GENIC、初のチャート首位で示すJ-POPの新旗手としての存在感 3rdアルバム『N_G』の妙

 男女7人組ダンス&ボーカルグループ・GENICが、3月6日に3rdアルバム『N_G』をリリースした。avexのDNAを継承するグループとして2020年5月にデビューしたGENICは、2022年と2023年に開催した2度の全国ツアーを成功に収め、着実に実績を重ねてきた。

 そして、満を持してドロップした『N_G』は、「オリコン デイリーアルバムランキング」(3/5付)、「Billboad JAPAN アルバムセールス」(3月4日〜6日集計速報)で1位を記録。GENICにとって初のランキング1位という結果と数字をしてみても、今作で新たなGENICを示してくれたのだ。

 今回、彼らが『N_G』という3rdアルバムのタイトルに込めたのは、「No GENIC or New GENIC?」=「Noを突きつけられるのか、それとも新たなスタートラインに立てるのか―」という想いだ。

GENIC /「N_G」全曲トレーラー【Album Playlist】

 彼らの魅力はグループ活動にとどまらない――ということを、まずは記しておきたい。メンバーの増子敦貴は、GENICデビュー以前からの役者経験を活かし、2023年には『BLアワード2023』コミック部門1位を獲得した人気漫画のドラマ化作品『体感予報』(TBS系)で俳優の樋口幸平とともにW主演に抜擢され、国内にとどまらず、海外でも大きな話題となり、人気を博した。各メディアが展開する「イケメンランキング」や「ブレイク必至ランキング」など、さまざまなランキングにも上位にランクイン。この3月の東京・帝国劇場公演を皮切りにスタートする舞台『千と千尋の神隠し Spirited Away』に、ハク役の追加キャストとして出演することも決定し、6月下旬からはロンドン最大の劇場であるロンドン・コロシアムでの公演も控えている。日本の歴代興行収入のトップに君臨する作品の舞台化ともあって、日本を代表する俳優陣が集結するカンパニーの一員として出演が決まったことは、まさにアジアを中心に注目されている増子のキャリアだけでなく、今後のGENICにも影響を及ぼすに違いない。

 増子を筆頭に、金谷鞠杏は2020年に“世界三大ミスコンテスト”のひとつ『ミス・ワールド』の日本代表に選出されたり、西澤呈と小池竜暉はGENICの楽曲制作を作詞・作曲・編曲までマルチにこなすだけでなく、小池は『ラブライブ!スーパースター!!』に登場するスクールグループ・Liella!の5thライブテーマソング「シェキラ☆☆☆」の作編曲を担当するなど、他アーティストへの楽曲提供含めた活躍の場を広げている。

 そんなエンターテインメント界で幅広く才能を発揮しているGENICが今回新たに届けるアルバム『N_G』。今作で彼らが提示するのが、新感覚のJ-POPだ。日本でも熱が冷めることを知らない昨今の韓国エンターテインメントの輸出におけるK-POP旋風のなかでも、J-POPの真骨頂を追求する。それが、GENICが今作を通して目指した音楽の姿である。

GENIC /「サヨナラの理由」Official Music Video( from AL「N_G」)

 たとえば、昨年12月22日に先行配信された収録曲「サヨナラの理由」は、王道のJ-POPを感じさせる切ない冬のラブソングだ。ケツメイシやKis-My-Ft2など、国内アーティストへの楽曲提供を多数手掛ける福岡良太と共作し、西澤と小池が作詞で参加。男声と女声のハーモニーや、幅広い音域で展開するボーカルなど、世界でも稀有な日本特有の男女混合ダンス&ボーカルグループならではの表現方法が、この曲の持つ物語性を一層鮮明に表現している。

 メンバー7人それぞれのセルフプロデュース作品が収録されているのも大きなポイントだ。増子の「恋愛」、雨宮翔の「Hallelujah」、宇井優良梨の「きみといた」、西澤の「GradatioN」、西本茉生の「Chill out!!」、金谷の「Checkmate」、小池の「ラストシーン」……と、再生ボタンを押した瞬間から、色とりどりの音楽がリスナーを迎えてくれる。

 今作には、日本の音楽業界で“J-POPサウンド”の中核を担っている作曲家が数多くクレジットされているのも興味深い。そのバリエーションの豊かさが今作の鮮やかな感触を明確にし、メンバー自身でそれを体現しているのだ。

 『第64回 日本レコード大賞』優秀作品賞を受賞したMrs. GREEN APPLE「ダンスホール」(編曲)をはじめ、King & Prince「恋降る月夜に君想ふ」(作曲・編曲)、なにわ男子「初心LOVE」(作曲・編曲)など、幅広いジャンルでヒットを生み出してきた久保田真悟(Jazzin'park)が「Checkmate」(作曲・編曲)を、『第53回 日本レコード大賞』優秀作品賞を受賞したAAA「CALL」やアルバム『Sakura』(2022年9月)で『第65回グラミー賞』の最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞を受賞した宅見将典が「Negai_Goto」(作曲・編曲)を手掛けるなど、日本を代表するクリエイター陣にも言及せずにはいられない。また、先輩グループ Da-iCEのリーダーである工藤大輝も、今作収録の「TALK」では小池と西澤とともに共作、西澤とは「GradatioN」でもタッグを組んでいる。

 まるでJ-POPの真骨頂として磨き上げられた楽曲が並ぶ今作を聴けば、きっとどこか懐かしさを感じて、J-POPの新たなすごさを再確認できるはずだ。

GENIC /「TALK」(GENIC LIVE 2023 -Flavors- Special Edition)

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