Oasis、TMGE、宇多田ヒカル、BUCK-TICK……過去ライブ上映は一体感生まれる貴重な没入体験に

 2011年に株式会社ライブ・ビューイング・ジャパンが設立されて以降、国内外へ中継、配信を行うライブビューイングを契機に劇場でコンサートを鑑賞するという文化が根付いたように感じる。ライブビューイングは生中継でコンサートを鑑賞することができるが、近年では過去のライブ映像を劇場で上映するケースも増えてきた。本稿では劇場でのライブ上映を行うアーティストをピックアップし、紹介したいと思う。

 今年8月27日に再結成を発表したOasis。その復活劇に世界中が歓喜し、来年夏に開催される『Oasis Live’25』のチケット争奪戦は熾烈を極めた。そんなOasisの再結成とデビュー30周年を記念して、10月18日より全国ロードショーされているのは『オアシス:ライヴ・アット・ネブワース 1996.8.10』。イギリス史上最大規模の野外ライブとなったネブワース・パークの初日公演がノーカットで劇場公開される。

10.18公開『オアシス:ライヴ・アット・ネブワース 1996.8.10』 予告編

 2日間で25万人以上を動員した本ライブにはイギリス全人口の2%に及ぶ250万人が申し込んだとされているとともに、“伝説のライブ”と今も語り継がれているライブだ。本ライブは日本のアーティストにも影響を与えており、シンガーソングライターのVaundyが9月7日に放送された『三菱重工presents 永野芽郁 明日はどこ行こ?』(TOKYO FM)にゲスト出演した際、この『ライヴ・アット・ネブワース 1996』を”心を動かされたライブ”と挙げていた。

 「僕は当時生きてないんで見に行けはしなかったしOasisのライブを観たことないんですけど、やるならこれぐらいやって死にたいなと思うぐらい自由にロックをやってる」「後ろの人はほぼ聞こえてないだろっていう広さのところでやってる。1日12万人ぐらいを相手してる、ありえないんですね」「その空気、時代の大きな流れを体感したくてみんなOasisを観に来たっていう、その事実が面白い。これを超えなきゃいけないなといつも思ってる」――。現在の日本音楽シーンにおいて、他でもない時代の流れそのものとなっているVaundyが大きな影響を受けたライブがOasisのネブワースでのライブであり、このライブがいかに伝説的なものだったのかということがわかるだろう。Oasisは来年のイギリス、アイルランドでの公演を経て世界を巡るツアーを開催することを示唆している。日本でのライブへの期待も込めて劇場でOasisのライブを味わってみてはどうだろうか。

 昨年11月にこの世を去ったチバユウスケ。その原点であるロックバンド、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのラストライブを追ったドキュメンタリー映画『ミッシェル・ガン・エレファント "THEE MOVIE" -LAST HEAVEN 031011-』が10月11日より再上映されている。本上映を紹介するにあたって特筆したいのは、odessaと呼ばれる音響システムが導入された「odessa Edition」として公開されるという点だろう。本作品が公開されるテアトルシネマグループの映画館に導入されている独自の音響システムで、各劇場の構造や特色に合わせて最適化された音響で楽しむことができるというもの(※1)。ミッシェル最後の日をよりプレミアムな環境で体験してほしい。

予告編『ミッシェル・ガン・エレファント “THEE MOVIE” -LAST HEAVEN 031011-』

 今夏6年ぶりとなる全国ツアー『HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024』を開催した宇多田ヒカル。デビュー25周年を記念する意味合いもあった本ツアーは大盛況で幕を閉じた。そんな宇多田がキャリアの中で重ねてきたライブアーカイブを総ざらいする上映イベント『HIKARU UTADA LIVE CHRONICLES in cinema』が11月下旬・大阪での開催を皮切りに全国6都市を巡回する。

「HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024」after movie

 今回の上映イベントでは宇多田の1stアルバム『First Love』が爆発的なヒットを果たす最中にZepp Tokyoにて開催された1stライブ『Luv Live』や、尾崎豊や山口百恵のカバーも披露した『BOHEMIAN SUMMER 2000』、当時流行していた漫画『ヒカルの碁』(集英社)と自身の5周年を掛けたタイトルに遊び心を感じさせる『In Budokan 2004 ヒカルの5』、そして今夏の『SCIENCE FICTION TOUR 2024』などが上映される。今回の上映イベントでは、キャリア25年間の中で開催されたライブをほぼ網羅することができる。宇多田の初ライブとなった『Luv Live』と現時点で最新ライブである『SCIENCE FICTION TOUR 2024』、そして宇多田が人間活動に注力するにあたって音楽活動休止前最後のライブ『WILD LIFE』(2010年)と活動再開後初のツアーとなった『Laughter in the Dark Tour 2018』を観比べてみたりと、楽しみ方は様々。猛者であれば9つの作品すべてを制覇するのも良い。宇多田ヒカル25年の軌跡を体感しよう。

HIKARU UTADA LIVE CHRONICLES in cinema

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