キュウソネコカミ、『出現!鼠浄土』に詰まった10年やってきた意味 より自由になった現在のモードを語る

キュウソネコカミ、より自由なスタイルへ

「俺のここを聴いてくれ!」推しポイントを紹介

──そのほかに、今作で“俺のここを聴いてくれ”というそれぞれの推しポイントを教えてください。

ヤマサキ:「これは俺じゃない」は全体的に聴いてほしいです。この曲は絶対に形にしたいと思っていたので、出来上がってマジで嬉しい。でも形にしてくれたのは実はオカザワで。

オカザワ:ギターとドラムと歌だけのデモが送られてきたんですけど、全員どうしたらいいかわからなくて長い間デモの状態のままになっていたんです。

ヨコタ:デモが送られてきた時、マジで何がやりたいのか全然わからんかった(笑)。

ヤマサキ:打ち込みの雰囲気の曲をやりたかったんだけど、俺はそれが表現できなくて途中で放り出したんです(笑)。

──そしたらオカザワさんがそれを汲み取ってくれたと。

オカザワ:自分のやりたいことも取り入れて、「こういうアレンジはどうですか」というものをなんとなく作って送ってみたら「ええんちゃう?」って。

ヤマサキ:ほんまにドンピシャでした。「これこれこれこれ!」って。

オカザワ:この曲はベースとドラムが打ち込みなんですけど、ソゴウがめっちゃいいドラムパターンを考えてくれて。みんなで頑張ったよな。

ソゴウ:ライブで再現できるかどうかわからん曲を作るのが初めてだったんで、最初は悩みましたけど。

──ライブでどうなるか全然想像つかないですね。

ヨコタ:僕らもです(笑)。

ソゴウ:俺が聴いてほしいのは「クライマックス同棲」。この曲は、クリックなしで、全員で「せーの!」で録ったんですよ。だから最初と最後で全然テンポが違うんです。どんどん走っていっている。その感じが歌詞の焦っている感じと合っていていいなと、録り終わって思いました。

オカザワ:「一喜一憂」はマスタリングのときに改めて聴いて、良いなと思いました。この曲は4月にリリースしたので、音源をしっかり聴くのは久々だったんですが、「めっちゃええやん!」って。ちょっと感動すらしました。曲も歌詞も音もめちゃめちゃ良くて、このアルバムの中で一番完成度が高い気がする。

ヨコタ:「こんな音もできんの!?」って思うよな。俺が聴いてほしいのは「わや」。まず俺たちの原点のような曲だし、「まだこんな曲作れるんや」って思ったから。でも一番好きなのが、途中に「ファーファーファー」って鳴っているところ。あれは最初のデモから入っていたんですよ。シンセのパートって基本的にはセイヤがいつも任せてくれるんですけど、これが入っていたから「これ何なん?」ってセイヤに聞いたら、世界で悲しんでいる子どもたちのレクイエムだって言われて。

ヤマサキ:まだ見ぬ子どもたちの叫びなんですよ。

ヨコタ:こんなパーソナルな感情を歌っている曲の中に、急にまだ見ぬ子どもたちの叫びが入っているって、めちゃくちゃヤバくないですか(笑)? でも音色もその意図に合うものを探して入れたので、そこは聴いてほしいです。ライブで盛り上げることだけ考えたら、この音って絶対にいらないじゃないですか(笑)。でもいらないものがいるのが音楽。説明しきれないものや、よくわかんないけど入っているみたいな、そういう意味での純度の高いものが今回のアルバムにはいっぱい入っていて俺は好きですね。

──そんな『出現!鼠浄土』ですが、改めてどんなアルバムになったと思いますか?

ヨコタ:楽しんで作った割にというか、肩の力が抜けているのに良くできてるよな。

ヤマサキ:今の俺たちの状態の良さを、このアルバムから感じ取ってほしいですね。

オカザワ:だってタイトル『出現!鼠浄土』ですよ(笑)?

