Nothing's Carved In Stone「僕らは本気で音楽やっていきます」 愛と絆を詰め込んだツアーファイナル

 5月15日にリリースしたEP『BRIGHTNESS』を携えて、5月19日のYOKOHAMA Bay HallからリリースツアーをスタートさせたNothing’s Carved In Stone。コロナ禍における制限が取っ払われて初のワンマンツアーとなった今回、全国を熱く盛り上げながら辿り着いた終着点はZepp DiverCity(TOKYO)。7月15日、大盛況のフロアを前に行われたライブはどこまでも力強く、バンドとファンの固い絆を見せつけるものになった。

 村松拓(Vo/Gt)、生形真一(Gt)、日向秀和(Ba)、大喜多崇規(Dr)がステージに登場するや否や、フロアからは大歓声。そして、いきなり切れ味鋭いギターリフが振り下ろされる。1曲目は『BRIGHTNESS』からの「Freedom」だ。ツアーを通して鍛え上げられたアンサンブルが塊のようになって迫ってくる。上がり続ける歓声に、村松の顔にも笑みが浮かぶ。オーディエンスとのコミュニケーションは早くも万全だ。続く「You're in Motion」では村松がフロアを指差すとリズムに乗って声が飛ぶ。大喜多の渾身のビートが会場を揺らし、生形のギターソロがさらにオーディエンスのテンションを高めていく。曲終わりではステージ上でスモークが噴き上がり、そのテンションをさらに押し上げていった。

村松拓(Vo/Gt)

 村松がマイクスタンドを引っ掴んで声を張り上げた「Chaotic Imagination」に、大喜多のラッシュをきっかけにフロント3人が煽り立てて突入した「Rendaman」と、超アグレッシブな序盤を経て、村松が「おっす、4人でNothing’s Carved In Stoneです」と挨拶。ツアーをまわってきての手応えを相当感じているようで、「めっちゃ磨かれてます。めっちゃ状態いいです。最後までついてきてください」と語る村松の言葉は自信満々。否が応でも期待は高まっていく。そしてその言葉どおり、このあと彼らは磨かれまくって尖りまくったロックサウンドを次々と投下していくのだった。

生形真一(Gt)

 日向がフロアを煽って繰り出されたのは「Challengers」。村松の歌にも気合いが乗り、その気合いが、広がりのあるサビで一気に解放される。その名のとおり真っ赤なライトに照らされて披露された「Spirit Inspiration」では、とんでもなく重量級のリフをぶん回しながらダンスビートでオーディエンスを快楽の高みへと連れていく。「もっといけるだろ!」という村松の声にフロアの温度も天井知らずで上がり続ける。その様子を見た村松は「最高!」と満足げな表情を浮かべてみせた。とにかくリズムもサウンドも多彩な引き出しを持ったこのバンドだが、そうやって数々の武器を惜しげもなく曝け出しながら、最終的にはオーディエンスとバンドのフィジカルでエモーショナルなぶつかり合いへと突き進んでいくのが彼らの真骨頂。久しぶりのリリースツアーということもあるし、15周年の節目を終えて新たな気分でステージに立っているというのもあるのだろう、ステージ全体から瑞々しいエモーションと前のめりな攻撃性が溢れ出している。楽曲を重ねるほどに、Zepp DiverCity(TOKYO)の空気はどんどん濃く、熱くなっていった。

日向秀和(Ba)

 「『BRITHTNESS』、聴いてくれました?」。中盤、「In Future」を終え、不規則なビートが流れるなか、村松がフロアに向けて語り始める。「いろんな思いを詰め込んで、前向きな力に変わってほしいなとエナジーを込めて作った作品です。安っぽい言葉かもしれないですけど、僕らの音楽を聴いているみんなには少しでも元気を分け与えられたらいいなと思ってる。人はひとりでは生きられないなって、今回のツアーで感じてます」――そんな言葉とともに演奏されたのは、『BRIGHTNESS』のなかにおいてもひときわ強いメッセージ性をもった「Will」。スケールの大きなメロディが広がり、フロアにいる一人ひとりに伝わっていく。村松の歌もとても丁寧で、まるで語りかけるような優しさを帯びている。続く「Red Light」でもシンプルなアレンジのなか歌が際立って響いてくる。さっきまで大暴れしていたオーディエンスがじっと聴き入っている姿が印象的だ。そんななかで鳴らされる生形のギターもどこかセンチメンタルで、いろいろな感情を呼び起こしてくれた。

大喜多崇規(Dr)

 一転して再びヘヴィに響き渡った「Blaze of Color」を経て「Idols」へ。村松の「揺らそうぜ!」の声にフロアの人波が大きくバウンドする。4つ打ちの軽快なリズムに村松自身も飛び跳ね、日向はステップを踏み、首を振りながらプレイ。そして生形のギターがバンドをリードしながら「Bright Night」へと突入していく。演奏もさることながら、ライブが進むにつれて村松のボーカルがますますパワフルになってきているのが印象的だ。楽曲を引っ張り、オーディエンスの感情を昂らせ、自らも鼓舞していくような歌。これだけ強い音がバックで鳴っているにもかかわらず、ガツンと突き抜けるように響いてくる彼の声とキャラクターは特別だと実感させられる。

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