乃木坂46、井上和がグループの新たな顔に 36thシングル『チートデイ』フォーメーション解説
乃木坂46が8月21日にリリースする36thシングル『チートデイ』の選抜メンバーが、7月14日深夜放送の『乃木坂工事中』(テレビ東京系)にて発表となった。
山下美月に代わり、乃木坂46の新たな顔となる井上和
35thシングル『チャンスは平等』でセンターを務めた山下美月をはじめ、阪口珠美、清宮レイの3人が前シングルの活動期間で卒業。グループ全体としても新たなスタートを切りながら、さらなる変化が求められる大事な季節に、井上和がセンターに選ばれた。井上がセンターを務めるのは33rdシングル『おひとりさま天国』以来、ほぼ1年ぶり。7月20日よりスタートした『乃木坂46 真夏の全国ツアー2024』で今年も座長として先頭を切るメンバーとなる。
井上は現在、そして未来の乃木坂46の顔だ。「おひとりさま天国」をもって出演が叶った昨年末の『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)、現在行われている6期生オーディションの告知、齋藤飛鳥や賀喜遥香ら歴代の先輩メンバーが経験してきた明治神宮野球場でのMCという大役。井上のさまざまなインタビューを読んでいて感じる成長や変化は、自身のありのままの気持ちを伝えられるようになったこと。たとえば、雑誌『SWITCH』2024年7月号(スイッチ・パブリッシング)では、『おひとりさま天国』の期間を経て、「信じられる人間でありたい」と思うようになったことを明かしている。“乃木坂46らしさ”を意識するあまり、自分の気持ちがわからなくなってしまった井上は、「自分が嘘のない人間になれば、手を差し伸べた時に相手も安心して手を握ってくれる」という考えに至った。6期生という未来の乃木坂46メンバーに手を差し伸べる井上は、かつて自身が遠藤さくらに抱いたような憧れの対象になっている。
小川彩と池田瑛紗がセンターの井上和を支える
井上の両翼を担うのは、下手に小川彩、上手に池田瑛紗。小川に関しては、初選抜入りにしてフロントメンバーという乃木坂46史上稀に見るジャンプアップを果たしている。小川はこれまでの『アンダーライブ』で見せてきた表現力、池田は東京藝術大学への進学を機に加速している注目度とそれに応える『乃木坂工事中』でのナチュラルな姿がそれぞれ思い浮かぶが、井上を含めての5期生3人が1列目に並ぶ光景には、タイミングや経験、ポジションなどは違えど、遠藤、賀喜、筒井あやめの4期生3人がフロントに並んだ24thシングル表題曲夜明けまで強がらなくてもいいを彷彿とさせるものがある。
当時の筒井と同じく小川は今の乃木坂46の最年少。小川がセンターを務める5期生曲「いつの日にか、あの歌を・・・」は彼女への期待の表れとも言えるが、6期生が加入するこの夏のタイミングで小川にフロントを経験させたいという意図も感じられる。小川の隣には遠藤、池田には賀喜がポジショニングされていることは井上にとっても頼もしいことだろう。池田にとって賀喜は、『乃木坂工事中』での企画「お歳暮グランプリ」で憧れと感謝を示したメンバーだ。また、4期生、5期生のみで構成されたフロントということも、世代交代と新たな乃木坂46をイメージづける重要なポイントである。
充実したアンダー期間を経て、筒井あやめ、中西アルノらが選抜復帰
2列目には、前作でフロントを担っていた与田祐希、久保史緒里、梅澤美波、岩本蓮加が五百城茉央、一ノ瀬美空を挟むようにしてそのままスライドしてきている。山下卒業後、「チャンスは平等」を“うめくぼ”のダブルセンターで披露していることも相まって、井上の裏センターが久保と梅澤であることは盤石の構えと言える。
3列目には、筒井、菅原咲月、中西アルノ、冨里奈央、金川紗耶の5人が選抜復帰。『35thSGアンダーライブ』で座長を務めた筒井は、かつて齋藤から言われた言葉に応えるようにして「乃木坂46に革命を起こせる人になりたいです」とステージ上で力強く宣言した。『乃木坂46アンダードキュメンタリー~35thSGアンダーライブ舞台裏~』(TBSチャンネル1)のなかで、筒井は何かを変えるきっかけとなった『35thSGアンダーライブ』を経て、「自分をより好きになれました」と話している。
そして特筆すべきは、中西。センターに抜擢された29thシングル『Actually…』以来、実に7作ぶりの選抜入りとなる。この2年半という期間は、彼女にとって強烈なアゲインストが吹き続けていた険しい道のりだった。その声が止むことはこの先きっとないだろう。それでも中西がここまで獲得してきたのは、ファンやメンバー、スタッフ陣からの信頼。中西が座長を務め、自身にとってもターニングポイントになった『34thSGアンダーライブ』最終日、ラストのMCで声を震わせながらも自信に満ちた声で伝えた「乃木坂46って最強なんですよ」「私は今ここにいることに誇りを持っています」という言葉。それは『Actually…』がリリースされた頃には到底想像できなかった未来だ。出演も2年目に突入した『NHK俳句』(NHK Eテレ)で見せる感性やその類稀なる歌唱力と表現力を遺憾なく発揮している『Spicy Sessions』(TBSチャンネル1)など、中西に魅了されている人は大勢いる。それら一つひとつが彼女を守る盾、自信となって、さらなる坂をのぼる原動力となっているのだろう。