星街すいせい、三枝明那、兎田ぺこら、花譜……バーチャルアーティストの単独ライブもアリーナ規模の時代へ

三枝明那:武蔵野森総合体育館メインアリーナ

【※ライブ最後に重大告知】#三枝明那3DLIVE 5周年記念ファン感謝祭だ!!!【三枝明那 / にじさんじ】

 三枝明那は、12月7日に武蔵野森総合体育館メインアリーナで『Saegusa Akina 1st Solo LIVE "Unity"』を開催することで注目。音楽ユニット“Rain Drops”(現在は活動休止中)のメンバーとして、2020年にメジャーデビューした経験を持つなど、歌唱力の高さは“にじさんじ”のなかでも群を抜く。スーっと胸の奥に浸透して鼻に抜けるミントのように、爽やかな香りを放つ三枝の歌声。初のオリジナル曲「はんぶんこ」では、自分のなかにある三枝個人とVTuberという二つの存在を、鏡越しの自分に例えながら、その半身が引きちぎられる苦しさと覚悟を、切なさや儚さをはらんだ透明感のあるボーカルで表現した。楽曲を深く理解したボーカリゼーションは実にエモーショナルで、多くの聴く者の心を揺さぶった。

 一転、6月にYouTubeで公開された新曲「うぇいびー」では、ライブに向けた様々なワクワクと不安を恋に揺れる気持ちに例えて歌った。同曲は作詞・作曲をシンガーソングライター栗山夕璃が担当。恋の相手(ファン)を〈他の誰とも代えられない特別な人〉と表現し、ファンに向けたラブレターのようなメッセージが詰まった楽曲となった。弾むようなリズムが印象的なサウンド、歌詞を嚙みしめるような丁寧さで、巧みなファルセットを交えて歌う三枝のボーカル。「はんぶんこ」とは異なる曲調ではあるものの、歌と真摯に向き合う姿勢は同様。そんなある種のまじめさに加え、曲名を「うぇいびー」とひらがな表記にするちょっとした茶目っ気が、ファンのハートをつかんでやまない。

 12月の1stソロライブ『Saegusa Akina 1st Solo LIVE "Unity"』開催に向け、「うぇいびー」などを収録した。ミニアルバム『UniVerse』を9月25日に発売。三枝自身が、豪華クリエイター陣と共に構想、様々な感情描写を音楽で表現した作品とのこと。今年5周年という区切りの年を迎え、配信に歌に、ますます活動を加速させる三枝。『Saegusa Akina 1st Solo LIVE "Unity"』では、5年の集大成となるステージを見せてくれるだろう。

星街すいせい:さいたまスーパーアリーナ

【3D LIVE】SheenderellaDay / ラストに告知アリ!【#⁠星街すいせい6周年記念LIVE】

 星街すいせいは、昨年「THE FIRST TAKE」にバーチャルYouTuberとして初めて登場したこともあり、広く音楽ファンの間で名前が知られている。歌唱力の高さはクリエイターからも一目置かれ、これまでにリリースした2枚のフルアルバム『Still Still Stellar』『Specter』には、YOASOBIのAyase、キタニタツヤ、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也、PENGUIN RESEARCHの堀江晶太など人気クリエイターが名を連ねる。スケールの大きな歌声を聴かせる一方で、歌い回しの節々に効かせる多彩なニュアンスは、どこか80年代アイドルのような気まぐれさで、それが世代によって様々なエモーションを搔き立ててくれる。また耳に残る歌声は、空気成分のなかに多くの粒子を含み、まるで猫に耳をなめられたときのような心地よさで後を引く。

 リアルライブの経験も順調に重ね、2021年に豊洲PITで1stソロライブ『Hoshimachi Suisei 1st Solo Live "STELLAR into the GALAXY" Supported By Bushiroad』、昨年は東京ガーデンシアターで2ndソロライブ『Hoshimachi Suisei 2nd Solo Live "Shout in Crisis"』を開催。『阿蘇ロックフェスティバル FIRE 2023』ではBLUE ENCOUNTやスチャダラパー等と共演したほか、『ヴァイスシュヴァルツ15周年記念ライブ』には、さくらみことのユニットmiCometとして出演し、巧みなボーカルと熱気あふれるステージパフォーマンスで幅広い層の観客を圧倒した。

 2022年に幕張メッセイベントホールで開催された『hololive 3rd fes. Link Your Wish Supported By ヴァイスシュヴァルツ』DAY-1のトリを務めた際は、1曲目に「Stellar Stellar」を披露すると、会場の喧噪が一瞬で静まりかえり、突然宇宙空間に放り出されたような感覚に陥った、あの衝撃を今も鮮明に覚えている人は多いだろう。もちろんバーチャルである限り動きなどの制限がある一方で、瞬時に衣装チェンジしたり、ビジョンに映し出される映像とのシンクロは、バーチャルアーティストならではの見どころだ。『Hoshimachi Suisei 2nd Solo Live "Shout in Crisis"』では、1曲目の「Stellar Stellar」から一転、「TEMPLATE」では疾走感あふれるバンドサウンドに乗せてアツい歌声を響かせ、ペンライトを振りながら声を張り上げる観客と一体感あふれるステージを展開した星街。ステージに吹き出すスモーク、客席に放たれる赤いレーザー照明。もはやバーチャルであることを意識させる要素は一つもなかった。

 そんな星街すいせいは、11月14日にさいたまスーパーアリーナで『Hoshimachi Suisei Live Tour 2024 “Spectra of Nova”』を開催する。アーティストなら誰もが憧れ夢や目標に掲げるステージに、星街すいせいの衝撃的な歌声が響く。歴史的一夜になると同時に、さいたまスーパーアリーナでさえ彼女にとっては窮屈だと感じるかもしれない。だって星街すいせいの歌は“銀河”なのだから。

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