星街すいせい「ビビデバ」、バイラルチャートイン ボーカルスキルを存分に感じられる難曲

ビビデバ / 星街すいせい(official)

 今回取り上げた「ビビデバ」は、3月22日に公開されたMVがVTuber歴代最速の約16日間で1000万再生を突破している。実写とアニメーション、メイキングと本番が同時進行する本MVは、そのアイデアも面白いが、実写とアニメのコントラストをはっきり描きながらも、シームレスに繋げている編集技もお見事。「ビビデバ」は『シンデレラ』に登場する魔法の呪文「ビビディ・バビディ・ブ―」から取った言葉だろう。、MVを観ていると現実と夢の世界(アニメ)の境目がなくなり、魔法の世界にひきずりこまれるような感覚を覚える。

 「ビビデバ」は、古今東西の多彩なダンスミュージックのリズムパターンが次から次へと登場する、大胆で少しトリッキーなナンバー。メランコリックでドメスティックなメロディと、洒脱なメロディを違和感なく交差させる楽曲展開にも驚く。さらに旋律の高低差、譜割りも複雑、転調、ラップのアプローチもあり……と、一聴しただけで“歌うのもリズムに乗るのも難しいだろうな”と思う1曲だ。ゆえに星街のボーカルスキルが存分に発揮された曲とも言える。メロディのムードに合わせ、フレーズ終わりの母音の扱いを変えているほか、一音の中で喉の鳴らす部分を変えて揺れを出すなど、非常に高いスキルが窺える。マイクコントロールを喉の中でやっているような印象も。声音の種類も多く、ファルセットひとつとってもいろいろなパターンがある。低音から高音への駆け上るような移行のうまさも魅力だ。

 多様化している音楽シーンで、これからも快進撃を続けそうな歌い手としての実力が、星街の最大の武器になっている。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-04-10

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