井上梨名&村井優、“櫻坂46らしさ”を広げていく野心 全員で立った東京ドームから得た自信

 櫻坂46が9枚目のシングル『自業自得』をリリースした。先日終えたばかりの2日間にわたる東京ドーム公演(『4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?- IN 東京ドーム』)で初披露された表題曲は、クールかつダイナミックな曲調にメンバーの個性を活かした歌唱が乗っていく、櫻坂46らしさを更新していく1曲。三期生の山下瞳月がセンターを務め、円形のステージで抜群の存在感を放つMVも話題になっている。グループの可能性をさらに広げる『自業自得』収録曲について、そして東京ドーム公演の手応えも含めて、井上梨名、村井優に語ってもらった。(編集部)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

東京ドームに向けて高いクオリティを保ち続けたツアーに

――東京ドーム公演、お疲れ様でした。2日間、本当に素晴らしかったです。

井上梨名(以下、井上):本当ですか!? ありがとうございます!

――3月のアリーナツアー(『櫻坂46 4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?-』)の時点ですでに完成度が高かったと思ったんですが、その集大成として開催される約2年ぶりの東京ドーム公演に対して、お二人はどのような気持ちで向き合いましたか?

井上:ライブの演出家さんやダンサーさん以外に、ご覧になったいろいろな関係者の方からも「今回のツアーすごくよかったよ!」と言ってもらえていたのは、大きな自信につながりました。というのも、それ以前のツアーって公演を重ねるごとにちょっとずつよくなっていく形が多かったんですけど、今回はそうじゃなくて、初日から高いラインを超えることができていたんです。そういう意味では右肩上がりというよりも、常に高いクオリティを保ちつつ、日々更新しながら完璧に近づけていくようなツアーだったのかな。でも、そういったツアーを達成できたとはいえ、いざ東京ドームとなると会場の広さはもちろん、お客さんからの見え方も全然違ってくるので、もっともっと自分たちを大きく爆発させないといけないなと思って。正直「どうすればいいんだろう?」とメンバーの間でも考えることもあったんですけど、やっぱりライブでの声出しがOKになったこともあって、Buddies(櫻坂46ファンの総称)の皆さんの熱量が昨年ぐらいからどんどん上がってきていることがめちゃめちゃ伝わっていたので、そういった相乗効果を図ることで最高を更新できるんじゃないかと考えていました。

井上梨名

村井優(以下、村井):私たち三期生にとっては今回が初めての東京ドームでのライブでしたが、櫻坂46のメンバーになる前の東京ドーム公演(2022年11月)は客席から先輩たちの姿を見ていたので、そこからこんなにも時間が経ったんだと感慨深かったですし、何より今回はそのステージに先輩方と一緒に立てたことがすごく嬉しかったです。演出プランをいただいた時から、櫻坂46として新しいものを見せられるライブになりそうだとワクワクしていましたし、それと同時に「Nobody's fault」のような初期の楽曲もたくさん披露させていただけるので、今回のドーム公演で初めて櫻坂46のライブを観るという方にもグループの歴史をしっかり届けられるものにできるんじゃないかなと思っていました。

――1曲目「何歳の頃に戻りたいのか?」のスタートと同時に、ステージ上のLEDスクリーンが開いて皆さんが登場するわけですが、そこで初めて客席の様子を目にするわけですよね。

井上:そうなんです。まず、(山﨑)天がオープニングからソロダンスでかましてくれたのも大きかったですよね。今回はチケットを完売させることができて、しかもほぼ360度お客さんが入っていた状態だったんですけど、正直本番でその景色を見るまで「本当なのかな?」ってなかなか実感できていなくて。もちろん信じていなかったわけじゃないんですけど、同じくらい「実は嘘かもしれない」と思ってしまう自分もいて。それは2年前に完売させることができなかったからというのも大きかったのかもしれません。本番でどこを見てもお客さんで埋まっていて。ここまで来るのに悔しかったこともたくさんありましたけど、それを乗り越えるためにやってきたこと全部が楽しかったと思えたので、ここまで頑張ってきてよかったなって思いました。

村井:私も初めて見た景色だったといいますか。もちろん、昨年のアニラ(2023年11月、ZOZOマリンスタジアムで開催した『3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』)もすごい景色でしたけど、ここまでのものはまったく想像できていなかったので、いざ目の前にしたら鳥肌が立ちました。櫻坂46のパフォーマンスをこんなにも観たいと思って集まってくださった方々に囲まれているっていう事実が本当に嬉しくて、これからもBuddiesと一緒にいろんな景色を見ていきたいと改めて思いました。

