百田夏菜子「いろんなものを引き寄せてたくさんの感情と出会ってきた」 初ソロアルバム『ビタミンB』を語る

百田夏菜子、初ソロアルバムを語る

私は何かが起こった時でも笑っていたい

百田夏菜子(撮影=加古伸弥)

――『ビタミンB』というタイトルや全体のテーマはどんなところから考えていったんですか?

百田:『ビタミンB』には、自分で作詞した楽曲がたくさん収録されています。それはつまり、私が今までの人生のなかで感じたこと、出会ってきた感情や言葉、私の人生がいっぱい詰まっているアルバムということになるわけじゃないですか。そういうアルバムのタイトルやジャケットをどうするかスタッフさんと話をしている時に、いろいろなものを引き寄せることのできるものにしたいと思ったんです。それは私自身が人生のなかでいいこともそうじゃないことも、いろんなものを引き寄せてたくさんの感情と出会ってきたと思っているからでもあって。それに、お客さんが赤い服を着ていっぱいライブにきてくれる、そういう引き寄せる意味も含めて、“引力”のようなものをテーマにすることになったんです。で、会議のなかで私が「“引力”ということは、私のなかでは“ビタミンB”です」と言ったら、スタッフさんたちが「え?」って(笑)。

――普通、そうなりますよね(笑)。

百田:昔、バラエティ番組で「ニュートンがりんごで発見○○」という問題が出された時に、引力じゃなく「ビタミンB」と私が答えたことがあったんです。だから、“引力”と言ったら“ビタミンB”しか出てこなくて(笑)。そのエピソード、いまだにみんなが笑ってくれて、ビタミンB自体に元気にするパワーがありますし、アルバムを聴いてくださる方が元気になってくれたらいいなという意味も込めて、『ビタミンB』というタイトルに決まりました。

――百田さんの顔面にりんごがぶつかってるのに超いい笑顔というジャケットがとても素晴らしいですが、何か撮影に関するエピソードはありますか。

百田:人生のなかで何が起こるかは予測できないし、何でも急にやってくるものじゃないですか。そもそも自分がアイドルになるなんて予測できなかったことでもありますし。不意に何かが起こる瞬間を切り取りたいと思って、このジャケット写真になりました。顔にぶつかるものを何にするかでいろいろな意見が出たんですけど、結局何周もまわってりんごに決まったんです。撮影では、棒に突き刺した本物のりんごを「せーの」でちょっとぶつけるというのを何回か繰り返して撮りました。私は何かが起こった時でも笑っていたいという思いが根本にあるんです。だからこの表情でもあって(笑)。

――どんな時でも常に笑顔でいたいと(笑)。

百田:予期せぬことが起きても楽しんでたいな、当たってることすら楽しんじゃうっていう(笑)。驚きの表情よりも笑顔の写真がいいなと思って、このジャケット写真ができあがりました。

氣志團・綾小路 翔が書き上げた“最強感”の新曲

百田夏菜子(撮影=加古伸弥)

――百田さんらしくて最高ですよ。アルバムのリード曲「惚れたが勝ちのI LOVE YOU」は、氣志團の綾小路 翔さんによる楽曲ですね。

百田:アルバムのジャケット写真と別に、ちょっと強めの表情の写真を撮ったんです。これも打ち合わせで、私が「ヤンキーになりたい」みたいなことを言ったからで(笑)。私は、男気あふれて、ちょっと抜けていて、でもかっこいい世界観が、ビジュアル含めてすごく好きなんですよ。もし不意にりんごがぶつかって、私がヒーローになれたとしたら、男前な姿に変身して何かを救いたい――というドラマを自分のなかで勝手に作っていったんです。

百田夏菜子【MV】惚れたが勝ちのI LOVE YOU -MUSIC VIDEO-

――アルバムのジャケットは、ヒーローになる変身シーンだったと(笑)。

百田:はい(笑)。私はヒーローがすごく好きで、小さい時からずっとヒーローへの憧れがあるんです。そのヒーローになれた姿として、このイケイケなビジュアルを撮ったんです。そのなかで、翔さんのお顔が頭に浮かんだんですよね。氣志團さんとは毎年お互いのフェスに出演し合ったり、私たちが楽曲をカバーしたり。でも、楽曲を書いていただくことはこれまでに一度もなかったんです。「もし翔さんに書いてもらえたらすごいアルバムになるなあ」と思ってお願いしたら、心よく引き受けてくださって。翔さんに写真を見ていただいて、そこから曲を書いてもらいました。

――まさかのビジュアル先行で曲ができたんですか。

百田:そうなんです! ビジュアルを見ていただき、“最強感”が滲む歌詞にしていただきたいとお伝えしたんです。そうしたら「惚れたが勝ちのI LOVE YOU」をいただいて、私はめちゃくちゃ幸せ者です(笑)。

――歌詞で好きなポイントは?

