家入レオ&加藤ミリヤ、女性であることの誇りを音楽で届けた一夜 『Women In Music vol.2』を振り返る

 女性であること、そしてひとりの人間であること。自分らしくステージに立つアーティストの姿を見て、それに影響された誰かが、今度はまた誰かの憧れの存在になっていく。そうやって繋がっていく世界であったらいいと考えさせられる――。少なくとも、私はこの日のライブで影響を受けたひとりだ。

 Billboard JAPANによるライブイベント『Billboard JAPAN Women In Music vol.2』が、2月8日にTOKYO DOME CITY HALLにて開催された。

 女性をエンパワーメントすることを目的として開催された本公演。昨年11月には日比谷公園大音楽堂にて『Billboard JAPAN Women In Music vol.1』が行われたが、今回は東京フィル・ビルボードクラシックスオーケストラをバックにアーティストがパフォーマンスするという、前回とは違ったライブスタイルを楽しめるものだった。出演アーティストは、どちらも10代でデビューし、現在も女性アーティストとして第一線を走っている家入レオと加藤ミリヤ。オーケストラの指揮は齋藤友香理が務めた。なお、この公演はU-NEXTで後日配信されることも決定している。

 先にステージに立ったのは、家入レオ。ピアノとストリングスの優しい音色が響くなか、「ずっと、ふたりで」「君がくれた夏」と伸びやかな歌声を届けていく。

 オーケストラとのコラボレーションというステージについて、「リハーサルで合わせた時に『絶対素敵なイベントになる!』と思った」と話す彼女。「私もひとりの女性として、一曲一曲丁寧に歌を届けていこうと思います」と宣言すると、続いて披露されたのは「Silly」。多数の楽器が織りなす深みのあるサウンドは、この曲が持つ荘厳さをより引き立てる。家入も感情を吐露するように、切ない歌声を響かせた。

家入レオ

 続けて「未完成」を力強く歌い上げると、「デビューした17歳の頃は、女性というよりも、ひとりの人間としてどうやって想いを歌で伝えるかを考えていた」と語った。それから10年以上が経ち、結婚や出産をする人も周りに増えていくなかで、自分も女性としてのキャリアを意識するようになっていったという。「女性が女性らしくいるためには男性の力も必要だし、これは人間全員に関わるテーマだと思います」と話す家入。そして、最終的にはこうしたジェンダーを意識したイベント自体がなくなれば、とも思っていると語った。

 「言葉にすると演説みたいになっちゃうので(笑)。曲に乗せて歌います!」と笑いかけると、披露したのはBank Band with Salyuの「to U」。今回のライブでは、自身が影響を受けた女性アーティストの楽曲を、家入と加藤がそれぞれ一曲ずつカバーすることが事前に発表されていた。流れるようなピアノで始まり、ストリングス、管楽器と徐々に音が重なっていく「to U」。家入は優しさと力強さのこもった歌声で、オーケストラと息の合ったパフォーマンスを披露した。

 「歌いながら、会場の皆さん、オーケストラの皆さんとひとつになったって思いました!」と嬉しそうに語ったあとには、「太陽の女神」「Shine」を明るく届けていく。キラキラとした晴れやかなサウンドが会場を包むなか、家入は客席に手拍子を煽り、ラストに「空と青」をパフォーマンス。時折オーケストラの方に視線を向け、自身も楽しそうに体を揺らしながら、〈生きていこう〉という力強いメッセージを届けた。

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