さくらみこ、過去の自分を乗り越えて掴んだ“自分らしさ” 星街すいせいら駆けつけた夢の初ソロライブ
ホロライブ所属のさくらみこが、10月26日に東京・有明アリーナで『1st Live “flower fantasista!”』を開催した。
活動7年目にして初めてのソロライブを実現させた、さくらみこ。アイドルに憧れを抱いていた彼女にとって、この日のライブは長年の夢が叶う瞬間でもあった。会場はピンク色の法被を着た35P(さくらみこファンの名称)で埋め尽くされ、まるで季節外れの桜が満開に咲き誇っているよう。開演直前、カメラが会場の様子を捉え、男性ファンはもちろん、若い女性から小さな子ども、海外から来たファンの姿も次々とモニターに映し出される。さまざまな層が集まっているが、全員が思い思いのさくらみこグッズを身に着けており、ライブに向けた熱い思いが感じられる。
暗転と同時に、地鳴りのような大歓声が響きわたり、桜色のペンライトの光でアリーナはいっぱいに。オープニングムービー、そして35秒前から始まるカウントダウンに続いて、巫女衣装に身を包んださくらみこがステージに登場。「にゃっはろー!」といつもの配信と同じ挨拶を元気に叫ぶと、初めて作詞を手がけた思い出の曲「アワーツリー」からライブは幕を開けた。晴れやかな青空と紙飛行機、桜吹雪の映像をバックに、ここまで支えてくれたファンへの感謝の気持ちを込め、〈冴えない私を好きになってくれたこと これからも後悔なんてさせないよ 見ててね〉と満面の笑顔で歌い上げる。積み重ねてきた日々が夢の実現に繋がり、花開いた瞬間をまさに表現したオープニングは、すでにクライマックスのような感動を与えてくれた。
余韻に浸る間もなく、「にゃっはろーわーるど!!!」を投下。この曲は、配信でお馴染みの謎語録が盛り込まれた、さくらみこワールド全開の電波ソング。客席からは、配信コメントでミーム化している〈みこ! 俺 恥ずかしいよ!〉〈みこ! 俺 誇らしいよ!〉のコールも響き渡り、まるで普段の配信でのやりとりを再現しているかのよう。ドタバタしたコミカルでキュートなダンスや、歌詞に合わせてニコニコしたり怒ったりとくるくる変わる表情、すさまじい速さのテンポでも崩れないハイトーンの歌声など、さくらみこのキャラクターを活かしたアイドルのステージとしても、大きな見ごたえを感じた。
MCでは、両手を大きく振ったり飛び跳ねたりしながら、「35Pー! みこと一緒に有明来たぞー!」と全身で喜びを表現。「吊るし(配信席)のみんな、見えてるよ!」と配信で見ているファンにもしっかり手を振って感謝の気持ちを伝えた。
「DAI DAI DAI ファンタジスタ」では、憧れのライバー・ときのそらのシルエットが映し出された後に、活動初期の衣装を着たさくらみこがバックモニターに登場。ステージで歌う現在のさくらみこや、満員の会場を嬉しそうに見つめ、“ソロライブ たのしんでにぇ!!”と手書きのメッセージを贈るというエモーショナルな演出も。「きゅんきゅんみこきゅんきゅん♡」では、このライブのために作った桜色のドレスに衣装チェンジ。お姫様のような姿になっても元気なパフォーマンスは変わらず、ステージの端から端まで駆け回りながらパワフルに会場を盛り上げた。
その後も、弾んだダンスがキュートな爽やかアイドルソング「さくらんぼメッセージ」、愛に溢れたハイテンションナンバー「1135」、ネット黎明期のノスタルジーとバーチャル世界の儚さを表現した「Sakura Day's」など、1stアルバム『flower rhapsody』収録の曲を次々に披露。
盛大な盛り上がりを見せる会場に、突如禍々しいサイレンが鳴り響き、モニターには“侵入者を検知”の文言が。まるでホラーゲームのような映像が流れたかと思えば、さくらみこの分身である巨大な着ぐるみ、通称“みこだにぇー”が襲来。本物のさくらみこが「イケ贄」を披露する中、会場後方から侵入し、客席の間を自由に駆け回る。みこだにぇーが退場して寂しがる観客に、本物のさくらみこが「みこがいるでしょ!」と怒る場面も。
「普段の配信では出さない感情を歌った、みこを好きじゃない人にも向けた曲」という紹介から始まったのは「ライクとヘイト」。長年ライバーとして活動する中で浴びてきた様々な言葉に対する思いを、音楽に乗せてそっと世に放った。少し落ち着いた会場の空気を再び上昇させたのは、「あーゆーれでぃ」。振り付けに合わせて星やハートのエフェクトが飛び散る音ゲーのような演出は、バーチャルならではの楽しさだ。