Chilli Beans. MCほぼなし、楽曲のみで全うした潔さ 初の日本武道館をソールドアウトする勢い

 曲間にようやくMotoが口を開いたのは15曲を終えてから。「へへ、楽しんでますか?」と話し始めたかと思いきや、しかしそれだけ言うと「Raise」とタイトルコールをして、ライブを再開。言いたいことはすべて楽曲とパフォーマンスでと言わんばかりの潔さで、TVアニメ『ONE PIECE』エンディングテーマである同曲を、足を踏み鳴らしたり腕をぐるぐる回したりしながら、力強く歌い上げる。続く「wonderland」ではMotoがステージに腰掛け、メランコリックに歌唱。「spark」ではMaikaがメインボーカルを取り、物悲しくも温かい情景を丁寧に描いた。

 そしてスクリーンには、おもちゃをしまう子供の様子が、オルゴールの音色にあわせて写し出され、遊ぶ時間はおしまい……とはならないのがChilli Beans.。おもちゃをしまった箱はびっくり箱だったのだ。そのまま〈優しいの 腐ったおもちゃ箱みたいに置いて行かないでよ?〉と歌う「105(黒地のスマイルマーク)」へとなだれこみ、混沌としたムードへと再び誘った。そして「Digital Persona」からラストスパートへ。コロナ禍に制作された同曲では、Motoは飛び跳ねながら楽しそうに歌ったり、ステージに寝っ転がって歌ったりと、日本武道館という場所や、ライブの空気をまさに肌で感じているよう。楽曲ごとに様々な表情を見せていたMaikaとLilyもすっかり笑顔で客席を見回していた。さらに「シェキララ」では銀テープが噴射され、〈君がいる大丈夫all right〉と歌う「you n me」を続け、“Play it cool”なChilli Beans.らしい本編のフィナーレとなった。

 ツアーの発表を経て、再びステージに姿を現したChilli Beans.。ここでも言葉少なめにすぐに「School」へ。客電もついて明るくなった日本武道館にさわやかなサウンドを届けた。ここでようやくMCタイム。改めてMaikaが「皆さん楽しめましたか? 最高ですね。すごいいっぱい人がいます。ありがとうございます」と言うと、メンバーが手がけたグッズの話題へ。Motoが着用しているロングTシャツには、寄り添うように並ぶ2つのキャラクターが描かれた“alone with u”というイラストが。このイラストについてMotoが「“2人ぼっち”ってこと?」と、イラストを手がけたLilyに尋ねながら説明すると「だから……大丈夫だよってことです」と言い、バンドはラストナンバー「I like you」へ。Motoはアコースティックギターを手にし、〈僕が生きてるのは 君が生きてるから〉〈どんな噓にも綺麗に溺れるよ〉と歌う。まるで夢の終わりを告げるようなやわらかな音色で、でも夢のような時間は確かにあったと刻み込むように丁寧な演奏と歌唱で、その幕を下ろした。

 初武道館公演の喜びや感慨を口にすることもなければ、楽曲についての説明もしない。MCらしいMCはほぼないまま、楽曲が生み出す世界観と熱狂のみで全24曲を一気に駆け抜けた彼女たち。その時間こそが、Chilli Beans.による“ My Castle”だった。

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