THE RAMPAGE 武知海青、プロレスデビューで広げるエンタメの可能性 「痛みを越えた先の感動を届けたい」

武知海青、プロレスデビュー戦を振り返る

 THE RAMPAGEの武知海青が、今年2月25日、後楽園ホールで行われた『Into The Fight 2024』(DDTプロレスリング)に出場し、プロレスラーとしての第一歩を踏み出した。

 武知は、2022年にDDTプロレスリング全面強力で制作されたABEMAオリジナルドラマ『覆面D』にプロレスラー・ハオウ役で出演。同年、『GENERATIONS 24時間テレビ 24時間いろんなライブできるかなぁ?』(ABEMA)では、DDTプロレスリング所属の遠藤哲哉選手・大石真翔選手とも対決した。そこでの活躍が髙木三四郎氏(DDTプロレスやプロレスリング・ノアなど4団体を運営する株式会社CyberFight副社長)の目に留まり、今回のプロレスデビューに繋がったという。そして試合当日、DDT所属のレスラーたちが大乱闘を繰り広げる中、「武知海青デビュー戦~スペシャル6人タッグマッチ 30分一本勝負」に臨んだ武知は、自身がタッグ結成を希望した上野勇希選手、勝俣瞬馬選手と共に、遠藤哲哉選手、岡谷英樹選手、正田壮史選手と対決。鮮烈なプロレスデビュー戦を白星で飾った。

 リアルサウンドでは武知海青にインタビューを行い、デビュー戦の手応えや裏話、今後楽しみにしていることなどを語ってもらった。(斉藤碧)

デビュー戦を迎えるまでの特訓 各選手への印象も振り返る

――プロレスラーとしての初戦を終えて少し経ちましたが、試合を振り返ってみていかがですか?

武知海青(以下、武知):チームとしては勝てましたし、嬉しい感想もたくさんいただいたんですが、自分自身の動きを振り返ると、まだ全然足りなかったなっていうのが素直な気持ちですね。今回は出さなかった技もあるし、もっとやれたなと。対戦相手の方(遠藤哲哉選手)からも「まだ自力で勝利を挙げてない」と言われましたし、今後はさらに気合いを入れて、みなさんに認めてもらえるくらいの圧勝を目指したいなと思っています。

――試合会場となった後楽園ホールには、“武知ギャルズ”(DDTプロレスリング所属・MAO選手が命名した武知海青ファンの総称)もたくさん駆けつけていましたね。近年は“プ女子(プロレスファンの女子)”も増えていますが、今回は特に黄色い声が響いていたようで(笑)。

武知:武知ギャルズ、たくさん来てくれましたね(笑)。僕のファンの中には、今回初めてプロレスを観たという方もたくさんいらっしゃったと思うんですが、慣れない場でも僕のために一生懸命応援してくれてありがたかったです。と同時に、プロレスファンの方からすると、ここまで女性客が多い試合は珍しかったみたいで、「新鮮な光景だった」というコメントもいただきました。

――プロレスファンの方も、純粋に新人プロレスラーとして武知さんを温かく迎え入れている方が多そうでしたし、心強かったのでは?

武知:そうですね。アーティストを本業としている人間がプロレスに挑戦しているので、批判的な意見も出てきて当然だと思うんですけど、試合後にみなさんの感想を読ませていただいたら、好意的なコメントがほぼ100%で! 試合中も、THE RAMPAGEを好きな方とプロレスを好きな方という、今までおそらく交わることのなかった人たちが、それぞれ新鮮な経験をしながら一緒に試合を盛り上げてくださっている姿を見て、プロレスに挑戦してよかったなと思いました。

――武知さんが最初にプロレスの世界に足を踏み入れたのは、2022年放送のドラマ『覆面D』でプロレスラー・ハオウ役を演じた時でした。その頃からプロレスラーとしてデビューすることも視野に入れていたんですか?

武知:いえ、全く! 撮影前にプロレスの特訓をしてくださった方(大石真翔選手)からは、たびたび「絶対プロレスやったほうがいいよ」と言っていただいていたので、「もしかして、僕にもそういう可能性があるのかな?」とは思っていたんですけど、まさか実現するとは……(笑)。でもありがたいことに、『覆面D』の撮影に協力してくださっていたDDTの髙木(三四郎)副社長からLDH JAPANにオファーをいただいて。DDTの協力のもと、本格的にプロレスデビューすることが決まりました。

――デビュー戦の前には、どのような特訓をしたのでしょうか。

武知:『覆面D』の時も大石さんがつきっきりで、受け身の取り方や初歩的なマット運動を教えてくださっていたんですが、今回も大石さんに特訓していただいて。以前教わった基礎に加えて、ロープワークや技のかけ方といった本格的な技術も教えていただきました。大石さんの教え方、すごく丁寧なんですよ。

――大石選手は、一般の方向けのプロレス体験教室でも講師をされているので、教えることに慣れているんでしょうね。

武知:物腰柔らかな方ですし、一つひとつの技をわかりやすく教えてくださるので、たくさん技を習得することができました。ただ、本番でタッグを組んだおふたり(上野勇希選手・勝俣瞬馬選手)と練習できたのは、試合前日の一度だけで……。

――え!? 顔合わせ程度の練習だけで本番に?

