伊東健人、大人のステージングで魅了 出来立ての新曲も披露した『1st LIVE ~咲音~』レポ

 続いて「『今日を逃したらいつやるんだ?』というくらいのスペシャルな1曲」と前置きした上で、何かと縁深い須田景凪(バルーン)の「シャルル」をカバー。さらに「着席タイムを設けたいと思います」と通達して観客を座らせ、アコースティック寄りのミディアムAORナンバー「AMBER」「Follow」がゆったりと届けられた。すると伊東のもとへスタッフが駆け寄り、おもむろにアコースティックギターが手渡される。客席から期待のこもった歓声が上がる中、伊東はアコギを爪弾きながら「今日の衣装も相まって、こういうお笑い芸人いそうな感じですけど(笑)」とギター漫談スタイルで語り始めた。

 「豊洲PIT、いつ以来だろう? 『アイマス』(『アイドルマスター SideM』)で来て以来かもしれない。1人でやれる日が来るとは……」と感慨深げに述べたのち、「ここからは僕が一番力が入るポイントなんですけど……今日は! 自分で作った! 自分でギターを弾く! 新曲やりまーす!」と高らかに告げ、さらに「しかも2曲やります!」とつけ加えて豊洲PITが揺れるほどの大歓声を巻き起こした。そして「1週間ちょっと前にできたばかり」だと語る16ビートのマイナーAORチューン「意味愛」、くるりやフジファブリックなどを彷彿とさせるフォークロックナンバー「歩幅」を軽やかにパフォーマンス。これに続いて「sugar」「My Factor」といった人気曲を立て続けに投下し、色とりどりのペンライトが波打つフロアを大いに踊り狂わせてライブ本編を締めくくった。

 アンコールに応え、ステージにはまずバンドメンバーが再集結。おもむろにアコースティックギターの16ビートカッティングが打ち鳴らされると、すかさずTシャツ姿の伊東が舞台袖から登場し、2021年にゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』に提供したボカロ曲「magic number」のセルフカバーを披露した。続くMCでは客席から飛んでくるさまざまな声を細かく拾い、ファンと濃密なコミュニケーションを図ろうという姿勢を見せる伊東。「疲れました」と正直な心境を伝えて笑いを取りつつ、「体はちゃんと疲れてきてるんだけど、心はまだまだ行けるんですよ。もっともっとやりたいのは山々ですけれども、そこはオールドルーキー、曲数がまだそんなにない!」という身も蓋もない発言で爆笑をさらった。

 近年の音楽活動については「いいペースでは来ていると思うんですよね」と手応えを感じている様子だったが、「もう4月も中盤ですか。この1年が早くも3分の1終わるということで、あっという間にね、きっとこの調子で僕は気づいたら棺桶の中……人生そんなもんなんだろうなと思うんですけどね」などとシニカルな人生観を口にする伊東。そのまま彼は言葉を続ける。「今みたいな働き方って、正直40歳越えたらできないと思うんです。そんな『ちょっと疲れたな』っていうときまで、全力で走り続けたいと思います」と地に足のついた物言いでほどよい湯加減の所信を表明し、最後にソロデビュー曲「真夜中のラブ」を披露。妖艶な大人のダンスミュージックで会場をシックなムードに染め上げ、彼の等身大な魅力が詰め込まれた一夜にしっとりと幕を引いた。

伊東健人が放つ異彩さ 2nd EPを機に振り返る、声優デビュー前からの音楽活動と幅広い楽曲

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