デビューアルバム1枚で解散 UGUISS、“伝説のバンド”が80年代音楽シーンに残してきたもの

 1983年にEPICレーベルよりデビューし、短い活動期間に鮮烈なインパクトを刻んだUGUISSが、デビュー40周年にアナログ2枚組『UGUISS (1983-1984) ~40th Anniversary Vinyl Edition~』をリリースした。

 デビューアルバムを1枚残し、解散してしまったことから、伝説のバンドともいわれるUGUISSは、佐橋佳幸(Gt)、柴田俊文(Key)、松本淳(Dr)という現在も第一線で活躍中のミュージシャンが在籍していたことでも知られている。

 リアルサウンドでは、佐橋、柴田、松本の3人にUGUISSがいた時代とその活動、リリースが見送られた幻の2ndアルバムや当時の音楽シーンについてたっぷり語ってもらった。(佐野郷子)

イーグルスをちょっと意識したのかな?(佐橋)

UGUISS(前列:佐橋佳幸、冨田麗香 後列:Dr.kyOn 、柴田俊文、松本淳)

ーーUGUISSのデビュー40周年記念にアナログ2枚組『UGUISS (1983-1984) ~40th Anniversary Vinyl Edition~』がリリースされることになりました。

佐橋佳幸(以下、佐橋):アナログは1stと2ndをカップリングした2枚組なんですが、当時の貴重な写真や、自分たちでつくったチラシとかも封入して、なかなかレアな感じに仕上がったんじゃないかと。

松本淳(以下、松本):リリースされなかった幻の2ndアルバムが初めてアナログになったのはやはり、感慨深いですね。

ーー2ndアルバム『Presentation』は、1993年に『UGUISS#2 Back in '84』としてCDでリリースされましたが?

佐橋:そう。でも、本来はアナログレコードで出すつもりで作ったものだから。今回のアナログは曲順もマスターテープのままです。

柴田俊文(以下、柴田):TD(トラック・ダウン)まで終えて、あとはジャケットだけという段階で解散が決まったんだよね。

佐橋:2枚組っていうのがうれしいよね。ジャケットの中面に散りばめた写真の感じもちょっと懐かしいタッチでしょ?

松本:誰かのアルバムを思い出しませんか?

ーーデレク・アンド・ドミノス『いとしのレイラ』ですかね?

松本:まさに!(笑)。

佐橋:2ndがこうしてアナログになるなんて、まさかのアナログブームのおかけですよ(笑)。CD全盛時代はアナログ人気が復活するなんて思わなかった。

ーーそもそもUGUISSとはどんなバンドだったのかをオリジナルメンバーのお三方と振り返りたいのですが、バンド結成は1977年まで遡るとか。

佐橋:(松本)淳と最初に会ったのは1977年頃。柴田とも高校1年の頃に出会っている。それで皆で色んなバンドをやっていくうちに、初代ボーカリストの竹内仁恵さんが入って、UGUISSになっていくんです。

ーーUGUISSという印象的なバンド名の由来は?

佐橋:仁恵さんがその頃、ウグイス嬢のバイトをしていたことと、イーグルスをちょっと意識したのかな? バカですねー(笑)。

柴田:ウグイスは英語でナイチンゲール。よく聴いていたイーグルスの1stにも「NIGHTINGALE」という曲が収録されているんだけど……そういう知恵が回らなかった(笑)。

ーー最初から女性ボーカルのロックバンドを目指していたんですか?

佐橋:そうですね。UGUISSの前身バンド、人力飛行機では僕がボーカルだったこともあるんだけど、リンダ・ロンシュタットやニコレット・ラーソンみたいな音楽性のバンドをしたかったんですよ。

柴田:日本ではそういう志向のバンドはまだいなかったし、パット・ベネターとかハートのような女性ロックボーカルが人気を博す少し前だった。

佐橋:70年代後半の日本のロックシーンで女性ロックボーカルといえば、カルメン・マキさんくらいしかいなかった。

松本:そうだね。当時はハードロック系が強かったし。

佐橋:リンダ・ロンシュタットも70年代はカントリーロック~ウエストコースト・ロックだったけど、時代の変遷とともにニューウェイブを取り入れたりしたじゃないですか。UGUISSはそういう影響をもろに受けたバンドだったと言えるんじゃないかな。

佐橋:十代の頃から、僕ら3人はバンドの傍ら集まってはレコード屋に通い、お互いにレコードが被らないよう買って、色んな音楽を吸収していったんですよ。淳が自由が丘の伝説のロック喫茶「チャーリー・ブラウン」でバイトを始めたのもデカかったね。

松本:そう。その店で新譜を聴きまくり、録音しまくっていた。

佐橋:僕らの生息していたのは主に東京・城南地区で、渋谷・下北沢・自由が丘、吉祥寺あたりでレコードを買ったり、ライブをしたり、バイトをしたりして、「いつかデビューしたい」と夢見ていた若者だったんですよ。

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