LUNA SEA×GLAY「俺たち、すげえ時代に生まれたんだな」 世紀を超えたメモリアルな一夜、25年ぶりの競演
20分の休憩を挟み、SEがLed Zeppelinの「Radio Show Segment 5」からベートーヴェンの「月光」に変わるとミラーボールが輝き、LUNA SEAのメンバーがステージに現れた。J(Ba)がベースを鳴らすとRYUICHI(Vo)が「STORM」と静かに告げ、その瞬間に東京ドームが弾けた。のっけから気迫満点の代表曲にオーディエンスが上がらないわけがない。畳み掛けるように真矢(Dr)がシンバルを叩いて「Déjàvu」へ。ビジョンに懐かしいMVが映され、まさに歌詞の通りに〈未来・過去・今、人々のドラマ。シナリオはいつもDéjàvu〉と言いたくなる光景になった。熱気満点の歌を聴かせたと言うのに、歌い終わるとRYUICHIは穏やかな声で語りかけた。
「みんな元気? 久しぶりにきてみたら、めちゃめちゃでっかいライヴハウスだね。俺たちは昨年、ホールツアーで41カ所。昔の楽曲、昔のライヴをコンセプトとしてずっとやってきました。きてくれた人もいると思うけど、今俺たちはGLAYのみんなとの今日、そして明日のグランドファイナルに向けてここにいます。GLAYがいなければ俺たちいなかったと思うし、俺たちがいなければGLAYもいなかったかもしれない。同世代の仲間として絶対にやりたいなと思ったGLAYとの対バン。25年ぶり。本当に嬉しいです」
ビジョンに浮かぶ『The Millennium Eve 2025』の文字を背負ってのこのMCに、LUNA SEAの気持ちが込められていた。「DESIRE」ではオーディエンスとアカペラでシンガロングし、「SHINE」では懐かしいMVと同じフォーメーションで締めくくった。そして、RYUICHIがさらに熱い想いを語る。
「俺たちLUNA SEAとGLAY、この35年間いろんな経験をしてここに辿り着いた。いろんな出来事があって、今ここに再び集まった。俺たち、すげえ時代に生まれたんだな」
INORAN(Gt)のアコギでRYUICHIが歌い出した「IN SILENCE」は、そんな感慨を含んだように聴こえた。そしてニューウェーブ色の濃いナンバー「SEARCH FOR REASON」でLUNA SEAならではの世界を描き出す。じっと聴き入ったオーディエンスに、歌い終えたRYUICHIが語りかけた。
「みんな、楽しんでくれてる? もしかしたらGLAYのファンの皆さんは『ん?』と思ってるかもしれないけど(笑)、LUNA SEAには楽しめる曲と深い曲がある。GLAYとの絆がみんなのなかにもきっと届いていると思う。すごいバンドがたくさん生まれたあの時代、おそらくこれからもGLAYやLUNA SEAが牽引していくんじゃないか――そういうことも含めて、俺たちがここに立てたことは、ギフトだと思う」
そんな思いを伝えるような「I for You」のあとで、「Buddy(GLAYのファンの呼称)のみんな、盛り上がっていこうか!」とRYUICHIがGLAYファンに呼びかけて始めたのは「SOUL LOVE」。GLAYの「JESUS」への返礼というわけで、LUNA SEAのファン・SLAVEたちもGLAYのファン・Buddyたちも一体となって大興奮。このイベントならではのサプライズアゲインだ。その興奮をさらに燃え上がらせるように「BELIEVE」「ROSIER」と畳み掛けて、LUNA SEAはステージを降りた。
アンコールがまた驚きの展開だった。ビジョンに両バンドのメンバー全員でのミーティング風景が映り、TAKUROが「LUNA SEAの皆さんと夢バンドを作りたい」と提案。そしてRYUICHIとTERUからリレー形式でひとりずつメンバーを指名するシステムで、ふたつのドリームバンドが組まれた。そのミーティングで「テナシー」とバンド名を決めた4人(TERU、TAKURO、INORAN、J)がまずはステージに登場し、演奏したのはLUNA SEAの「TRUE BLUE」。嬉しそうに歌うTERU、INORANと顔を見合わせるTAKURO、皆が笑顔で演奏を楽しんでいた。その後に彼らに代わりステージに上がったのは、「THE☆BAND」を名乗る5人(RYUICHI、SUGIZO、HISASHI、JIRO、真矢)。SUGIZO(Gt/Violin)がバイオリンで奏でたのは、GLAYの「BELOVED」のメロディ。新たな味わいで始まった曲は、どちらのバンドのものでもない新しいナンバーのようだった。
歌い終えたRYUICHIが「ここでもう一度、テナシーをお呼びしたい」と告げ、テナシーのメンバーがステージに現れると、HISASHIが「エクスタシー・サミット?」と言い、TERUが「YOSHIKIさん、いないですよね?」と言ったのに対し、「海外にいると思います(笑)」と答えたRYUICHI。お互いが素になってわちゃわちゃと話している貴重なシーンも微笑ましかった。そして全員で「WISH」を演奏し、このスペシャルな夜のフィナーレを飾った。
最後にTERUが「LUNA SEAからお声がかかってなかったら、この素敵な時間を過ごせませんでした。みなさんありがとうございました。明日も楽しんでください」とエールを送り、名残惜しそうに9人はステージを降りた。