルのビートから始まって4つ打ちのキックが入り、サビはジャージークラブのパターンを援用。カットアップされたコーラスや弾むようなベースの音色もあいまって、ジャージークラブというよりはスピードガラージなどのUKガラージのテイストを感じる(終盤はまさにそれ)。ほか、爽やかでアッパーなハウスの「INTO YOU」やボーナストラックの「SUPER GROOVE」もいいけれど、「No ID」のサビで飛び出すトリッキーなヨレたボーカルのフロウが特に印象的。
ファンの心をくすぐる“ベタ”な楽曲も前半にがっつり入ってくる一方、シングル曲やリード曲を中心に現代のボーイズグループ的なダンサブルで攻めた曲も充実している。しかし、どちらかが浮くということはなく、アルバムとしてバランスが取れている。瑞々しさとクールな佇まいが同居した良作だ。