yamada.が素顔で歌を届けると決意した理由 「イラストは理想の自分になれるかもしれないけど……」
顔出しをした理由は「私のことを知ってもらいたい」
ーー今年4月には、初のオリジナル曲「逃避行」がリリースされました。
yamada.:これは詞も曲も全部YAMAADさんが作ってくださったんですけど、何度も話し合いを重ねて、自分ではうまく言語化できない気持ちをすごく慎重に汲みあげてもらってできた曲です。自分の人生を進み始めようという意志はあっても「このまま進んでいいのかわからない」みたいな葛藤とか、芯は強く持っているんだけど、それをうまく言葉にできないもどかしさとか、自立した大人になる一歩手前くらいのモヤモヤした心情を歌った曲になっています。
ーーアーティストとして歩き始める今のタイミングだからこそ意味を持つ曲になっているわけですね。
yamada.:そうですね。むしろ、もうすでに懐かしい気持ちというか(笑)。この曲を作っていたときの私にとっては間違いなくこれがリアルだったんですけど、今聴くと「私、こんなに落ちてたんだ?」と思うくらいで……これがまた何年か経ったらもっと感じ方も変わるだろうし、なんなら笑っちゃうかもしれない(笑)。「あのときはこんなに悩んでたんだな」って笑い飛ばせる自分でいられたらいいなと思いますね。
ーー続く2曲目の「灯」が6月に発表されましたが、yamada.さん自ら作詞をされています。
yamada.:自分の中に作詞をやってみたい気持ちがあったのと、ちょうどYAMAADさんのほうにも「拙くてもいいからyamada.の内面を自分の言葉として出すべきタイミングだ」という考えがあったみたいで、それがちょうど重なった感じです。というのも、「逃避行」を作っていたときからYAMAADさんとは「3曲目のタイミングから顔出しで活動していこう」という話をしていて……。
ーーあ、それは最初から決まっていたんですね。
yamada.:そうなんです。そうなると2曲目を出した直後くらいにその発表をすることになるから、顔を出して活動することをファンの皆さんに納得してもらうためにも2曲目は私の言葉で歌ったほうがいいという話になりまして。
ーーそもそも、どういう理由で顔出しをすることにしたんですか?
yamada.:歌を聴くときに、「その人の歌っている顔が見えるかどうかで伝わり方が全然違う」というのが私の中に実感としてあるんですよ。私は歌い手として活動を始めたので、当然のような感じで顔を出さずにやってきたんですけど、活動を重ねる中で「私はやっぱり体ひとつで出ていくのが好きだし、そのやり方が得意なんだろうな」とだんだん思えてきて。
周りからはクールで大人しくて、とか思われていること多かったのですが、実際に会って話してみると私は普通の人で、いろいろな感情を持っているんです。イラストは理想の自分になれるかもしれないですが、ファンの中で理想が大きくなるのがとても申し訳なく思う性格でして……。自分がリスナーという立場に立ったとき、表現者としての顔を見たい、歌声だけではなくその人となりを好きになりたいタイプだったのもあります。
ーー自分が思い描くアーティストとリスナーの関係性があるんですね。
yamada.:そうですね。好きな人と音を共有したいというモットーが私にはあります。ファンの方々と、音や雰囲気、匂いすべてを同じように共有できる場を作りたいなと。私のことを知ってもらいたいし、私も音楽を聴いてくれている人たちの顔を知りたい。そんなことって思われるかもしれないのですが、この思いが人一倍強くて、顔出しに踏ん切りがつきました。
ーー作詞をしたことで何か発見は何かありましたか?
yamada.:作詞をするようになって初めて「自分は意外と言葉にこだわりがあるんだな」って気づきました。「自分の心に響く歌詞とそうでない歌詞の違いってなんだろう?」と自分なりに考えたことがあるんですよ。先ほどもお話ししたように、私はaikoさんの歌詞がすごく好きで……aikoさんの書かれる歌詞ってすごくかわいいというか、独特の言い回しが特徴としてあるじゃないですか。
ーー“aiko節”ですよね。
yamada.:そうそう。それがめっちゃ好きで、憧れます。その影響で、「この言い回しは私っぽくない」とか「いい言葉だけど、私の口から出るとダサい」とかをすごく気にするようになりました。歌詞の内容だけで捉えるんじゃなくて、私の発する言葉として違和感がないかどうか、歌ったときにしっくり来るかどうかっていう。
ーーyamada.さんが今後書く歌詞も楽しみです。最後に「今後こういうアーティストになっていきたい」というような理想像は何かありますか?
yamada.:正直、それもまだあんまり決まっていなくて(笑)。活動していく中で見つけていきたいもののひとつではあるんですけど……ひとつ言えるのは、推し活の対象みたいになる感じじゃなくて、通勤中とか登校中とかにふと曲を聴いて「あ、いいね」と思ってもらえるような存在になれたらいいなとは思っています。それくらい、私の歌が身近なものになったらうれしいなって。すごく難しいことだとは思うんですけど。
ーーなるほど。
yamada.:あと、先日初めてのワンマンライブをやって、「やっぱりお客さんの前で歌うのが一番伝わるな」って思いました。幼少期の記憶が蘇ったのかわからないですけど(笑)。私としては先ほどお話しした通り音楽が好きな人と音を共有したい。ファンと音、雰囲気、匂い全てを同じように共有できる場を作りたい。私のことを知ってもらいたいし、私も音楽を聞いている人たちの顔を知りたいと思っていて……やっぱり、yamada.に興味を持ってくれた方にはまずライブに来てもらいたいなって思ってます。
※1:https://realsound.jp/2024/07/post-1729782.html
■リリース情報
「Non Border」
配信URL:https://avex.lnk.to/yamada_nonborder
■ライブ情報
2025年6月28日(土)に渋谷ストリームホールにて2ndワンマンライブの開催決定。
同ライブに向けて、全国にて無料ライブを開催する『全国無料ライブイベント』を行うためのクラウドファンディングを実施中。
詳細:https://camp-fire.jp/projects/778220/view?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show
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