星街すいせい「また1億再生してもらえるような曲を作らなきゃ」 「ビビデバ」大ヒットを経て2025年さらなる飛躍を誓う
路上ライブからSSA公演まで「私の一歩に他の人が続いて欲しい」
ーー入り口は違ったとしても、最終的には音楽も配信も同じように好きになってもらいたいという思いもあるんですか?
星街:どうかなー。ファンの方の中には配信にしか興味がない人もいるんですよ。最近は忙しすぎて配信が全然できていないから申し訳ないんだけど(笑)、そういう人も全然いいと思うんです。星街すいせいに興味を持ってもらうことが私としては嬉しいことなので、そこは好きなように、その人ごとの楽しみ方をしてもらえたらいいかなと思っていますね。
ーー「ビビデバ」のヒットを受けて、昨年も様々なテレビ番組で星街さんの姿を見ることができました。『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系)へは2年連続の出演になりましたね。
星街:ありがたいですね。2度目の出演となった去年は「ソワレ」を歌わせていただいたんですけど、そこではAKB48の方たちが一緒に踊ってくださったんですよ。昔から存じ上げているスーパーアイドルの方たちと共演できたのはすごくいい経験になりましたね。
ーー活動を重ねる中でリアルアーティストとの絡みも増えていますよね。昨年はスキマスイッチのトリビュートアルバムにも参加されていましたし。
星街:すごく光栄なことですよね。VTuberとして、まだ誰もやったことのないところに足を踏み入れるのが私自身、すごく楽しいと思うタイプなんです。なので、「やったー! 誰もやったことのない第一歩が踏めるぞ!」みたいな感じで毎回、いろんなことを楽しませてもらってます。“VTuber初”という冠がつく出来事が多い分、いろんな言葉を投げかけられることも多いんですけど、2歩目、3歩目として続いてくれる人たちのためにいろんなところを今後も切り開いていきたいなとは思ってます。
ーーまだまだVTuberに対しての偏見を感じることも多いですか?
星街:そうですね。ネガティブな言葉を発している人たちの多くは、VTuberに対しての解像度が低いからだと思うんですよ。だからこそ私は、その解像度を高められるようにこれからも頑張りたいんです。「食べろ、食べろ!」みたいな感じで、みんなにVTuberの美味しいところ、楽しいところを食べさせていこうかなと思ってますけどね(笑)。
ーーネガティブな反応を憂うのではなく、その未開の地に可能性を見出していったほうがいいですよね。
星街:そうそう。私が今、いろんなテレビに出演させていただけているのだって、テレビの関係者の方々の解像度が上がったからだと思うんです。なので、私が引き続きいろんな活動をしていけば、身近なところからどんどん状況は変わっていくはずだし、それによって自ずとVTuberに対する世間の解像度は高まっていくのかなって思ってます。
ーー星街さんの2024年の活動を通して、VTuberに対して抱いていた偏見が取っ払われた人もいそうですよね。
星街:うん。実際、「ビビデバ」のコメント欄には、「VTuberになんとなくいいイメージがなかったけど、曲を聴いてみたらすごく良かった」みたいな発言が何百個も書かれていて。それはすごくいい流れだと思うので、そこで生まれた輪をこれからもっと広げていきたいですよね。
ーー9月には渋谷で路上ライブもされましたよね。かなりビックリしましたけど。
星街:へへへへ。「やりたいやりたいやりたい!」って言って、スタッフさんにごり押しして夢を叶えてもらいました。めちゃくちゃ楽しかったです(笑)。
ーー「VTuberが路上ライブなんてできないでしょ?」と思ってしまいがちですけど、星街さんの中には「できる」という確信もあったんですか?
星街:うん、絶対できるって思ってました。機械には詳しくないですけど、「そこにモニター置けばいいじゃん」みたいな(笑)。でも実際に出来上がった路上ライブのセットは、私が思っていたものよりもめちゃくちゃ大層なものになっていて。私の妄想を大人たちが広げてくれたことに感謝ですね(笑)。
ーー路上ライブの当日、Xで若干の匂わせがありましたけど、観客はファンの方が多かったですか?
星街:いや、ほとんどがたまたま通りがかって立ち止まってくれた方ばかりだったんですよ。「星街すいせいのこと知ってますか?」って聞いたら、「今、知ったー」みたいな方たちばかりで、知ってる人はほんの数人。そうやって私のことを知らない人たちの反応を目の前で見られたのは本当に貴重な経験でしたね。また機会があったらぜひやってみたいし、私の一歩に他の人が続いて欲しい気持ちもありますね。路上ライブするVTuberが増えたらおもしろい渋谷になりそう(笑)。
ーーいたるところにモニターが乱立しているっていう(笑)。
星街:あはははは。それめっちゃおもろいですね(笑)。
ーーそして11月からは星街さんにとって初のツアーとなる『Spectra of Nova』が開催されましたね。
星街:1stライブ(21年開催の『STELLAR into the GALAXY』)も2ndライブ(23年開催の『Shout in Crisis』)もアルバムを引っ提げた内容で作ったライブだったんですけど、今回は初めてのツアーだし、これまでの総集編のような内容にしたんですよ。今までとは違った作り方をしたライブだったので、「大丈夫かな。楽しんでもらえるかな」っていう不安もありましたね。でもふたを開けてみれば、どの会場でもみんなが大きな歓声を響かせてくださって。「大丈夫だった!」と思って安心しました。星街すいせいのライブに初めて参加してくださった方もすごく多かったですね。
ーー僕は初日のさいたまスーパーアリーナ公演を拝見しましたが、ステージに立つ星街さんの目覚ましい進化を強く感じました。
星街:ありがとうございます。ツアーをするにあたって、その前に1stライブの映像を見返してみたんですけど、そこに映っている自分は「わー初々しい!」って思ってしまうパフォーマンスをしていて(笑)。なので、ツアーではしっかり進化した姿を見せたいなと私自身も強く思いながら歌い踊っていましたね。
ーー最近は兎田ぺこらさんや宝鐘マリンさんなどもアリーナでのソロライブを開催されていますが、そういったホロライブメンバーの活躍も刺激になっている部分もありますか?
星街:そうですね。今、ホロライブに所属しているタレントのほとんどがソロライブを目標に頑張っているんですよ。そこには、VTuberの存在をもっと広めたいという思い以上に、リスナーへの恩返しといった思いが強く込められているんですね。なので、その夢が1人ずつ、1歩1歩叶っていっていることがすごく感慨深いですね。その上で、すごい大口を叩きますけど、みんなに先がけてツアーや日本武道館のライブを経験する私をみんなに目指してもらいたいという気持ちもすごく強いんです。私は見てくれた人が感動してもらえるライブを作っているので、その思いを他のタレントにも感じて欲しい。私がライブをする上で、そのことがすごく大きなモチベーションになっているところもありますね。