『モアナと伝説の海2』大ヒットを牽引した“音楽“の力 ME:I、Diggy-MO’らによる心を鼓舞する楽曲たち

昨年12月6日の日本公開後、ディズニー・アニメーション史上歴代3位の好スタートを切り、約2カ月で興行収入50億円突破の大ヒットを記録した『モアナと伝説の海2』。本作のオリジナル・サウンドトラックのデラックス版が、2月28日に発売。さらに3月26日からディズニープラスにて見放題独占配信もスタートする。
2017年公開の前作『モアナと伝説の海』から3年後を描いた『モアナと伝説の海2』。主人公のモアナが暮らすモトゥヌイ島は、南太平洋のポリネシアがモデルとされている。青く輝く海に、神秘的な生物や自然の風景を描いたうっとりするほどの映像美、モアナが冒険を通して成長していくメッセージ性の高いストーリーもさることながら、本作の大きな魅力のひとつに“音楽”が挙げられるだろう。
民族楽器の響きに、壮大で美しいコーラス。神聖で南国ムード漂う音楽たちは、聴き手を一瞬にして映画の世界へと引き込んでいく。なかでも重要なのが、劇中で登場人物たちが歌い上げる名曲の数々だ。ディズニー作品では主人公の心の叫びが歌を通して伝えられることが多く、『モアナと伝説の海2』において、モアナの心情が強く表れているのが劇中歌 の「ビヨンド ~越えてゆこう~」(原題:「Beyond」)だ。
前作で村を救うために大海原へと繰り出し、半神半人の英雄マウイとの出会いにより航海術を身につけたモアナは、今作でより大きな冒険をすることになる。何年かかるか分からない、もしかしたら愛する家族に二度と会えないかもしれない、危険で未知なる旅。出航前にモアナ(CV:屋比久知奈)が歌う「ビヨンド ~越えてゆこう~」では、彼女の迷いや葛藤が表現されている。屋比久は、ときに力強く、ときに自らに語りかけるように声に表情をつけ、モアナの揺れ動く感情を歌で届ける。曲のなかで変化していくモアナの心情が、その歌唱から伝わってくる。途中で挟まれるのは、常に彼女を見守ってきた祖母のタラおばあちゃん(CV:夏木マリ)の言葉。〈物語の先は わからない/でもどんな自分になるかは/決められる〉という助言に勇気づけられたモアナは、自分を奮い立たせるように〈私はモアナ〉と叫び、最後に〈誓うの 海の果てさえも/越えてゆこう〉と高らかに歌い上げるのだ。
またエンドロールで流れる「ビヨンド ~越えてゆこう~(日本版エンドソング)」は、 ME:Iが歌唱を務めたことも特筆しておきたい。ME:Iは、サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』にて結成された11人組ガールズグループ。デビューした2024年には早くも『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に出場するなど高い人気を誇っており、メンバーはモアナと同世代だ。 そんな彼女たちによる日本版エンドソングでは、メンバーが一人ずつフレーズを歌い繋いでいくため、劇中で歌われるものとはまた違った雰囲気を楽しめる。個人的には、この曲が複数人で歌われることにも意味があると思っている。というのも、『モアナと伝説の海2』はモニ(CV:小関裕太)、ロト(CV:鈴木梨央)、ケレ(CV:山路和弘)といったモトゥヌイ島の住民たちもモアナの旅に加わり、力を合わせて試練を乗り越えていく物語だからだ。そしてME:Iもまたオーディションという過酷な環境を仲間と支え合うことで乗り越え、ファンに笑顔を届けている存在であり、 「ビヨンド ~越えてゆこう~(日本版エンドソング)」は、そんな人間同士の絆やつながりを表現する曲として、映画のラストを彩っているように思う。