日向坂46「絶対的第六感」MVで描かれた“自分らしさ”とは 卒業控える加藤史帆らと示す存在意義

 「絶対的第六感」のMVで描かれているのは、メンバーの日常。映像は大きく分けて、メンバーの自撮りパートとダンスパートで成り立っている。濵田は雑誌『SWITCH』2024年7月号(スイッチ・パブリッシング)の中で、「君はハニーデュー」撮影時を振り返って、「世の中には無数のアイドルがいるけれど、その中で“いかに自分らしくいられるか”を考えながらパフォーマンスに挑んでほしい、と。その意識が良い表情やパフォーマンスに繋がる、そう伝えました」と話していたが、それは「絶対的第六感」のMVでもとてもよく反映されている。

 冒頭は正源司と藤嶌の笑顔の接写から始まり、それが自撮りをしている場面であることがカメラワークによって明かされる。正源司と藤嶌が無邪気に言い合いながら階段を駆け上がるシーンや、小坂菜緒、金村美玖、河田陽菜がコンビニのような場所でショッピングをするシーン、富田鈴花、佐々木美玲、丹生明里、松田好花が車に乗ってドライブをしているシーンなど、自撮りならではのメンバーの素の表情が映し出されており、おひさま(日向坂46ファンの呼称)にとってはニヤリとしてしまう映像だろう。

 富田のブログによると、本人の愛車ではないだろうが、ドライブに使用している車がジムニーシエラであることも明かされていたり、日向坂46のマスコットキャラクターであるポカがMVに登場していたりと、ファン心をくすぐる内容になっているのも嬉しい。かなり見どころのある映像となっているため、何度も見返すことで新たに気づくことも多いだろう。

 そうした日常の姿を映した場面で効果的にインサートされているのが、ダンスパートだ。過去のMVを振り返っても、日向坂46はシングル用の衣装を身にまとって踊るケースが大半だったのに対し、「絶対的第六感」では白Tシャツにジーンズというカジュアルなスタイルでパフォーマンスしている。白いスタジオのような場所でフォーメーションダンスをするというシンプルな構図ながら、今作で新たに挑戦したハウスダンスは圧巻の一言だ。日常を映し出すパートでメンバーが浮かべる無邪気な笑顔から一転して、ダンスパートで魅せる統一されたフォーメーションダンスは、日向坂46がこれから目指していくのだという方向性を示しているようにも思えた。正直なところを言うと、もっとダンスパートを見てみたいという気持ちもあるが、映像を見てライブがさらに楽しみになった。

 MVの全体を通して、メンバーをバランスよく映していた点も好印象だった。ともすれば正源司と藤嶌がMVの軸になってしまう可能性も十分にあったわけだが、全編にわたってメンバーをまんべんなく映すことで日向坂46らしいMVに仕上がっていた。というのも、本作で加藤史帆、東村芽依らの卒業が発表されており、彼女たちにフォーカスしてほしいというファンも大勢いたはずだからだ。メンバーそれぞれの個性がしっかり反映されていながらも、全体としての統一性も保たれている。日向坂46の本格的な世代交代を告げるシングルとしては、これからが楽しみになる映像となっていると感じた。

 少し暗いムードが漂う現代に一石を投じるような笑顔で溢れた映像は、今の日向坂46にしか成し得ない。彼女たちの笑顔を見ていると、スッと心が軽くなるのだ。それだけでも、日向坂46の存在意義を十分に示したMVと言えるだろう。

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