百田:〈じゃん じゃん じゃん じゃん ジャンジャジャーン〉です。

――言葉というか擬音ですね(笑)。

百田:あはははは! この部分、最初に見た時には「どういうこと?」と思ったんですけど(笑)、頭から離れなくてすごく好きなんです。それに、曲調はすごくキャッチーなのに、ちょっと大人っぽい感じもするなって。翔さんが「エネルギッシュで元気な感じを目指して書いたら、なぜか昭和ラテンにたどり着きました」「それもかっこよく歌ってくれるんじゃないかなと想像しながら書きました」というようなことを伝えてくださったんです。しかも、「何かありましたらすぐに全部を書き直します」って、翔さんらしいコメントも一緒に(笑)。「ぜひこのままで!」とお返事して、今回アルバムのリード曲として歌わせていただきました。

――実際歌ってみていかがですか。

百田:氣志團さんの楽曲もそうなんですけど、この曲も一度聴いたらすぐに歌いたくなるような頭から全然離れないキャッチーさがあって、「さすがだな!」と思いました。そんな楽曲をいただけたことに本当に感謝してます。

百田夏菜子の“脳内会議”

百田夏菜子(撮影=加古伸弥)

――「ビタミンB」についても教えてください。

百田:今回アルバムをリリースするのにあたってツアーを開催することも決まっていたので、ライブで盛り上がる曲を作りたかったんです。それにプラスで、私がまだ歌ったことのないジャンルは何か考えていた時にメタルにたどり着いて。「『ビタミンB!』ってガンガン叫ぶ曲、いいですね!」とスタッフさんとも盛り上がって、歌詞を只野菜摘さん、作曲をinvisible mannersさん(平山大介/福山 整)という、ももクロの曲でもたくさんお世話になっている方々に書いていただきました。すごくかっこいい曲を書いていただいて、うれしかったです。「ビタミンB! ビタミンB!」とみんなでコールする一体感だったり、ライブでの楽しさが想像できる曲なので、「早くライブで歌いたい!」と思いました。歌詞は、只野さんが私をイメージして書いてくださったそうなんです。

――みんなを守る、それこそヒーロー感がある歌詞ですね。

百田:「只野さんは私のことをこんなふうに思ってくれてるんだ!」と感じられて、すごくうれしかったし、大切に歌わなきゃいけないと思える一曲です。

――もうひとつの新曲は、アルバムのラストを飾る、百田さんが作詞した「コジらせMAX」です。

百田:この曲は、今まで(歌詞に)書いてきたような前向きさとはちょっと違う感情をピックアップして書こうと思ったんです。私のなかにもいろんな感情があって、いろんな考え方の自分がいるんです。私、普段から自分と自分で会議したりってことが多いんです。

――脳内で自分会議を頻繁に行っている?

百田:はい。「自分自身はこう思ってるけど、でも世のなかから見たあなたはこうだと思うよ」と言う自分がいたりして、よく自分と自分で脳内会議をしているんです。いろんな自分がいるけれど、この曲では「何も気にする必要はないじゃないか!」というスタンスの自分をピックアップしたいなと思ったんです。「だってしょうがないじゃん!」、みたいな(笑)。「気にせず生きていこう!」と開き直る自分で歌詞を書いていきました。

――歌詞も、いろいろあるけど最終的には笑顔で全部解決――というような内容ですね。

百田:考えすぎてわからなくなる時って、そういうものに救われることってあるじゃないですか。この曲を聴いて、頑張る人たちの気持ちがちょっとでも緩む瞬間ができたらいいなということも思いながら書きました。それに、アルバムの最後の曲なのでやっぱり楽しく終わりたかった。実際にこの曲の終わりが〈おしまい。〉という歌詞で、アルバムもこれで「ちゃんちゃん」って締まるかな、と。

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