LAGHEADSとKIRINJI、共感し合う両者の接点 「どうして髭を?」制作背景を語る

LAGHEADS×KIRINJI対談

キャリアを積み上げても遊び心が常に存在してる

――そして歌詞によってこの曲のフィロソフィーが出来上がっていますよね。ちょっと皮肉もこもっているかと思うんですけど。

堀込:皮肉でもないんですけど、何がいいかなと思って。こういうファンクサウンドで、あんまり真面目なことを歌ってもなぁっていう感じの……ごめんね(笑)。

一同:いやいや(笑)。

堀込:以前、冨田ラボに参加した時、細野(晴臣)さんが歌われた曲に「煙たがられて」っていう喫煙者が肩身狭い思いしてるっていう詞を書いて。そういう嗜好品の歌がいいと思ったんですよ。でもお酒って嫌だなと思って(笑)、お酒でファンクってちょっとなんかあれでしょ? コーヒーも格好つけすぎだなと思って。で、LAGHEADSの写真を見たらみんな髭を生やしてるから。

一同:ははは。

堀込:髭だなこれはと思って(笑)。髭の歌ってあんまりないと思って。

――なかなかシニカルといいますか結構いろんな意味が込められた歌詞かなと。

堀込:ここにいる人はみんな割と可愛げのある髭じゃないですか(笑)。こういうのって(鼻の下とか両サイド)やっぱりちょっと何か特別の意味を持ち始めるでしょ? だからなんかそれは面白いなと思ったんで、髭によって色々意味が発生してくるから。

――歌詞には喜劇王から教祖まで出てきますね。

堀込:どんな職業の人が生やしてるかいろいろ思い浮かべて。まあミュージシャンも髭を生やしてる人が多いけど、もうここにいるからいちいち改めて歌う必要はないと思って(笑)、ミュージシャンは外したんですけど。やっぱりミュージシャンが生やすのと独裁者が生やすのではちょっと意味が違うので。

一同:ははは。

堀込:そこは選んだセレクションが割と上手くいったなとは自分では思いますね。

――最近の高樹さんの歌詞の傾向として、社会性が含まれていることが多いので、この曲にも男性性みたいなことについてうっすら感じる部分はあります。

堀込:髭を伸ばすのは男性ですからね。そこは批判しようとか何かしたわけじゃないんだけど、ちょっと面白いなあと思ったんで書いてみましたみたいな感じですかね。いろいろ読み取ろうと思えばいろいろ読み取れると思うんですけど。

――絶妙なバランスで笑える感じがありますね。

宮川:「The Great Journey」とかだって、ちょっと笑えるというか。だから歌詞もそんな感じのバランスで書いていただけたらいいよなみたいな話まではこっちでもしたよね。「どんな歌詞にしたらいいと思う?」みたいな話をした時、ユーモアとコミカルの絶妙なバランスで書ける方だなってイメージがすごくあるから、ちょっと笑える、頭の良い人がちょけてるみたいな感じで書いていただけたらいいんじゃないかなと僕らは思ってました。そしたらKIRINJIのツアーの後半に高樹さんが「純くん、髭の歌にしたから」って言われて、「髭?」みたいな(笑)。

宮川純

山本:でもハマり具合すごい。

宮川:髭で一つの歌を持たすのどうなるんだろうってすごく楽しみにしてて。最初にラフで歌が上がってきたのを聴いた時、「なるほど、髭一つでここまで広がるんだ」と思って。いやすごく嬉しかったです。

――今回のコラボレーションによってバンドに返ってきたものがあるとしたら?

小川:返ってきたものかはわかんないですけど、SNSの反響を見てる感じだとKIRINJIのファンの方で僕らのこと知らなくてみたいな方たちに知ってもらえたのかな? みたいな実感はちょっとあるんですけど。

――制作で得た手応えでいうと?

山本:まあ手応えというかクリエイターとして本当にマジでハンパないなって。主旋律以外も全部お任せしてやってもらったんで。

宮川:こうちょっとウエストコーストっぽいファンクとかになりそうなところがちゃんとKIRINJIのサウンドになるっていう。

堀込:なんか入れすぎたかなと思って、「多いと思ったら減らしてください」って。

山本:結局ほぼ使いましたけどね。

小川:昔から聴いてた人とまさか一緒に作るなんてことを想像してなかったんで、僕がメールのやり取りをしてたんですけど、「ちゃんとしなきゃ」と思ったりして。でも歌詞がきた時にちょっと距離が縮まった感じがしたんです(笑)。ちょっとふざけてる歌詞がきて。僕らも結構遊び心を常に持って二枚作ってきて、古い音楽のオマージュだったり、自分たちで聴いてきた音楽をいい感じに取り入れてクスってできるような感じを大事にしてたんで、それがガッチャン! ってなった感じがありましたね。キャリアを積み上げても遊び心が常に存在してるのがいいよなみたいな、自分も大切にしてきてたことが間違ってない気もしたし。

小川翔

堀込:〈“不衛生”〉ってコーラスとかね(笑)。

小川:フーとかハーとか楽しんでるな、みたいな。これからも自分もやっぱたくさん曲を作ってる時にそれを大事にしとかないとだめだなと思いました。

堀込:一人でずっと多重録音で奇声を発して(笑)。振り返ると恥ずかしいんですけど、でもすごく楽しんで作れました。で、基本4リズムプラスでキーボードはエレピとオルガンとクラビ?

宮川:そうですね。三本入れました。

堀込:ベーシックなアレンジだったから、カウンターメロとか入れてもいいかなと思って。ちょっとやりすぎたかも? みたいな感じだったんですけど、余計な音ってわけでもなさそうだな、いい塩梅に落ち着いたなと思いました。自分でやると多分もっと色々必要な感じがするんですけど、結構スッキリしてる演奏だったから、ほどよく音数が増えたという感じがします。

山本:高樹さんにやってもらわなかったら、もっと普通な感じになってただろうなって今思って。

宮川:普段KIRINJIでやらせていただいてて、シンセのフレーズ一つ音色一つですごくアイコニックなパーツがいっぱい散りばめられてて。割とベーシックなプレイの強みが僕らのバンドの個性だと思ってるんですけど、そこでも高樹さんのコーラスワークが乗ることによってまた広がって、この曲のアイコニックなサウンドになったっていうか。本当に無駄なところが一つもないんですよね。

――これからも年齢やシーンに関係なくコラボはやっていきたいですか?

小川:そうですね。

堀込:次誰とやるの? 思い切った人とか?

伊吹:思い切りたい。

堀込:誰も怖がって声かけない人にかけてみたら(笑)?

※1:https://www.youtube.com/watch?v=nR8vhArzrGM
※1:https://www.youtube.com/watch?v=h795slSPgp8

■リリース情報
「どうして髭を?(feat. KIRINJI)」
配信はこちら
https://ultravybe.lnk.to/dousitehigewo

LAGHEADS オフィシャルサイト
https://www.lagheads.com/

KIRINJI オフィシャルサイト
https://www.kirinji-official.com/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる