4s4ki=あさき、孤独な心に届ける切実な願い 国内外のリスナーを魅了する強力な個性に迫る
直近のオリジナルフルアルバム『Killer in Neverland』は“仮想現実”と“自分らしさ”をテーマにして制作された作品だという。獰猛で極彩色のポップ世界を描く本作は最後、「SUCK MY LIFE3」という、美しいピアノの響きと4s4kiの歌で構成された、生々しく体温を感じさせる独白的な1曲で幕を閉じる。生きることの耐え切れなさと、行き場をなくして彷徨う心の揺れる軌道を捉えたこの1曲は、4s4kiの表現の根源にあり続けるひとりの人間の孤独な魂を露わにしていた。この曲を初めて聴いた時、「きっといつだって彼女はここに立ち返り、ここから始まるのだろう」と思った。「私は何者なんだろう? あなたは何者なんだろう?」――そう問いかけるように。
そんな4s4kiの最新曲が、冒頭に書いた「ねえ聞いて」である。彼女は再び、孤独なひとりの部屋に戻ってきている。しかし、彼女には誰かに伝えたい言葉がある。〈てか外から聞こえる配線工事の音がめちゃくちゃにうるさいな/黙って愛について詩を書いてるこの部屋とのギャップやばいな〉――こんなにもカジュアルな、独り言のような言葉づかいで、彼女は歌っている。それくらいリアルで、虚飾のない歌である。音楽的にはメロウだが、ある意味ではパンクロックのようにストレートな曲でもある。この曲の中で4s4kiはさらにこう歌っている。
〈聞いて/君と出会えて本当に良かった/ねえそれだけ/こんな単純な言葉一つ/笑われてしまうような こんな時代で/愛してる 愛してる 愛してる/笑って〉
ひとりの人間の心から零れ落ちる願いが、悲しみが、想いが、疲弊する時代の中で癒しのメロディとなる奇跡的な瞬間が、この曲には捉えられている。
■リリース情報
4s4ki「ねえ聞いて」
2024年3月20日(水)配信リリース
配信URL:https://lnk.to/NeeKiite