日向坂46はがむしゃらに“試練の期間”を乗り越えていく 全国ツアー大千穐楽公演を観て

 また、最近は四期生が披露する機会が続いていた「青春の馬」も、久しぶりに小坂菜緒をセンターに据えた一〜三期生という構成でパフォーマンス。オリジナル編成に含まれていない髙橋未来虹、森本茉莉、山口陽世がここで初めて同曲に参加したことも感動的だったが、昨年春の『3周年記念MEMORIAL LIVE ~3回目のひな誕祭~』では濱岸ひよりが欠席し、小坂も体調万全といかず代わりに金村美玖がセンターを務めていたこともあり、久しぶりに間奏での小坂と濱岸のペアダンスを目撃し歓喜したおひさま(日向坂46ファン)も少なくなかったはずだ。先の「期待していない自分」同様、この曲にもいずれ四期生が加わるのではないかと想像すると楽しみでならない。

 こうしたちょっとした演出が加わったことで、ツアー本編を観覧していたときに感じた「四期生が加入してそろそろ1年経つんだから、もっと先輩メンバーのパフォーマンスに加わってもいいのでは?」という疑問が少し解消され、大千穐楽で「ツアーを通して四期生が成長し、先輩たちに追いついていく」という物語の続きを見せられたような気もした。

 休養中の丹生に代わり四期生・正源司陽子が「One choice」でセンターを務めたことも、本ツアーにおける忘れてはならないトピックだろう。卒業した影山のポジションには同じく四期生の宮地すみれが立ち、正源司&宮地とオリジナルメンバーの上村がフロントを固めるという、ある種“日向坂46の未来”を予兆させるようなフォーメーションは感慨深いものがあったし、ツアー序盤では緊張からかマイクを持つ手が震えていた正源司も、Kアリーナ横浜公演では堂々とした佇まいでセンターを全うした。ツアーのブランク期間に実施した『新参者』で得た経験と自信が、こういう形でダイレクトに表れたことに対し、興奮を隠せなかったファンも多かったことだろう。

 四期生の必死さ、がむしゃらさがかつての一期生の姿と重なり、新たな時代を築き上げていく。そして、先輩たちはそんな四期生にかつての自分たちの姿を重ねる。そうした相互作用を経て生み出したのが、10日公演のアンコールでキャプテン・佐々木久美の口から告げられた「四期生を含む今のメンバーで、もう一度東京ドームに立つ」という目標だったことは想像に難しくない。最初の大きな目標であった東京ドーム単独公演が2022年春に実現して以降、新たな目標を模索していた彼女たち。最近のインタビューではドームツアーや海外公演を新たな目標として公言するメンバーもいたが、こういう形でファンに直接目標が伝えられたことでメンバーはもちろんのこと、応援するファンも改めて心を1つにして夢へ向かうことができる。いつか来る未来にワクワクできるのではないだろうか。だからこそ、この日ダブルアンコールで久しぶりに「約束の卵 2020」を歌ったメンバーの姿が……三期生や四期生という新たな仲間を加えた編成ながらも、かつてけやき坂46がライブのたびに毎回歌っていた頃の姿と重なった。ライブを見終えたあとの充足感と未来への期待感は、まさしく2018年初頭の武道館3DAYSのそれと同等、いや、もしかしたらそれ以上だったかもしれない。

 メンバー、おひさまが再び心を1つにし、この困難を乗り越えようとしている今の日向坂46の未来は、間違いなく明るいものになる。そう強く実感できた原点回帰のようなステージを経て、2024年は我々にどんなワクワクを届けてくれるのか。彼女たちのさらなる大躍進に期待したい。

※1:https://realsound.jp/2018/02/post-158228.html

※記事初出時、本文に誤りがありました。以下訂正の上、お詫び申し上げます。(2023年12月21日20:00、リアルサウンド編集部)
誤:けやき坂46時代の衣装を身に纏った三期生が
正:けやき坂46時代の衣装を身に纏った一〜三期生が
誤:久しぶりに小坂菜緒をセンターに据えた三期生という構成で
正:久しぶりに小坂菜緒をセンターに据えた一〜三期生という構成で

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