西野カナ、再会の場で響かせた晴れやかな歌声 『Love Again Live 2024』は煌びやかでアットホームな空間に

 2008年のデビューから数々のヒット曲を生み出して華々しい活躍を続けてきた西野カナが、無期限の活動休止を発表したのは2019年のことだった。同年2月1日〜3日にかけて行われた『Kana Nishino Love Collection Live 2019』で「またね!」とステージを去って以来、およそ5年9カ月ぶりとなるライブ『Kana Nishino Love Again Live 2024』が11月13日と14日の2日間、横浜アリーナにて開催された。会場前ではそれぞれにお洒落をして、ライブグッズを手にしたファンたちが記念撮影をしている姿が多く見られ、開演前から大きな熱気に包まれていた。彼女の「ただいま!」の声を多くの人が待ちわびていたのだ。

 開演時、その活動の歴史をたどるように数々の過去の映像が流れ、やがて『Kana Nishino Love Again Live 2024』の文字がスクリーンに映し出されると大きな歓声が上がった。そしていよいよ、ステージ中央の階段の上に西野カナが姿を現した。

 1曲目の「if」でライブがスタートし(後のMCで感極まって泣いていたと語っていた)、曲の後半、客席のFreFlow®(フリフラ)が白く染まり、ステージからの照明とひとつになって美しい景色を生み出した。続く「遠くても feat.WISE」では愛らしい笑顔で「ただいまー!」と叫び、「歌って!」と観客に呼びかけると横浜アリーナはみんなの歌声で満たされた。MCでは「あらためて、ただいま! みんな元気ですか……って聞こうと思ったけど、みんな元気やな! めっちゃ嬉しいわ!」と、いつものようにフレンドリーに、そしてちょっと興奮気味に第一声を放った。客席から「カナやーん! 会いたかったー!」という声が響くと「私も会いたかったよ!」と返す。彼女のにこやかな笑顔とミニのドレス姿はまるでプリンセスのよう。ステージセットも煌びやかだけど、親しかった友達と久しぶりに会って、時間が一気に巻き戻るような、そんなアットホームな空気感が漂っている。

 今年6月に西野カナの活動再開という嬉しいニュースが届けられた後、9月にリリースされたEP『Love Again』は、彼女のリスタートに向けた強い気持ちを感じさせるポップで刺激的な作品だった。この日のライブでもビート感の強いアップナンバー「15」を、髪型もガラリと変えてニーハイブーツを合わせた攻めたスタイリングでパフォーマンスし、最新型の西野カナを見せてくれた。その後のメドレー「もっと…」〜「Distance」〜「No.1」〜「BRAVE HEART feat.西野カナ」(NERDHEAD)も圧巻で、曲調が次々と変わってもダンサブルに、キャッチーに、真摯に、歌と向き合う一瞬一瞬でオーディエンスを魅了し続けた。「Still love you」を挟み、2度目のメドレーでは西野カナのエンターテイナーぶりにさらに驚かされた。

 ダンサーたちがタップダンスを繰り広げ、クローゼットから出てくるような演出で始まった「イントゥ・ミー」ではクラシカルなイエローのコートドレスに身を包んで登場。あっという間にブルーのドレスに変身すると「MEOW」が始まり、次はベビーピンクのドレスで「FANTASY」、さらに彼女が客席に背中を向けた瞬間、天井から赤いキラキラの紙吹雪が舞い落ちて赤いドレスに変わり「I wanna see you dance」に突入するなど、メドレーの中で次々と衣装チェンジしていく演出で目も耳もステージに釘づけに。「みんなを楽しませたい」という彼女の気持ちが強く伝わってくるようなメドレーだった。

 終盤にかけても感動的なハイライトの連続で、「このままで」では小舟に乗って登場したり、イントロから息を呑むような歓声が聞こえた「君って」ではランタンがアリーナに浮かぶような演出と熱唱が忘れられない。ハートマークのついたトロッコで登場し、アリーナ外周をぐるりとまわりながら歌った「GO FOR IT !!」では凄まじい盛り上がりとなり、ブランクを感じさせない西野のスケール感溢れるエンタメ性とカリスマ性を目の当たりにした。そして会場中のファンに手を振りながら歌った「トリセツ」では観客のフリフラがカラフルに染まり、最高にハッピーな時間となった。

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