「今日が終わったらまた明日から日常に戻っていきます。でも忘れないで。僕はここにいて、みんながここにいる。そのことを忘れなければ、きっといつかまた会えるんじゃないかな。僕もこういう場所をずっと守っていきます。一緒にこれからもいろんな時間を過ごしていきましょう。また会えますように」

　そんなMCを引き受け、本編ラストに用意されていたのは、自身の思いを強く刻んだピアノバラード「巡」。歌い出しで感極まって声を詰まらせる蒼井。だが、涙をこらえて大切なファンに向けたまっすぐな思いをしっかりと届けていく。そのメロディに乗せられた言葉すべてを静かに受け止めるオーディエンスたち。楽曲を通して濃密な心のやり取りを交わし合い、ライブはエンディングを迎えた。

　鳴りやまない歓声に導かれスタートしたアンコール。ツアーTシャツで登場した蒼井は、ハッピーなムードを弾けさせた「Shake Shake! Together!」、あたたかなメッセージを大合唱することでファンとの距離感をさらに近いものとした「ずっと…」、そしてものすごいテンションでブチ上がった「give me ♡ me」の3曲で幸せな時間を延長させた。そこでライブは終わるはずだった。

　が、この日はダブルアンコールのサプライズが待っていた。正真正銘のラストソングとなったのは、TVアニメ『出来損ないと呼ばれた元英雄は、実家から追放されたので好き勝手に生きることにした』のオープニング主題歌として3月29日に配信リリースされる「EVOLVE」。初披露となった新曲で次の一歩を鮮烈に示し、ツアーは大団円を迎えたのだった。

　「まだまだ蒼井翔太のストーリーはここからが本番だと思っています。まだまだ見せたい景色がいろいろありますから」――ライブ中、そう語った蒼井翔太。過度な演出に頼ることなく、シンプルな生身のパフォーマンスで勝負した今回のツアーは、さらなる輝かしい未来に繋がっていくための重要な“DETONATOR＝起爆剤”になったはず。蒼井翔太が見せてくれるであろう新たな景色が本当に楽しみだ。

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