櫻坂46 遠藤理子の見る者を惹きつける多彩な表情 「本質的なこと」MVで表現するアイドルの成長

 今回の「本質的なこと」はゴシックな世界観の中、メイド服のような衣装を着てパフォーマンスをする前半とゴージャスなドレスを身にまとって華やかにパフォーマンスをする後半のパートに分かれている。メイド服は現在ではかわいいコスチュームとして重宝されているが、もとを辿れば19世紀末のイギリスにおいて家事使用人やハウスキーパーなどが着ていたもの。それに対してドレスは華やかな貴族たちが着る正装であり、ここでは対照的に描かれていると言えるだろう。

 前半、廊下を歩く遠藤に対して一切見向きもしない他のメンバーたち。そこにドレスを着たもう一人の遠藤がメイド服を着た遠藤を押しのけて、今度はドレスを着たメンバーたちがダンスを踊り始める。終盤では前半で見向きもしなかった他のメンバーたちが遠藤に視線を向けるカットが差し込まれている。この隠喩に象徴されるのは遠藤自身の成長なのではないかと筆者は考えている。遠藤も最初はどこにでもいる一人の女の子だった。そして、今アイドルとしてきらびやかな衣装を着てステージに立ち、どんなに外見を見繕おうとも、本質はいつだって内面にある。遠藤の内面の変化をメイド服とドレスという記号を用いて表現しているように感じるのだ。優しいタッチの中で、しっかりとメッセージを持たせるのは実に金野らしい。

 MVで表現される遠藤の表現力も繊細で美しい。目線や身体の動かし方に至るまで、しなやかでいて迫力に満ちている。かつて、ダンスへの苦手意識があった遠藤だが、『7th Single BACKS LIVE!!』から参加した『BACKS LIVE!!』の経験を経て、パフォーマンスも見違えるように成長。映像からはその自信が表情に表れているように見えた。櫻坂46の三期生にはそれぞれ魅力があるが、遠藤の魅力は人を惹きつける表情だろう。特にMVで見せるアンニュイな表情からクールな表情まで多彩な顔から目が離せなくなる。陳腐な表現ではあるが、フォトジェニックならぬムービージェニックなアイドルだと今回のMVを通して感じた。

 「本質的なこと」の初披露は、おそらく11月23日と24日に開催される『4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』となるのではないかと予想されている。そこで私たちは遠藤の魅力を再確認することになるだろう。

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