髙石あかり、歌唱シーンやMV出演など音楽面でも広がる活躍 楽曲の世界に溶け込む繊細な表現力

 髙石は、“歌手”としての優れた表現力を持ち合わせている俳優である。そういったこともあってか、人気ミュージシャンたちのMVやアートワークへの出演も増えてきている。それらを見て感じるのは、髙石が、楽曲が物語る世界観に自らを溶け合わせる才能に秀でていることである。

 自分を支えてくれる存在の大切さについて歌ったOmoinotake「幾億光年」(2024年)のMVでは、主人公の男性の思い出の中にある女性を髙石が演じている。彼女が劇中で見せるとびっきりの笑顔が、なんでもない日常の尊さと儚さを感じさせた。

Omoinotake | 幾億光年 【Official Music Video】

 indigo la End「名前は片想い」(2023年)のMVでは、片想いしている女性への募る感情を髙石が体現した。相手が別の方を向いているときにチラッと見る視線、スマホで撮った彼女の写真に口づけをするシーンなど、様々な心の揺れを繊細に表現している。何より同性に対する愛情を、すっと受け止めさせてくれた。

 これら2曲で髙石が漂わせていたのは、フラットな空気感だ。MVの鑑賞者は髙石の姿に、自分にとっての大切な存在に重ね合わせてみたのではないか。醸し出す雰囲気、表情、さらに服の着こなし方やちょっとした仕草など、いずれもいい意味で特別さがない。演技として着飾らなさを表現でき、それが鑑賞者の共感を呼ぶ。これが髙石の俳優としての大きな強みだ。また、ノスタルジックな映像にマッチする絶妙な佇まいも、髙石の良さとして挙げられる。これらはつまり、髙石が楽曲の世界に溶け合っていることの証である。

indigo la End「名前は片想い」

 マカロニえんぴつ「然らば」(2025年)では、配信シングルのジャケットアートワークに髙石が起用された。同曲はテレビアニメ『アオのハコ』(TBS系)第2クールのオープニングテーマ。期間限定生産『アオのハコ』盤のアートワークはアニメのヒロイン 蝶野雛をフィーチャーしたものになっており、髙石が登場した配信シングルのアートワークとは構図的に対比したものになっている。

 「然らば」は、青春とは確かに美しくて煌びやかである一方、一瞬で過ぎ去ることからまるで偶像のようでもあることを実感させる曲になっている。いかにも“青春”な蝶野雛のアートワーク上の佇まいと、髙石がアートワーク上で醸し出すリアルさやありふれた感じは、そういった楽曲のメッセージ性そのものではないだろうか。曲中に出てくる〈シンビジウム〉の花言葉「飾らない心」「素朴さ」が垣間見え、ここでもまた、髙石の表現する着飾らなさが作品の世界観と融合していると言える。

 髙石は今をときめく俳優として、際立った存在である。“歌手”として強烈な個性を放つこともできるし、MVやジャケットアートワークでは楽曲の世界観と溶け合うこともできる。音楽面での活動を通し、改めて「髙石あかり」という俳優が持つ多面性と深みを知ることができるのではないだろうか。

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