ACIDMAN、映画『ゴールデンカムイ』主題歌による新たな追い風 旧友 玉木宏も登場した一夜
本編最後は、発表から20年以上、バンドが演奏し続けているロックンロールナンバー「Your Song」で、観客と自分たちの前進を称えながら締めくくったが、観客の理性をぶっ飛ばした「夜のために」からの怒涛の展開の延長ではなく、大木の哲学的なテーマである宇宙の神秘、生命の誕生に対する畏怖と憧憬とともに「宇宙に比べたら、私なんてちっぽけだと思うじゃない? 違うんだよ。ちっぽけじゃないんだよ。こんなにすごいスケールのなかで、あなたはあなたでしかないんだよ。俺は俺でしかない。こんな素晴らしいことなくないですか? 奇跡だと思います」と曲に込めた思いを語ってから、バラードの「ALMA」を挟むところがACIDMANの真骨頂なのだろう。
トラッドフォークを思わせるイントロから、音を重ねていきながら、深い世界観と宇宙を見据えたスケールを今一度見せつけ、ここで観客の気持ちを鷲掴みにするからこそ、この日のライブはドラマチックなものとして、より印象深いものになったのだと思う。
アンコールでは、「20年来の友達が来ています」と大木に迎えられた俳優・玉木宏が登場。「玉ちゃん(玉木)が演じる鶴見(篤四郎)中尉、ヤバい!」と映画『ゴールデンカムイ』における玉木の演技を絶賛した大木と、玉木が語った両者の交遊エピソードが一夜限りのワンマンライブに花を添えたことも忘れずに記しておこう。
そして、サプライズはもうひとつ。アンコールに、ACIDMANは映画『ゴールデンカムイ』の久保茂昭監督が映画のシーンをこの日のためだけに再編集した映像をバックに、「輝けるもの」をもう一度演奏したのだ。しかも、1回目の演奏よりも音量も演奏の激しさもパワーアップしていたように筆者には思えたのだから、5月から9カ所を回る全国ツアー『ACIDMAN LIVE TOUR “ゴールデンセットリスト”』にも弥が上にも期待は高まるというものだろう。
「興味を持って、何回か観てもらえると、もう沼にハマると思います。そうなったら、ようこそ(笑)! 長い旅になると思います。これからもいろいろなライブをやるし、いろいろな曲を作るから、ともに人生を歩んでいけたらと思ってます」――実は冒頭に記したMCを、大木はこう締めくくったのだが、この日、ACIDMANの集大成を2時間に凝縮したとも言えるライブを観て、沼にハマった観客はどれくらいいただろう? きっと少なくなかったに違いないと信じているが、何を隠そう、これまで何度も彼らのライブを観ている筆者はこの日、彼らの沼のさらなる深みにハマってしまったのだった。
※1:https://realsound.jp/2024/01/post-1546709.html
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