ポルノグラフィティ、中島健人、ONE OK ROCK、MISAMO、MY FIRST STORY、WurtS……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はポルノグラフィティ「ヴィヴァーチェ」、中島健人「ピカレスク」、ONE OK ROCK「Dystopia」、MISAMO「Identity」、MY FIRST STORY「アクマ」、WurtS「ライフスタイル」の6作品をピックアップした。(編集部)

ポルノグラフィティ「ヴィヴァーチェ」

 「カナデビア」企業ブランドCMイメージソングとなる新曲。“活気に満ちた”を意味する速度記号を冠したタイトルどおり、前へ前へと突き抜けるスピード感が心地よいロック調である。間奏部分で動き回るベース、後半で響き渡るギターソロなど、プレイヤー目線でも聴き応えはばっちり。華やかさと同時に凛々しさまでを表現するストリングスも耳を引きつける。とはいえ、真ん中にあるのは相変わらず力強い岡野昭仁(Vo)の歌うメロディだ。ロックとポップ、西洋的バンドスタイルと土着的歌謡の融合スタイル。迷いながらの折衷案ではなく、この中道が本当にやりたいことなのだと思わせる清々しさが、ポルノグラフィティを今も輝かせている。結成25周年の説得力。(石井)

ポルノグラフィティ『ヴィヴァーチェ』Lyric Video (Short ver.)

中島健人「ピカレスク」

中島健人「ピカレスク」

 12月25日に発売されるソロデビューアルバム『N / bias』からのリード曲。作詞は中島本人、作曲はTikTokなどで活動する気鋭のクリエイターNas1raとPsyQsの共作。中島が主演を務めたドラマ『しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜』(テレビ東京系)から派生したプロジェクト・HITOGOTOのスタート以来、若手音楽クリエイターとの繋がりが次々と生まれているようで、この曲はひとつの結実だろう。ダークヒーローの苦悩を描く歌詞と、ダンスミュージックをベースとしつつ、EDM/ボカロカルチャーのごった煮のようにドラマティックに切り替わる楽曲展開。明らかに今までのイメージを変える、いや、振り切る方向性である。力の入ったMVにも注目。(石井)

ONE OK ROCK「Dystopia」

ONE OK ROCK「Dystopia」

 ヘヴィネスとしなやかなさを併せ持った音像、厚みのある低音を響かせるベース、煌びやかなギターフレーズ、そして、シンガロング必至のメロディライン。9月から10月にかけてキャリア史上最大規模のワールドツアーをやり遂げたONE OK ROCKの新曲「Dystopia」は「これぞONE OK ROCK!」と快哉を叫びたくなる楽曲に仕上がっている。世界のロックシーンの最前線で戦う彼らの現在地を明確に示したナンバーと言えるだろう。今の社会の暗い部分、絶望的な状況か目を逸らすことなく、「ディストピアの中で幸福を探そう」「悲しみから逃げない」と訴える歌詞もキャッチーにしてリアル。7月リリースの「Delusion:All」を含め、来るべきニューアルバムへの期待がさらに高まるロックアンセムだ。(森)

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