BUMP OF CHICKEN、Official髭男dism、マカロニえんぴつ、優里……人気アーティストの意外なルーツ
他にもヘビーなロックサウンドから影響を受けてきたのが、マカロニえんぴつのギター/コーラス 田辺由明である。ギターヒーローに憧れ、音楽を始めたと公言する田辺。なかでもハードロックギタリスト、マイケル・シェンカーへの憧れが強く、マカロニえんぴつの楽曲から時折透けて見えるハードロックな瞬間は、田辺の“自分らしさ”のエッセンスが表現された瞬間である。また、ボーカル/ギターのはっとりもハードロックにルーツを持つミュージシャンである。影響を受けてきたブリティッシュハードロック、ヘヴィメタルのようなジャンルとマカロニえんぴつの音楽性のバランスを常に考えながら制作に取り組んでいるという。
なかでも音楽的ルーツが溢れ出している楽曲が、アルバム『ハッピーエンドへの期待は』に収録されている「TONTTU」である。ディストーションのかかったギターリフにシャウト。そんなヘビーなサウンドに“サウナ”をテーマにした歌詞を載せたこの楽曲には、彼らの遊び心が詰め込まれている。このようなマカロニえんぴつのひとつのジャンルに括れないような自由さやどことなく醸し出される底知れなさは、彼らのバックグラウンドに潜む幅広い音楽との関係性があってこそなのだろう。
そして最後に紹介したいのは、シンガーソングライター 優里のルーツにあるアーティストについて。ロックバラードのエッセンスが感じられ、感情豊かなボーカルとともに、ドラマチックなメロディが特徴的な優里の楽曲。そんな優里の音楽の原体験のひとつは、Bon JoviやQueen、Duran Duranといったクラシックロックとの出会いである。小学生時代に『ベストヒットUSA』(BS朝日)を好んで見ていた優里。特にBon Joviのリッチー・サンボラに憧れてギターを手にしたという。ギタリストとしてだけでなくボーカリストとしてのコーラスワークにも魅力を感じたのだろう。これが優里のボーカリストとして、そしてギタリストとしてのスタート地点となる。
そして、とりわけ優里の代表曲「ドライフラワー」の英語バージョン「Dried Flowers (English ver.)」でのワイルドさと繊細さを両立させたボーカルワークからは、Bon Joviをはじめとした往年のロックバラードの風格を感じることができる。このように、クラシックロックのなかでもスタジアムに響き渡るようなアンセムを持つバンドをルーツに持つ優里だからこそ、オンライン時代の現在、SNSを通してスタジアム何杯分ものリスナーの心に広くリーチする音楽を奏でることができているのだろう。
これらのアーティストたちは、それぞれ異なるジャンルやアーティストから影響を受けつつも、それを独自のスタイルに昇華させてきた。彼らのような多様なバックグラウンドを持つアーティストの存在は、ジャンルの枠を越えた豊かさと創造性をもたらしているはずだ。今後も彼らがどのような新しい音楽を生み出していくのか、非常に楽しみである。
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