ヨコタ:真剣じゃないよな(笑)。でも近年のキュウソはそういう、「それでええやん」がめっちゃ多いんですよ。それまでは過剰に見られ方を気にしたり、「ここはこうしとかないと」みたいなものがあった。それはそれで良さがあったとは思うけど、最近は「あんまり考えなくていいんじゃない?」というモードで。

キュウソネコカミ(撮影=伊藤惇)

──最初にお話していた、バンドを続けているだけでいい、音源を作っているだけでいいというところに辿り着いたからこそ。

ヨコタ:そう聞くと、めっちゃいい感じですね。ゆらゆら帝国みたい(笑)。

ヤマサキ:でも俺らはそれを伝えるのが下手なんで、伝えられるように頑張ろうと思います。だって『出現!鼠浄土』って意味わからんすもんね(笑)。

──10周年記念でありながら、デビューアルバムみたいなタイトルですよね。

ヨコタ:あ、それいいっすね。これからインタビューでそう答えようかな(笑)。来年3月に10周年イヤーの締め括りとして『極楽鼠浄土』というイベントを神戸ワールド記念ホールでやるんですけど、そこに向かっていくツアーが『めざせ!鼠浄土』。最終的には“極楽鼠浄土”に辿り着くかもしれないけど、それでも俺たちの旅は終わらない、むしろここからだ、みたいな雰囲気を出しているつもりなんです。だから10周年イヤーが終わっても、同じように曲を作ってライブをしていくだけ。そうやって、ずっと何かやっているので、これからも楽しんでくれたら嬉しいです。

■リリース情報
フルアルバム『出現!鼠浄土』
2024年10月9日(水)リリース

<商品形態>
・通常盤(CD):VICL-6599/¥3,400(税込)
・初回限定盤A(CD+Blu-ray):VIZL-2353/¥6,920(税込)
・初回限定盤B(CD+DVD):VIZL-2354/¥6,480(税込)
・VICTOR ONLINE STORE限定バンドルセット<初回限定盤A+デビュー10周年記念 ジャケットデザイン限定Tシャツ(M/L/XL):¥10,420(税込)
・VICTOR ONLINE STORE限定バンドルセット<初回限定盤B+デビュー10周年記念 ジャケットデザイン限定Tシャツ(M/L/XL):¥9,980(税込)

<CD収録曲>
「一喜一憂」「ネコカミたい」「正義マン」含む計10曲収録予定
<Blu-ray/DVD(初回限定盤のみ収録)>
・『ONEMAN LIVE in Gobo City!!-ヤマサキセイヤ地元凱旋-成人式ぶりの御坊市民文化会館〜御坊市市制施行70周年特別記念事業〜』(2024年6月8日(土))
※収録予定曲は後日発表
・映像ディレクター 加藤マニとメンバーによる過酷なMV撮影の裏側を振り返るスペシャル映像
・恒例のメンバー副音声

■ツアー情報
『DMCC REAL ONEMAN TOUR 2024 -めざせ!鼠浄土-』
2024年10月14日(月・祝)@札幌PENNY LANE 24 OP/ST 17:15/18:00
2024年10月24日(木)@東京Zepp Diver City OP/ST 18:00/19:00
2024年10月27日(日)@高松オリーブホール OP/ST 16:45/17:30
2024年11月2日(土)@金沢EIGHT HALL OP/ST 16:45/17:30
2024年11月9日(土)@広島LIVE VANQUISH OP/ST 17:30/18:00
2024年11月10日(日)@周南RISING HALL OP/ST 17:00/17:30
2024年11月14日(木)@仙台darwin OP/ST 18:30/19:00
2024年11月15日(金)@秋田 club SWINDLE OP/ST 18:30/19:00
2024年11月24日(日)@福岡DRUM LOGOS OP/ST 16:30/17:30
2024年12月3日(火)@名古屋DIAMONDHALL OP/ST 18:00/19:00
2024年12月5日(木)@大阪なんばHatch OP/ST 18:00/19:00

■公演情報
『キュウソネコカミ 神戸ワールド記念ホール公演「極楽鼠浄土」』
2025年3月20日(木・祝)兵庫 神戸ワールド記念ホール

■関連リンク
10周年特設サイト:https://fc.kyusonekokami.com/feature/10thAnniversary
オフィシャルHP:https://kyusonekokami.com/
X(旧Twitter):https://twitter.com/KYUSO_NEKOKAMI
Instagram:https://www.instagram.com/kyuso_official
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