――印象的な曲はたくさんありますけど、やはり特筆すべきは三期生による「静寂の暴力」。あの曲の間、会場がシーンと静まり返って皆さんのパフォーマンスを見守るという光景は、ハイライトのひとつだと思いました。

村井:ありがとうございます! 私もあの曲の間、ずっと緊張感がすごかったです。最初、みんなの足音から始まるんですけど、本当に東京ドームがシーンと静まり返っていて。照明も消えて真っ暗闇で、メンバーのステップの音しか聞こえない空間なのに、それでも三期生みんなの呼吸は合っていて、目には見えない絆でつながっていることが実感できた、今までにない経験でした。

井上:やっぱり、三期生は度胸があるというか、肝が据わっている子が多いですよね。一期生さんや二期生とはまた違う強みを持っている子がいっぱいいて、グループの一員として即戦力になってやろうっていう気概がいろんな場面で伝わってくるんです。加入したての頃は「先輩たちに追いつけるように」とよく言っていたと思うんですけど、今は一期生さんから三期生までみんなが一列になって進んでいるなという感覚が強くて。今回の「静寂の暴力」も、絶対に三期生にしかできないパフォーマンスだなって思いました。実はあの曲の時、舞台裏ではみんなが「シーっ!」って言って、静かに見守っていたんですよ。舞台裏って常にドタバタしていて、「暑いねー」とか「メイクさん、直してください!」って声が飛び交っているんですけど、あの曲の時だけは、メンバーが率先して静かにしようとしていました。

村井:嬉しい……ありがとうございます。

村井優

――三期生を東京ドームに連れていけたことも大きなトピックですけど、休養明け間もない小池美波さんを含む現メンバー全員でドームに立てたことも、グループにとって非常に大きなことだったんじゃないでしょうか。

井上:そうですね。ここ最近はお休みしているメンバーもいて、全員揃ってライブを行える機会が少なかったので、こうして全員で立てたというのは何よりBuddiesのみんながすごく喜んでくれたんじゃないかと思います。実際、みいさん(小池)が「摩擦係数」の間奏でカッコよく登場した時は、すっごい歓声が沸き起こりましたし。私たちもパフォーマンスしながら聞こえていたので、「すごいでしょ? これが私たちの先輩なんだぞ!」って誇らしい気持ちでした。でも、私は三期生のおかげで今回ドームに立てたと思っているんですよ。

村井:いえいえ! 私は一期生さん、二期生さんの頼もしい姿を見て、「私も一緒に櫻坂46を大きくしたい!」って気持ちで常に頑張ってきたので、先輩たちがいてくださったからこそですし。だから、小池さんを含めた全員でドームの舞台に立てたことは本当に嬉しいんです。

井上:そう言ってもらえるのは、こちらも嬉しいですね。

――あの2日間のことは、皆さん心から誇っていいと思いますよ。それくらい最高の舞台でしたから。

井上:そう言ってもらえるとホッとします。カッコいい曲の時は真剣になって、その曲に入り込んでパフォーマンスしていたんですけど、実はアンコールの時はニヤニヤが止まらなくて(笑)。こんなに嬉しすぎるとニヤけが止まらなくなるんだって、自分でもすごくびっくりしました。

――それはきっと、お客さん側も一緒ですよ。自分の想像を超えるものを目の当たりにすると、人って笑いが込み上げてくることがあると思うんですよね。

井上:あー、わかります! たぶん、私も同じ気持ちだったんだと思います。

センター 山下瞳月がグループに与える刺激

――ここからは、東京ドーム公演で初パフォーマンスされた新曲「自業自得」を含む9thシングルについてお聞きします。グループにとって9枚目という数字は非常に大きな意味を持つと思いますが、そうした作品で櫻坂46らしさをより強く打ち出せたことは皆さんにとって大きな手応えになっているんじゃないかなと思うんです。楽曲を受け取って初めて聴いた時、皆さんはどういう印象を持ちましたか?

