INABA / SALASとTMG、再始動で注目集める“独自のサウンド” B'zとは異なる稲葉浩志&松本孝弘の表現力
TMGが表現するロックバンドの生々しいエネルギー
TMGは、松本がそのギタリストとしてのアイデンティティを存分に発揮するプロジェクトだ。2004年に活動開始し、MR. BIGのボーカリスト エリック・マーティン、Night Rangerのベーシスト&ボーカリスト ジャック・ブレイズなど、豪華な顔ぶれを揃えている。エリックのボーカルスタイルは繊細かつパワフルで、松本のドラマティックなギタープレイと完璧にマッチする。ライブでもそんな松本のギタープレイが一段と輝きを放っており、エリックの圧倒的な歌唱力とジャックの力強いベースが絡み合う中、松本のギターはその中心に位置し、観客を熱狂させる。TMGのステージはB'zのような大規模なショーというよりも、ロックバンドとしての本能をむき出しにした、より生々しいエネルギーを感じさせるのだ。その結果、TMGではB'zとは異なる硬派なハードロックの世界観が構築されている。
TMGのスタイルを象徴する楽曲のひとつがアルバム『TMG I』に収録された「OH JAPAN 〜OUR TIME IS NOW〜」である。エッジの効いたギターと力強いボーカルが融合したナンバーで、松本の技巧派としての側面を存分に堪能できる1曲だ。さらにボーカルスタイルの違いも楽曲に異なる印象を与えており、稲葉のボーカルが切れ味鋭い言葉のエッジと幅広いレンジで楽曲を彩るのに対し、エリックは感情に直結した骨太な歌唱で楽曲に深みを与えていく。こうした要素が混ざり合い、TMGの音楽は幅広いリスナーに訴求する仕上がりとなっている。
INABA / SALASとTMGは、それぞれ稲葉と松本の個性を存分に発揮する場であるが、同時にB'zの活動とも密接にリンクしている。稲葉がINABA / SALASで培ったグルーヴ感や表現力、松本がTMGで磨いたハードロックのダイナミズムは、B'zの楽曲にも新たな風を吹き込む原動力となっているのだ。今年でデビューから37年を迎えるB'zだが、稲葉と松本がそれぞれのプロジェクトを通じて新たな挑戦を続けていることは、ファンにとって大きな喜びである。INABA / SALASやTMGの再始動が示すように、彼らの音楽は常に進化し続けていく。

























