Rockon Social Clubのライブは「地球上で一番幸せな場所」 日本武道館ならではの仕掛け満載のツアーファイナル

 真夏の日本列島を駆け抜けた『KURE 5-56 Presents Rockon Social Club Reloaded Tour 2024』が、9月12日、13日の日本武道館2daysでファイナルを迎えた。台風の影響で延期となった振替公演がまだ残されてはいるものの、30公演に及ぶ大規模なツアーはひとまず幕を下ろす。しかも武道館は「SUMMER OF LOVE」というサブタイトルがつけられた特別編。1週間前にリリースされたばかりの新作EP『SUMMER OF LOVE』の曲もたっぷり聴けるはずだ。

 ライブの開始を告げる「Rockon Social Club」が流れ、大型ビジョンにメンバーの名前が一人ずつ紹介されるたびに歓声のボルテージが上がっていく。1曲目は「ポイントちょーだい」だ。フロントには高橋和也(Ba)、成田昭次(Gt)、岡本健一(Gt)が並び、後方に前田耕陽(Key)、青山英樹(Dr)、寺岡呼人(Gt)が並ぶ。両端をサポートキーボードとパーカッションが固め、ステージ下手には4人のホーン隊。大編成バンドが叩き出す音は予想以上に分厚くゴージャス、高橋、成田、岡本を中心とするボーカルとコーラスワークは精密かつパワフル。すごい熱気だ。

成田昭次

 スクリーンで炎が燃え上がる「ザ・ファイター」から「Foxy Lady」、そして「ヨッテタカッテ」。Rockon Social Clubの演奏には古典的なハードロックのフィーリングがあって初見でも乗りやすい。リズムとリフとメロディががっちりかみ合い、観客を飛び跳ねさせる大きなうねりを作りだす。青山のドラムの活きの良さに痺れ、岡本の正確なリズムギター、成田の華麗なリードギターに耳を奪われる。そして高橋、岡本、成田の個性が輝くスイッチボーカル。メンバー全員のプレイに目移りしまくる、それがRockon Social Clubのライブ。

「武道館、ようこそ! 今日は、今年最後の夏のパーティーを、みんなで騒ぎまくろうぜ。OK?」(高橋)

 時事風刺を盛り込んだ辛口ナンバー「Breaking News」、成田がハイ、高橋がロー、二声ボーカルの醍醐味を詰めこんだ「GO-ROUND」、そして岡本と成田の美しいツインリードギターが聴けるロックバラード「HEAVY LOVE」と、EP『SUMMER OF LOVE』からの楽曲はどれもライブ向きで華やかだ。エンディングの長いリフレインを観客全員が歌っている。客席を彩る青と赤のグッズのライトがとてもきれいだ。

「今日はツアーの締めくくり。武道館ならではの仕掛けがたくさんあります」(高橋)

 高橋の言葉に「先に言わないほうがいいんじゃない?」と岡本が突っ込み、前田が「思ってる以上にびっくりすることがありますよ」と重ねる、ちょっとしたMCの掛け合いも楽しい。そして「パーティーしようか!」という高橋の掛け声で始まったのは「男闘呼組メドレー」だ。「PARTY」「ROLLIN’ IN THE DARK」「BACK IN THE CITY」「自分勝手」「目で見ちゃだめさ」と、懐かしいナンバーが次々と投下される。当たり前だが、しっかりとRockon Social Clubの曲になっている。むしろ、当時は異色に感じたメッセージ性の強い歌詞、ハードロックと歌謡曲が融合した曲調が、今のバンドにぴったり合っている。ノスタルジーではない、今の音が鳴っている。

岡本健一

「みんな叫びまくれ、踊りまくれ。俺たちと一緒にやろうぜ!」(岡本)

 ここからの2曲、「Sweet Devil Woman」と「Te querrá mucho」は、Rockon Social Clubの攻撃的な側面をたっぷり見せる時間。高橋がマイクスタンドをつかんでアリーナ中央のセンターステージに飛び出すと、背後では肌も露わなセクシーダンサーズが華麗なポールダンスを踊る。岡本と成田もセンターステージで弾きまくる。周りを固めるのはマッチョな男性ダンサーと毒々しいメイクの女性ダンサー。ロックンロールのヤバイ領域をぎりぎりまで攻める、それはライブでこそ表現できるRockon Social Clubのアナザーサイド。

高橋和也

「そろそろしゃべってもいいですか? 今日はとことんやるので、ついてきてください」(前田)

 前田が軽妙なトークで会場を沸かせたあとは、Rockon Social Clubのもう一つのアナザーサイド、メロディアスなスローナンバーを集めたセクションへ。「ねぇ、そろそろ」は、ハーモニーグループとしての底力を見せる大人のソウルバラード。トランペットのソロがいい味出している。「遥か未来の君へ」は、前田のピアノと成田の繊細なボーカルの魅力が堪能できるロックバラード。観客もコーラスに参加する、一体感が素晴らしい。そして「天照ラス」は高橋の男くさく豪快な歌声がリードするドラマチックな曲。これからRockon Social Clubのライブの定番曲になっていくだろう、壮大なアンセムだ。

 青山の叩く力強いリズムに乗り、高橋がセンターステージへ進み出る。頼れるサポートメンバーを一人ずつ紹介し、続いて前田、寺岡、岡本、成田を呼び寄せる。なんと青山も、ドラム台ごと移動してセンターステージへやってきた。すさまじい大歓声と、噴き上がるドラゴン花火。「ゲームチェンジャー」から「Go To Hell」へ、ステージを取り巻いて炎が激しく燃え盛り、熱気が会場を包み込む。すごい迫力だ。

前田耕陽
青山英樹
寺岡呼人

 「Rolling Thunder Baby」では、成田と岡本のパフォーマンスにとんでもない歓声と手拍子で武道館が揺れる。「LIFE」では成田がギターを弾く指先を目で追うように、前田が呼吸を合わせてキーボードを弾く。大型ビジョンに映るメンバー同士のちょっとしたしぐさに、ぐっときてしまうのはなぜだろう。長い歴史を経て、バンドがバンドである素晴らしさが、Rockon Social Clubのライブのすべての瞬間に存在している。

「ロックンロールは好きですか? 俺たち大好き!」(高橋)

 高橋が吠え、寺岡が「声を聞かせて!」と叫ぶ。キャノン砲がぶっ放され、金銀のテープが空高く舞う。本編ラストを飾る「I♡R&R」は、聴く者すべてがハッピーになれるポジティブなナンバーだ。前田がタオルをぐるぐる回す、高橋が熱く歌いまくる。「アイ・ラブ・トーキョー」の大合唱が広い武道館にこだまする。ポジティブな感情に満たされる、誰もが笑顔のハッピーエンド。

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