武知:実はそうなんです。上野さんとは『覆面D』の作中でも対戦させていただきましたし、デビュー戦に向けても一緒に練習する機会があったんですけど、勝俣さんとはその時が初対面だったので、まずは「僕はこういう技ができます」っていうのをお伝えする必要があって。それを踏まえて、勝俣さんからも「じゃあ、こういう技をやってみようか」と提案してもらい、短い時間内で一緒に技を作り上げていくという感じでした。

――チームメイトだった上野選手と勝俣選手の印象は、それぞれいかがですか?

武知:まず、上野さんは安心感がありますね。KO-D無差別級王座の現チャンピオンなので、何があっても揺るがない自信が感じられるというか。上野さんと一緒にいるだけで、自分もきっと上手くいくと思える、頼もしい方です。逆に勝俣さんに初めてお会いした時は、人見知りなのかな? って思いました。僕も人見知りなところがあるので、お互いあまり喋れなくて(笑)。でも試合当日は、緊張している僕をリラックスさせようと、気さくに話しかけてくださって。お兄ちゃんみたいな雰囲気で、ずっと傍にいてくれました。

――対戦相手の遠藤哲哉選手、岡谷英樹選手、正田壮史選手の印象も教えてください。

武知:遠藤さんは長くプロレスをやられている方なので、技のクオリティも高いですし、対面した時の重圧感がすごくて! ナメてかかったら一瞬で負けるなって思いました。

――遠藤選手とは、2022年放送の特番『GENERATIONS 24時間テレビ 24時間いろんなライブできるかなぁ?』でもプロレス対決をしていましたね。関口メンディーさんとタッグを組んで、遠藤哲哉選手&大石真翔選手に立ち向かって。

武知:その時からずっと印象は変わらず、圧倒的に強い人だなと感じています。でも、だからこそ安心してぶつかっていける存在でもありました。というのも、プロレスは技をかける側の技術も大事なんですが、それ以上に受け身が大事で、受ける人がミスると両方ケガするんですよ。その点、遠藤さんはどんな大技も綺麗に受けてくださるので、対戦相手ではありますけど、そういう意味ですごく信頼の置ける方でした。

――岡谷選手に対しては、試合後に「赤髪」「あのガキ」と煽っていましたね(笑)。

武知:あのガキ……いや、岡谷さん(笑)。彼とも、実は『覆面D』の現場で一度お会いしていまして。その時はめちゃくちゃ優しかったんですよね。僕のほうが年上なんですけど、フラットに喋れるし、和気あいあいとした雰囲気で楽しく練習してたんです。それが今回、試合当日にお会いした時はスイッチが入ってて。前のようなテンションでは話しかけられなかったですし、試合後にも「いつでも相手してやる」と煽られたので、それ以降も特に距離を縮めることなく、結構バチバチしてます。

――でもそれって、プロレスラー同士の在り方としては、すごくいい関係性ですよね?

武知:そうですね。岡谷さんって、すごく真面目な方なんですよ。だから、本来アーティストである僕がプロレスのリングに上がることに、納得いかないんだと思うんです。だったら、僕はそれを跳ね除けられるくらいの負けん気と実力を見せないといけない。この試合を通して、そう再認識したので、岡谷さんとはまたリング上で戦いたいですね。

――個人的には、今回の影の立役者は岡谷選手だなと感じました。武知さんに対して終始ケンカ腰の岡谷選手を見て、「なんて感じの悪い人なんだ!」って思った人もいるかもしれませんが(笑)。それくらい悪役に徹してくれているから、武知さんがヒーローとして輝けたんだろうなと。

武知:うん、悪がいないとヒーローは生まれないですからね。岡谷さん自身がどう考えているかはわかりませんが、結果的には、僕が表現したいものを岡谷さんがわかりやすくしてくれたなと感じていて。そんな2人がシングルマッチをしたら、きっと面白いものになるんだろうなと、今から楽しみにしています。

――正田選手の印象は?

武知:正田さんは、道場練習の時に初めてお会いしたんですけど、その時の第一印象は“高校生”だったんですよね(笑)。威圧感もないし、キラキラしてて、プロレス好きな少年! って感じで。だから、そのイメージで試合に臨んだら、めちゃくちゃ強くてビックリしました。キックの威力もさることながら、蹴られ慣れてない僕に対しても、本気でキックやエルボーをしてくれるところに、正田さんのすごさを感じましたね。だって普通に考えたら、僕のファンの方がいっぱいいる中で、本気で僕を蹴るのって怖いと思うんです。思いっきりやって、コイツ(武知)に何かあったらどうしよう!? って思うじゃないですか。

――会場では「顔はやめて~」なんて声も上がっていましたもんね。

武知:それでも、お客さんにいい試合を見せようと、不安を乗り越えて本気でぶつかってきてくれた。その心意気がすごく嬉しかったですし、個人的には一番長く対峙していたのが正田さんだったので、正田さんとの対戦が特に印象に残っています。他のレスラーの方に対しても言えることですが、万が一ケガをしても、それは完全に僕の責任なので、今後も気にせず全力でぶつかってきてほしいですね。

――そう言うと、武知ギャルズが心配してしまいそうなんですけど。

武知:絶対に無理はしないので、安心してほしいです。これはもう僕のことを信じてもらうしかないんですけど、僕、昔占い師さんに「自分を過信しすぎてる」って怒られたことがあるんですよ(笑)。根がビビりで弱い人間だから、自分は強い! って思い込んでいかないと、生きていけないんじゃないかと思ってた時期があって。でも怒られてからは、自分を過信しないように心がけていますし、本当の自分を知った上で戦った結果、こうして勝利を残せているので、今後もその姿を見守っていてもらえたら嬉しいです。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる