ONE OK ROCKが海外スタジアム公演完遂で示した圧倒的な強さ “挑戦”は新たなフェーズへ――台湾公演独占ルポ

 ただ、この日のライブはすべてが順風満帆というわけではなかった。開場中から降り出した雨は開演に向けてどんどん強まり、ライブ中はほぼずっと土砂降り状態。ステージの映像装置にも影響が出るような天候で、観客はもちろんメンバーもずぶ濡れになりながらライブに臨むことになったのだ。Takaは英語で「シャワーを浴びながら歌を歌うのが好きなんだけど、そんな気分で楽しいよ」とジョークを放っていたが、本当にシャワーのような雨が降り続くなかでの野外ライブは相当タフなものだったと思う。だが、そんなコンディションでも、そこは百戦錬磨のロックバンド。彼らは堂々とパフォーマンスし、オーディエンスを鼓舞し続けた。

 ライブの詳しい内容については書いていくとキリがないのだが、ここ高雄でも何度も巨大なシンガロングが生まれ、「じぶんROCK」や「キミシダイ列車」のような過去の楽曲から「Wonder」や「Delusion:All」のような最新の楽曲まで、どの曲でも会場は揺れ続けた。滝のような雨も、逆にオーディエンスとバンドのユニティを強めるきっかけのひとつになったようで、開演から終演まで、凄まじい一体感と高揚感がスタジアムを覆い尽くしていたのである。

Taka(Vo)
Toru(Gt)

 とりわけ筆者にとって感動的だったのは、この日のライブが、先日観た東京公演とまったく同じコンセプトやテーマ、そしてメッセージをしっかりと届け切っていたことだ。詳しくは本サイトでアップしている東京公演のレポート(※1)を見てもらえればと思うが、それをそのまま持ち出す形でこの台湾公演も行われていた。ワールドツアーなのだから当たり前といえば当たり前なのだが、安易に“国内仕様”や“海外仕様”と切り分けないところに、バンドのブレない芯のようなものをあらためて感じたのだ。

Ryota(Ba)
Tomoya(Dr)

 それと通じるものとして、TakaのMCもこの日は日本語の割合が多かった。もちろん英語で話す場面もたくさんあったし、Toru(Gt)、Ryota(Ba)、Tomoya(Dr)は中国語での挨拶も披露していたのだが、天候トラブルもあって「パニックなので」と前置きをしつつ、Takaは慣れ親しんだ日本語でオーディエンスに思いを伝えることを選んだのである。そして、その言葉は間違いなく台湾のファンにも届いていた。

 ライブの終盤にも彼はここから続いていくワールドツアーで“平和”を伝えていく、と宣言した。あらゆるボーダーは越えることができる。つながり、文字通りひとつになることができる。「今、高雄のスタジアムで、土砂降りにもかかわらず、みなさんと向き合っている。それがどういうことか」――。Takaのそんな言葉を借りるまでもなく、その姿は、そしてこの日高雄国家体育場を包み込んだ空気は、彼らが目指す世界のありかたを示していた。なぜTakaは日本語で語りかけ続けたのか、そしてキャリアを網羅するような選曲を貫いたのか。そこに、ONE OK ROCKがこの『ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR』で届けようとするものがはっきりと見えた気がした。

※1:https://realsound.jp/2024/09/post-1782739.html

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