石原夏織のライブは日常を彩る魔法 4年ぶりツアー『Calm Magic』ファイナル公演を振り返る

石原夏織、2ndライブツアー振り返る

 石原夏織が、約4年ぶりのツアー『2nd LIVE TOUR -Calm Magic-』を開催した。4月にリリースされた3rdアルバム『Calm Scene』のタイトルにもある“Calm(静かな)”に、“Magic(魔法)”を加えた“Calm Magic”。そのライブタイトル通り、私たちの平穏な日常を音楽の魔法で彩ってくれるようなライブだったと思う。本稿では、7月7日に東京・なかのZEROにて行われたツアーファイナルの模様を振り返る。

 本ツアーは全国4都市で開催され、ファイナル公演のみフルバンドセットで届けられた。オープニング映像を経て、上段のステージに登場した石原は「Harmonia」の冒頭をアカペラで歌い上げる。〈君のため歌うよ〉──そう、ファンに寄り添うようにライブの開幕を告げると、次の瞬間に力強いバンドサウンドが会場に響きわたる。演奏に合わせてペンライトを振る客席を見て、笑顔を浮かべる石原。階段を降りて「Paraglider」、ダンサー4名とともに「キラリアット」をにぎやかにパフォーマンスすると、序盤から会場は一体感に包まれた。

 「猛暑で疲労しているんじゃないかと思ったけど、すごく元気ね!」と笑いかけた石原。観客に負けじと「You & I」「Face to Face」を元気いっぱいに届けると、ここから3曲は一転、少し落ち着いたムードに。まず、「recipe」「ILLUSION」ではダンサーを交えながら、妖艶さも漂うパフォーマンスで魅了していく。星が光るようなステージの中、「Sugar Planets」ではチルなサウンドにのせてウィスパーな歌声を披露。『Calm Scene』の収録曲を通して、序盤とは異なる、石原のクールで大人な表情も楽しめたブロックだった。

 彼女が一度ステージから去ると、スクリーンにムービーが流れだした。映像の中で、スマホを手に相手からの連絡を待っている様子の石原。電話をかけたところで映像が止まり、「恋の匂い」のイントロのコール音へ繋がっていく。バイオリンとチェロが加わって重厚感を増したサウンドにのせて、白いドレスに衣装チェンジした石原は、切ない恋の物語を届けていく。

 続く、ストリングスアレンジされた「Plastic Smile」、「To My Dear」は、石原の歌声が真っ直ぐに伝わってくるものだった。この日だけの特別なアレンジに、「やっぱり緊張しましたよね……」と歌い終えて安堵の表情を浮かべた彼女。客席からはあたたかい拍手が送られた。

 「Blooming Flower」「虹のソルフェージュ」と初期の曲で盛り上げると、ダンサーとバンドメンバーによる華麗なパフォーマンスを経て、ライブはいよいよ後半戦へ。今回のツアーでは公演ごとにセットリストが変化しており、この日限定で届けられたのは「夜とワンダーランド」。イントロが鳴ると同時に大きな歓声があがった。

 “夜”から“朝”へ移り変わるように、他3公演ではオープニングを飾っていた「プルケリマを朝に」も、この日はこのタイミングで披露。観客とともにタオルを回しながら明るくパフォーマンスし、続く「Twinkle Ticking」では生のバンドサウンドにのせて力強い歌声を響かせた。

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