井上:おっしゃるように、櫻坂46の曲といえばこういうテイストや雰囲気だぞというものが、より強くなったのが「自業自得」なのかなという感じもありましたし、何よりファンの方がめっちゃ好きなんじゃないかなと、私は最初に思いました。

村井:イントロの最初の1音からすごくカッコよくて。“櫻坂46といえば”という要素ももちろんあると思うんですけど、ここでまた新しいテイストのカッコよさが見せられるんじゃないかとも思って。新しさだけじゃなくて今までのよさも引き継いでいるので、たくさんの方に聴いていただきたいなって思いました。

――「Start over!」以降の流れからすると、恋愛をテーマにした歌詞というのがちょっと意外な気がしました。

井上:確かに。でも、櫻坂46になってから恋愛テーマの曲は増えましたし、特に今回のシングルにはそういった曲が多いので、いろんな表現ができるのは嬉しいです。個人的にはライブで初めてパフォーマンスしてみて、すごく自然にこの歌詞が溶け込んでいったような気がして。恋愛テーマでもかなり強い歌詞なんですけど、それでいてパフォーマンスするとめちゃくちゃ楽しいんですよ。これからいろんなステージで披露していくにつれて、その感情も少しずつ変わっていくかもしれないですけど、最初にライブで披露した時に関してはとにかく楽しかったです。

――ダンスなどの動きが加わると、言葉やメッセージがより自分の中にスッと入ってきたりするんでしょうか。

井上:そうですね。やっぱり「伝えよう」っていう思いが、特にライブになるとどんどん溢れてくるので。しかも、東京ドームではライブ本編の最後に披露したので、「残りの力を全部出し切ろう!」というのもあったのかな。

村井:東京ドームの時は、「自業自得」を盛り上げようとしてくれるBuddiesの方々の熱量もすごくて、その期待を上回るようなパフォーマンスをしたいなと思ったので、私もこの曲で最後にすべてを出し切れたと思います。

――この曲、Bメロでいきなり8分の6拍子になったり、サビもメロディの譜割りが独特だったりと、リズムの取り方含めて踊りながら歌うのは大変じゃないですか?

井上:しかも、歌割りも細かく分かれていて難しいんです。例えば、アイドルソングのサビってメンバー全員で歌うことが多かったりしますけど、この曲のサビはいくつかのチームに分かれて歌うんですよ。それが細かく区切られているから、そこも難しさにつながっていると思います。ただ、個人的には一人ひとりの個性ある歌声がわかりやすく聴こえる曲でもあるなと思っていて。そういう曲が私はすごく好きなので、完成した音源を聴いた時に「ああ、ここはあの子の声だ」っていうのがわかって、とても嬉しいなと思います。きっと、それはファンの方も同じなんじゃないかな。

――確かに、聴いていて「このパートではこのメンバーの声が軸になっているな」とか「ここではこのメンバーの低音が特徴的に響くな」と感じるパートが多いですよね。

井上:そうなんです。そこがいいですよね。

村井:私は最初、リズムの取り方と歌うタイミングに苦戦したんですけど、細かい音までダンスにビシッとハマった瞬間は見ていても踊っていても気持ちよくて、楽しい曲なんですよね。それこそおっしゃったように、1曲の中でリズムが変わったり曲の雰囲気が変わったりと、複数の楽曲の要素が入っているようで。カッコいい瞬間もあれば儚くて滑らかな旋律もあったりと、いろんな楽しみ方ができる曲だなと思いました。

櫻坂46『自業自得』

――この曲のセンターを務めるのは山下瞳月さん。シングル表題曲で三期生がセンターに立つのは今回が初めてですが、お二人から見たセンター 山下さんはどう映りますか?

村井:瞳月のことは同期ながらも本当に尊敬していて。「櫻坂46を引っ張っていくんだぞ」っていう強い意志がいろんな瞬間に感じられて、一緒にいて「私も負けないくらい頑張りたい!」って思わせられるんです。それは今回のシングルの活動でも一緒で、いろんな場面で刺激をもらっています。

井上:先輩の私から見ても、とても頼もしい存在です。もしかしたら個人的にいろんなことを考えていたりするかもしれないし、弱音とかをもっと吐いてもいいのに、そういう姿をまったく見せなくて。村井が言うように「私が引っ張っていきます!」ぐらいの強い思いを背中で見せてくれるんですよ。センターになってからの成長速度もすごいですし、何よりも前に立ってくれるとすごく安心する。「どうやったらその強い心でいられるんだろう?」って驚くことも多いんですけど、「たまには甘えてくれてもいいんだよ?」ってことを先輩たちはみんな思っていると思います。

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